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自由に気ままに異世界大陸指名犯 ー空賊ライフー  作者: クラ108
エピソード0 まだ最初の時
30/82

第15話 これ自分がいなくてもパーティー成り立つんじゃね?

前回のお話し。ミヤ母ことコヨテに唆されたかの如く、ミルティアはミヤちゃんに課題クエストを出してきた。そして嫌でも面倒でもミヤちゃんとパーティーを組んだ以上強制参加になる彼ことクラリオン。再び迷宮に潜ることになった彼に自由は来るだろうか?



 迷宮・・・。


「・・なあ。やっぱり教会に生えてる雑草を山菜と強弁で済ませられないかな?」


 ボードに乗りながら迷宮の中を進んでる彼はそんな言葉を口にする。やはり早く終わらせたいようだ。それを聞いたミヤちゃんは、考えがあったのか彼に挙手した。


「はい、ミヤちゃんどうぞ」

「隣の店にあったピザ食べたい」

「おかわりもして、デザートも頼んで、お会計が21バレルすると言う大食漢示した汝よ。他の意見を言うがよい」

「じゃあない」


 特に考えは無かったようである。しかもお店で結構な量の朝ごはんを食べたといういうのにまだ物足りてないという。

 

「このパーティー、この先やっていけるんであろうか・・・」


 しかし今回は初めてミヤちゃんと与吉もいる2人と1匹パーティー。いつもの迷宮探索とは勝手が違うし、特にミヤちゃんは今日から冒険者になったわけだし、本格的な迷宮探索は初めてである。


「まあでもよく考えたら、ミヤちゃん初探索か」


 そうだよな~。なんだかんだあって、ミヤちゃんも冒険者になってしまったわけだし・・。

 ミルティアからの課題クエスト、プリオエルバというモンスターから草花(山菜)の採取で中層に向かっているが、中層のモンスターは厄介な相手が多い。前にフレア三姉妹のフェリカとパーティーを組み、バンパリアの生き血採取で馬鹿みたいに中層を飛び回ったからこそ、どんなモンスターがいるか彼は見て学んでいる。


「はい。そんな訳でお互いの連携がどのようなものか軽くモンスターと戦って試したいと思います。異議ある人、再度挙手で」

「ん?」


 チ?


 そんな思いから、まずはお互いの連携がどの程度できるのか確認しようと言う彼だが、ミヤちゃんと与吉からすれば、いきなり何の説明無しで「そんな訳で」と言われも分からない。


「お互いの連携確認だよ。ミヤちゃんも与吉も初めて一緒に戦うでしょ?だからお互いどんな動きするか知っておくために」


 ただそれにミヤちゃんは微妙な顔をする。何故なら与吉もパーティーの頭数に入っていたからである。普通にペットととして彼が飼っているだけだと思ってなかった。

と言うより本当に戦えるのか?怪しさしかない。


「お。丁度いいタイミングで群れが」


 そこに中層辺りに行く前にモンスターの群れを発見する。数は優に千は超えている中々の群れ。


「よし、じゃああの群れをミヤちゃんと与吉で倒してみよう」

「ん~~」


 ミヤちゃんは前回に彼の短剣を使えば、モンスターの群れを容易く捌けるを知った彼は、何の躊躇なく普通なら無理難題なことを言う。ただやっぱりまだ微妙そうなミヤちゃん。与吉も「チィ~~」と微妙そう。なので・・・。

 

「・・活躍した人は熟成肉1㎏」

「ん」


 チ。


 それにミヤちゃんと与吉は張り切ってモンスターの群れに突っ込む。


「わ~凄い欲望に忠実・・」


 しかし彼は気づく。


「だけど正直よく考えたら、うちらあんまり連携の必要ないよな・・・」


 特にミヤちゃんは持つ彼の短剣を使えば、殲滅力は彼より高い。故に派手に片っ端からモンスターを倒しまくるミヤちゃん。

 与吉も寄与したスキルを生かして、高速移動からの突撃アタックは致命的な一撃を与え、しかも糸を出しながらの高速移動は、一秒もしないで大量のモンスターを拘束、妨害しまくるトラップラーでもあった。そして動けなくなったモンスターをミヤちゃんが良い具合に殲滅する。


「ん~・・これ自分がいなくてもパーティー成り立つんじゃね?」


 一分弱でモンスター群れを殲滅。いちよ彼もはぐれたモンスターがいたら魔弾で倒しておくも他人から見た自分ってこんな感じなのかな~っと苦笑なのか何なのか何か笑ってしまう。

