第10話 あとこれはナイフじゃない短剣だ
大変遅くなりました。何とか10話書き終わりました。
前回のお話し。やっとまとめな武器が作れるようになったと思う彼だったが、魔導石や記号式の存在で思うような武器製作ができなかった。なのでまずは発掘クエストを受けて、魔導石集めに再び長期で迷宮を潜ることを決めた。
迷宮入口である城の前。そこには彼が受けた発掘クエストの依頼人であるオガが率いる調査隊が5名。手伝いと護衛のメルンパーティーの5名。そして彼と与吉が集まった総勢11名と一匹が集合していたわけだが・・・。
「凄いですね。お話は聞きましたが・・板?ですか?これ全部荷物も僕達が乗っても浮くんですか?」
「はえ~。こんな板が浮かんでいるのが不思議ですね~。はっ!もしや浮遊石使っているとかではっ!?」
彼が乗ってきた鉄板、通称ボートを目にしたオガとメルンは口にした。
「ふっ。自慢の移動の足だ。この程度の人と荷物なら運べないことはない!荷物が増えたとしてもボードの下に与吉が糸のネット作って、積む余裕すらある!どうよ?この輸送能力!」
そんでもって彼はと言えばいつもの倍以上に人や物を載せられるようにボードに鉄を足して大きくしていた。
「あっ!すいませんクラ君!結構荷物運べそうなんでちょっと買い物してきていいですか!」
元気良くメルンが挙手しながらお願いする。と言うのも移動や探検となれば荷物を必要最低限に抑えるのが当たり前。しかしボードに大量に荷物を載せられると分かれば、色々持っていきたいのだろう。
「はい。メルン君。この前、ボートに荷物も人も積めるって言っておきましたが、何故行く直前にそんなこと言うんですかっ?」
彼もメルンのように元気に質問を返す。そしたらメルンは。
「はい!全く信じていませんでしたっ!!」
「すっごい素直な感想。よろしい。その素直さに免じて買い物してきてよし!」
いちよこの前集まった際に彼が乗るボートについて「こんなことできるよ」とボートの話しをしておいたのたが、スキルでただの鉄板が浮かんで運ぶのが胡散臭さかったらしかった様子。
そしたら他の皆もメルン同様に「私も」「俺も」とわらわらと言い出し、蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。他の人もボードを見るまで信じていなかったらしい。
「あ、あはは。なんかお手数お掛けしてすいませんクラリオンさん」
「別にいいよ・・。世の中上手くいかないのは経験してるから」
この場に残ったオガが行ってしまった皆の代わりに謝る。
初めて全員集まってこれだから、この先に不安がよぎる彼である。
「与吉~。荷物がまとまったら糸で固定しておいて」
チッ!
与吉もメルンを真似したのか元気よく脚を上げて返事をする。
うん。可愛い・・。
ともあれ数十分後・・・。
「んじゃ、これから迷宮行くけど、これ以上何かある人~・・」
「はい!うちのパーティーはもう大丈夫です!バンバン買いましたし、載せましたし!いつでも行けますっ!」
「僕達の班も大丈夫です」
全員戻って改めてボートに荷物と人を乗せて、いざ迷宮に出発する。
「だけど凄いですねこれ!私達も乗ってこんな速く飛べるなんて!やっぱりこれ浮遊石使っているんですかっ!」
「確かにこれなら早くて楽ですね。ですけど、これ乗って気付いたんですが・・・」
そして迷宮の中を進み、改めてこのボートの凄さを口にする。移動も速く、荷物を持つことも無い。飛んでいるからモンスターの上を素通り。戦闘や遠回りの時間のロスも起きない。しかしオガは・・・。
「ん?この圧倒的輸送力に何かご不満かい?」
「いや、その少し狭いのはしょうがないとしてもあとその・・」
というのもボートを大きくしても余裕があるわけじゃない。人数と荷物から皆にはボートから足を出して座ってもらっている。しかもこれはただの鉄板だからつかまる所が無い。つまりボートがちょっとでも斜めになると落ちそうで怖い。
「ちょっと斜めになったり、遠心力で鉄板からフワっとなるとか、つかまるところが無いから不安で・・」
「大丈夫。落ちそうになったら与吉が糸吐いて捕まえてくれるから」
チ。
与吉は「やるよ」とオガに脚を上げる。
今一つ安心できるのか反応に困る。そしてそこにメルンが絡んできた。
「でもクラ君って変わってますよね!そもそも蜘蛛をテイマーしてること自体が普通じゃないですよ~」
あはは~と指座さして笑う。周りの人も苦笑いしながらも否定しない。
「何か与吉と一緒にいるとよくテイマーテイマーって言うけどホント何よ?ペットみたく飼ってる人の俗称?」
「え?テイマーしてないんですか?あのモンスターが勝手なことしないようにとか、こう・・モンスター用の契約記号紙とかそんなの」
初めてテイマーのことを知った彼。そして彼は・・・。
「一切してない」
「クラ君、それだと普通のモンスターと同じなのに・・一体どうやって与吉君と今までやってきたんです?」
普通の人から見れば謎の関係でしかない。
「え。そうなん?出会ってから今まで大体こんな感じで一緒だったけど」
Heyと与吉とハイタッチ。
まさかのただのモンスターとの関係に周りに「え~~」と声を上げる。
「いや~~思ってたよりクラ君と与吉君?って・・・私より凄く・・変ですねっ!!ちょっと引きましたっ!」