そしてこの戦闘で色々と分かったことがあると彼は語る。



 まずはミヤちゃん。身体能力は言うまでもない。貸したと言うべきかあげたというべきか短剣一号だけの広範囲大火炎だけで、このパーティー一の殲滅力。問題は火力の制御をちゃんとしてもらいたいところ。何度か思いっ切り彼と与吉に火の手が迫った。


 次に自分。いつもながら魔弾は偉大。弾幕張り、貫通力がえぐい。欠点は改善する気もない数撃たなきゃ当たらない命中精度。故に前に仲間がいると撃てない。一番フレンドリーファイアしかける率トップ。


 そして与吉。相手を倒すよりも糸を出しながら相手の動きを瞬時に束縛や罠の展開するトリッキーかつトラップラー。一番パーティーの中では安定した存在。


 

「分かっていたけどうちら火力に特化しすぎだな。一番安定してるの与吉だけだよ」


 結論。バランスが酷い。


「まあ、与吉がかく乱と束縛に罠の配置。動きを封じた敵をミヤちゃんが攻撃。逃した敵は自分が狙撃。パーティーとしてはこんな感じかな~。」


 そしてミヤちゃんと与吉は。


「もっとヤれた」

「その戦闘民族的思考はやめようねミヤちゃん」


 チ?


 そんでもって与吉は何かモグモグしてる。多分モンスターを倒しながらかぶりついていたんだろう。


「まあ個人戦闘には問題はないか」

「お肉は?」

「ん?」

「肉」


 自分が言っていたことを忘れる彼。


「・・お2人戦いは大変良かったと思います。ただお肉は迷宮を出たら買いに行こう」

「・・・・・」


 ミヤちゃんがじっと見つめる。もし約束を違えたなら制裁は免れない。そんな目をしていた。

 このパーティーはこの先本当にやっていけるんであろうか・・?

 やはり先行きが不安を感じる彼である。兎に角にも注意点と反省点をお互いに踏まえながら、彼らは本格的にプリエオルバを探しに中層へと向かったのである。



 そして中層。



「いない」


 チ~・・。


 あれからボードで中層辺りを飛び回っているが、まだプリエオルバは見つかっていない。

 これでも結構な探索ペース速度なんだけどな~。

 ボードの存在のおかげで探索範囲は広くて速く済むし、モンスターの戦闘からも逃げやすいと結構な範囲を探せているが、それでも一向に見つからないのだ。


「あ~なんだろ。なんかバンパリアの時と同じ状況を思い出すんだけど・・・」


 無駄に長く掛かったバンパリアの生き血採取の日々を思い出す。


「マジでそこらの雑草から有りかもな・・。もしくは高値払ってどっからか買うっていう手もありか・・」


 またそんなことを思っていたら、ミヤちゃんは何か音を捉えたようで急に反応する。


「いた」

「マジか。あれ?案外楽に終わる?」


 運が良い。そう思った彼だったが忘れてはいけない。彼のステータスの運の数値は0である。よって幸先がいい訳でもない。


「あっち。次の次の分かれ道を左。多分モンスターたくさん」

「たくさん?」


 はて?中層のモンスターは群れと言っても上層と違って数十体ぐらいしかいない。そんな大きな群れを彼も見たことがないので疑問が沸く。しかしミヤちゃんの指示方向に向かうと上層の群れ程ではないが結構な数のモンスターがうじゃうじゃいた。


「なんでこんなに・・」


 この状況に原因を探るが、再びミヤちゃんが。


「人いる」

「え~。助けるの?」


 別に助けたいとは思わない彼。今は自分達の問題を片付けるのが優先であって、自分の時間を確保するのが彼の目的なのだ。しかしミヤちゃんは人として助けるのが当たり前と純粋な眼差しで脅迫してくる。

 あ~目が怖い。


「はあ・・。ミヤ、与吉、援護。ミヤちゃんは火力を低めに。お鍋の弱火みたいに」


 チチッ。


「ん」


 与吉とミヤちゃんが返事すると、勢いよく跳んでボードが衝撃で揺れる。


「っと!荷物落としかけたぞっ!?」


 あとで与吉の糸で固定してもらおう。

 援護しに行ったミヤちゃんと与吉であるが、彼はこの中層のモンスターの群れについて考える。


う~ん、中層のモンスターは同じ種族で群れて数十体程度、小型なやつなら三十体ぐらいでいる。だけどあそこにいるのは上層同様の他種族混合のモンスター群・・。共生ならあり得るが。う~ん・・・。

 あれこれ考える彼だが、とりあえず今はミヤちゃん達に何かあったら援護しておく準備をしておく。



「ああ~~!もう何でこんな馬鹿するのよメルンッ!!」


 モンスターの群れの中で誰かが怒る。

 そこにいたのは彼が知ってる人物、魔石発掘クエストで一緒にいたメルンパーティーであった。


「だって新型で安全って言っていたから、大丈夫だと思っていたのよ~う゛ぅ~」


 そんなメルンの足元にはモンスターホイホイ改と名前が付けられた道具と取説が転がっている。別に深い要因があった訳じゃなくて、ただ単にモンほいでモンスターが集まっていただけと言う簡単な理由だった。


 なおその取説にはこう書いてある。


 此度のモンスターほいほいは、お客様の要望により改造を重ねた結果、小型~中型のみのモンスターを呼び寄せるモンほいの開発に成功しました。是非ともこの最新のモンほいをこれを機会にご利用下さいませ。注意。小型のモンスターを餌とする大型モンスターが場合によって来る恐れもあるから、周辺生態には気をつけてね。とのこと。


「ゔわぁ~ん!!注意書きの文字小さくて見てなかったよ゛~~!」

「いいから手を動かしなさいっ!!」


 そこに。


 ゴオォォォォォーーーー!!


 突然の発生する火柱。そして爆風でモンスターが吹き飛ばされながら颯爽にミヤちゃんが現れた。


「来た」

「へ?」

「行ってくる」


 そしてそれだけ言ってまたモンスターに突っ込んで倒していく。


「ちょっ!?」


しかし次の瞬間にはもうミヤちゃんは走っていなかった。


「え?あの子誰?」


 はてな顔になるメルンだが、メアリーが上を指して何かに気づく。


「あれクラリオン君じゃないですかね?」

「え?どこ?あっ!ホントだ!お~~い!ク~ラ~リ~オ~ンく~ん!!!」


 手を振るメルンに彼も気付いた。


「あ。メルンパーティー。あ。これって手羽先が何かやった系?」


 ポンコツ要素がありそうなメルンが何か仕出かしたんじゃないかと一瞬で見抜く。

 とりあえず全員無事そうだな。

 

 大丈夫そうな様子を眺め、そして・・・。

 


「はー。流石クラリオン君ですねっ!。しかも仲間もすごい攻撃。あんなのモンスターにしたら通り魔ですよ通り魔!すごい助かりましたよ~」


 周りにいたモンスターを倒し終わるとミヤちゃんと与吉も集合して、改めてメルンの前でボードから彼は降りる。


「相変わらず元気そうで。まあ何があったか色々聞きたいけど」

「その前にお姉さんが感謝のハグを・・ってグフッ!?」


 抱き着く寸前にミヤちゃんが蹴りを入れてメルンの体がくの字に曲がる。


「ミヤちゃん。知らない人にいきなり暴力はいかんよ」

「どこが?」

「・・・・・」


 暴力を振るうことに平常心のミヤちゃんに彼は「与吉~ミヤちゃん怖いな~」と与吉を抱きながらメルンの元まで大丈夫なのか様子を見に行く。


「済まん。なんかミヤちゃん機嫌悪いみたい」

「うっ・・。久々にいい蹴り貰っちまいましたぜ・・」


 あ。ピンピンしてる。意外に丈夫そう。


「ちょっとリーダー、子ども相手で綺麗に吹き飛んでいるんじゃないわよ」


 そんな吹き飛ばされたリーダーを回収しに来たエントリアが現れた。


「お久しぶりです。エントリアさん」

「ああ、久しぶりだね。しかも新しい子どもかいるとわね。しかも獣人のお子さんか」

「こちら今日から冒険者になったしまったミヤちゃんです」


 ミヤちゃんを紹介をする。そして与吉は「チ」と久しぶりと脚を挙げて挨拶する。


「だれ?」

「前に一緒にクエスト受けたパーティー。ちなみにミヤちゃんが吹き飛ばしたのがリーダー」


 そのメルンはエントリアに介抱されている。


「んで、このモンスターの騒ぎはどゆこと?」


 エントリアは呆れたような顔をしながらメルンを見て。


「ああ。それな・・。実言うとメルンがな・・・」


 理由を聞いた彼は素直に納得。


 それで。


「だけど本当に助かったよ。あの数には参ったからね。あとこれ・・あいつから取れた魔石だ。まあ君には大した金にはならないだろうけど」


 エントリアが袋に入れた魔石を彼に渡す。


「ふむ。まあまあな量の魔石。与吉、これボードに巻いといて」


 メルン達が拾った魔石の9割を彼が貰う。

 別に言うけど、あれよ。メルンパーティーが持ち帰れる量のキャパシティから溢れた分を貰った訳で、結果全体の9割を貰ったに過ぎないだけだからね?強要した訳じゃないから。

 しかしそれよりも彼はメルンパーティーで気になっていることがある。


「ん~そう言えばさ、気にはなっていたんだけど・・汗というかベタつきというか・・皆ヌルッとしてない?」


 防具やら服にやけに粘りけあるのがやけにテラテラして見えるのだ。


「ああ・・これね」


 思い出すのが嫌なのかエントリアの歯切れが悪い。


「ちょっとこうなる前に触手ヶ丘公園を横切ってね・・。ご覧の有り様さ」

「なにその卑猥な公園。どんな18禁遊具が置かれてるのよ」

「おや知らないのかい?触手群生地帯ではそう呼ばれているんだよ。かつてどこかの勇者が初めて見た触手に『なんだこの触手ヶ丘公園はーー!?』っと叫んだことが由来らしいよ」


 あ。叫んだ奴、日本人かな?にしても触手か。ん~だけど今までそんなところ見たことなかったな~。

 イメージするもどうしても迷宮と触手の単語で18禁要素しか浮かばない。だからなのか。


「ちなみにその触手ヶ丘公園はどこにあるの?」


 聞いたメルンが驚く。


「えっ!?クラリオン君行く気なのっ!?面白いものじゃないよ。ヌルヌルだし、拭き取るの大変だし、顔にドバッてやられるとやる気失うよ!」

「メルンの言う通り。体に纏わりつくと気持ち悪いぞ。しかも生暖かさがさらに拍車を掛ける」


 みんなかなり苦労ありきで話す。


「でも今まで生で触手見たことないし」


 純粋に好奇心で見てみたくなった彼。

 ん?別に18禁イベントなんて期待はしてないよ。ホントダヨ?


「クラリオン君。触手を舐めてはいけません」


 そこにマリアが語る。


「触手によっては人や中型モンスターでも巻きつき身動きが取れなくなります」


 そして犯されるんですね。とは言わない。ただし心の中では呟く。


「そして粘液まみれになって・・・」


 犯されるんですね。


「おかされます」

「まさか自ら言っちゃうスタイル!」

「体が」

「分かります!」

「分かってません。体が侵食されて触手と同化されるのですよ」

「そっちっ!!?」


 グロッ!おかされるって、そっちの侵されるね・・・。


「分かりましたか?」

「ん~~、分かったけど・・・・好奇心が勝つ」


 そこにスンが説明に入る。


「ここの迷宮の触手自体は危険ではない。粘液で身動きを封じて、腐敗してから栄養を摂るタイプ。粘液の粘度は自力で脱出可能。ただし量に注意。深みに嵌れば粘液の海に落ちる」


 なんか企画物にありそうな粘液の海だな。


「なるほどね~。でもボードがあるし・・。ミヤちゃん、ちょい寄り道していい?」

「ん~・・かまわん」

「そんなに行きたいのか?まあ君達であれば大丈夫だと思うが・・・」


 おすすめするものではないとエントリアは思うも助けてくれたこともあり、場所は教えてくれた。

 そしてメルンパーティーとは「じゃあ、行ってくる」と言ってそこで別れることになった。


「どんな感じなんだろうか・・・」


 彼の中でワクワクが止まらない。



 そして触手ヶ丘公園の手前付近。



「あれか?」


 広がる道の先に何か地面や壁が奥先までウニョウニョ動くものが見える。


「キモい」


 それを遠目で見たミヤちゃんが嫌悪感を示す。


「お、お~。確かに触手ヶ丘公園だわ・・・」


 本当に大小様々な触手がいた。大樹ような物に奇形的、イボイボ・・・。

 卑猥度がすご~い。心が汚れているからかな?


「まあミミズがのたうち回っているような感じでもあるけど・・・」


 短い奴もいれば長い奴もいる。それを近くで観察しようと近くにボードを下ろす。


「・・・近寄っても反応しないな」


 彼だけ一人で近づいてみて・・・。


「ふむ」


 パンッ。


 『空砲』で触手を当ててみると案の定、暴れ出す。


「ん~。目は無く、刺激があると動く・・。何て言うか海とか微生物でいるワームだな」


 さらに周りの土から棒を作り出して、投げてみる。


「お~。お~。絡みつく絡みつく。あ。なんか結構粘液出してきてるな」


 それに遠目でミヤちゃんはまた「キモい」と呟く。


「思っていたより卑猥的な動きじゃないな。タコとか絡みつくあれだな・・・。ん?」


 そんな観察を続けると目に映る一本と呼ぶべきか一体と呼ぶべき触手がいた。

 長さは30cm。まあまあの太さ。しかしそれ以上に凄く地面をビタンビタンしながら激しく動いている。明らかに周りの触手とは違う動きに彼の視線が引きづけられる。


「・・こいつだけ持って帰ろう。うん。これ見ていて飽きない」


 面白いのを見つけたと周りの土ごと取ろうとするも・・・。


 ビタンッ!ビタンッ!ビタンッ!ビ・・・。スポッ・・・。トタタタ・・・。


「えええ゛え゛え゛ーーーーーー!!?!?」


 なんと走って逃げた。


「え!?足!?足あったぞ今!?」


 凄い衝撃映像であった。

 絶対に欲しいっ!!

 かつてない好奇心に彼は追いかける。


「待って!毎日栄養剤あげるからっ!ミシャロ商会のいいやつあげるからっっ!!」


 しかしその触手は触手が深い場所へと走って見失うなってしまった。


「ああ・・・」


 久しぶりに興味が沸く存在が失って、とても悔しそうな顔をする。仕方なく彼はボードで待ってるミヤちゃん達のところに戻って行った。



「戻って来たよミヤちゃん・・。あのさ、さっきさ、凄い触手いただんだ。ホント見せてあげたいぐらい」

「全部キモい」


 多分ミヤちゃんに見せたところで握り潰されるのがオチだろう。


「いや、ホント悔しいな。懸賞金掛けてもいいぐらい悔しかった。いや本当に懸賞金掛けようかな・・」

「クラ。ネバネバ・・・」

「あ~。ホントだ」


 歩く度に靴裏から糸が伸び、服にも粘液がついている姿に嫌そうなミヤちゃん。しかしそんなの気にせず彼は、ヌルヌル具合を手で確かめてみる。


「これやっぱり『潤滑油』という名目で売れるんじゃないの・・・」


 本気で売るか売れるか別として、彼は容器代わりになる物にちょっとまた触手のところまで戻って粘液を回収しておく。


「・・・キモい」


 チチ・・。


 その姿を見たミヤちゃんと与吉は、一体その言葉は触手なのか彼のどちらに対して言ったのかは分からない。

 本日の成果。まあまあの量の魔石と触手粘液750ml。目的のプリエオルバは見つからず、まだ迷宮探索は続くようである。ただ今日はミヤちゃんは、粘液が付いている彼が嫌なようで「洗え」と地上に戻ることになった。

 ついでにミヤちゃんを今後を考えてギルドに案内しておいた。なお、触手粘液は買い取り不可であったとさ。



 おまけ。

 


 ミヤテス初日、ミヤちゃんがミヤ家族の宿屋で寝ることになった日の朝・・・。



「母。これ父に渡して」

「あら?手紙?」


 朝、ミヤちゃんは一人で黙々と手紙を書いていた。書き終わるとその手紙を母であるコヨテに渡す。それに「ミヤも字が書けるようになったのね~」とミヤ母は感心する。

 手紙にはミヤちゃんなりに一生懸命書いた大きな字で『ちち。だいすき。めいきゅうおみやげほしい』と力強い手形入りだ。


「あら~。この手紙見たらお父さんスイッチ入っちゃうわね~」

「はいる」


 力強く頷くミヤちゃん。娘を迷宮に行かせないと言う父に、多分また言ってくるだろうと父を遠ざけようとする作戦らしい。

 ミヤちゃんは、父は自分に甘いから絶対に引っ掛かると確信してる顔をする。


「ミヤも中々策士ね~」

「んん~」


 褒められてちょっとどや顔。

 そしてミヤ父に手紙が渡ったとしても娘の考えは容易にミヤ父は想像が付くだろうが、この手紙をミヤ父に渡す時にミヤ母はある言葉を付け加えた。


「あ。もし迷宮のお土産が無いとその手紙破るってミヤが言っていたわよ~」


 そう言われると目を細めるミヤ父。何故なら娘が初めて書いてくれた最初の手紙。しかも手形付き。父親的には非常に価値が高い代物である。だからこそ馬鹿みたく悩んだ挙句、手紙を大事に懐にしまい・・・。


「迷宮に行く前にちょっと額縁買って来る」


 宿屋からミヤ父は出て行くのであった。

 あら~、見事にスイッチ入ったわ~。単純でちょろいわね~。

 見事にミヤちゃんの作戦通りにハマるミヤ父なのである。


 誤字脱字、話の内容に違和感あったら教えて。多分どこかで矛盾起こすかもしれへん。


 2020.03.20 誤字一部修正。

 2020.07.28 話の内容一部修正。

2021.09.02 誤字一部修正。


 

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