軽く彼らは引かれた。が、彼らは気にしない。
「ひどいな~。与吉、もしメルンが落ちたらギリギリで助けよう。多少手足擦りむいても無問題だ」
チチ。
「あ!クラ君!ちょっと運転荒くしてませんかっ!?小刻みにビート刻んでませんかっ!?」
「気のせい気のせい」
「あのクラリオンさん。あのお尻が浮きかける・・」
オガからの苦情に運転を大人しめにする。そしてさっき言ったメルンの言葉に彼はちょっと違和感に気づく。
「しかしそう言えばさっき変と言われたが、その前に自分よりっ変て言っていたよな?」
「はっ!そうです!与吉君をダシにして自慢しようかと思っていたんでしたっ!」
ムフーっと自慢げに立ち上がる。
「ちょっとメルン。危ないから立たない」
「そうですよ」
「いつもこと」
「メルン、落ち着いて。ね?」
メルンパーティーの皆が止めようとするも静止を止まない。しかも待ってた言わんばかりにメルンは語り始める。
「良くぞ聞いたクラ君!そう私達は選ばれしパーティー!」
「いや、そこまで聞きたいわけじゃないから」
他のメルンパーティーも「またか」かと頭を振り始めたり、苦笑いを始める。
「見よ!この背中をっ!この羽をっ!!」
グルっと後を向くと防具の後肩の部分が露出しており、その肩には・・・。
「ん~~・・何この手羽先?」
背中にちょっこり小さな羽が生えていた。
「てば・・っ!?クラ君!これは正真正銘!天使の羽なんだよ!」
メルン曰く天使の羽らしい。
「天使?」
頭悪そうになのに?手羽先の生まれ変わりだったらまだ納得できるが。あと与吉がひょこひょこ動く羽に喰らいつきたい感じ満々・・。
それで本当はどうなのさとメルンパーティーに目線を送ると。
「私達もそこまで信じてる訳じゃないんだけど・・・」
とエントリア。
「天使固有のスキルを使えたりするから多分」
魔法士という職業をしており、魔導士を目指してる最中のスン。職業柄そう判断できるのこと。
「闇属性の攻撃とか打たれ強いですしね」
フェアは闇属性のスキルでバシバシ当てるも特にメルンにダメージが入っていなさそうである。またフェアはパーティー曰く最終切り札。彼女が持つ鎌の武器は呪装と言われ、殺した相手のスキルをランダムで一つ盗めるらしい。ただし寿命が縮むから能力は使わないのこと。また形状が鎌なので当てにくいので棒のところでよく殴る。
「あと光属性のスキルも簡単に覚えますし」
最後にメアリー。パーティーのサポート担当。ミルティア同様に治癒スキルを持っている。
「まあ天使の羽か手羽先かはさておき・・」
「え!?クラ君興味無いのっ!?いつも皆興味深々で聞きたがるのに!?なぜ?なんで?WHY~?」
なんか英語が混じっていたようだが・・・。
聞かないのっ!?とすっごい見てくるメルン。
面倒そうだから無視しよ・・。
それから・・・。
「まさかもうアラクニードまで通り越すなんて・・・」
オガ達は4、5日掛けて着くアラクニードを1時間で通過する様に驚く。オガ達も何回か迷宮に潜っているから、やはり彼は別格だと分かる。
そして目的の調査エリアに到着。
「ではこの場所で調査を開始したいと思います」
目的の場所に着いた彼らは早速準備に取り掛かる。オガが率いる調査組は機材を使って、岩やら土を削り出し、メルンパーティーは周辺の警護を開始する。与吉には周りに糸を張ってもらい、何か触れると与吉が感知してくれる。
「ねえねえオガさんや。魔石の発掘ってどんな感じなの?」
そして彼はオガ達の雑務の手伝い。その片手間に彼はオガに根掘り葉掘り色々と聞気にいく。
だって暇だしね~。
「え?そうですね~・・。普通に鉱脈の発掘と同じですかね。だけど魔石は魔力を放っているので、こうして微力な魔力を探知したり、魔石くずが岩や土に混じってないか道具を使って調べるんです。ですけど・・・」
アンテナみたいのを持ちながら声のトーンが下がる。どうやらこの辺りに反応が無いようだ。
「だけどここには何の反応も無いと」
「やはりそう簡単にはいきませんね。次の場所に期待ですね」
調査はここだけではなく数十ヵ所調査するポイントがある。しかし彼のおかげで全て回る余裕が生まれたので、さらに範囲を広げて調査をすることになった。それにオガ達からすれば思わぬ喜びで、メルン達は調査ヶ所が多くなれば報酬の魔石が出てくる確立が上がるから「全然問題無いよ!」のこと。
そして数日間・・・。
「未だに収穫無しだね~オガさんや。ここの迷宮には無いのかね~?」
「迷宮はこれと言っていい程魔石は発掘されるんですけど。簡単ではないですね・・」
と言ってもちょくちょく小さい魔石は見つけている。ただ鉱脈ようなしっかりしたものはまだ見つかっていないのだ。
「正直導石が採れることを期待していたんだけどな~」
「はは。流石に導石は・・。魔石と一緒に発掘されるのは多々ありますが、そう簡単には採れませんよ」
「う~ん、残念。しかしオガさんや。どうして魔石発掘なんか?魔石でも必要なの?」
「僕は魔石研究家ですから。最近発見された迷宮に新しいことがないか調べにこの町に来たんです」
へ~。魔石研究家・・。
「つまり魔石に詳しいと?」
「まだ研究家としてはまだ未熟ですけど」
ふむ。なら少し聞いてみたいことがあるな。
彼はスキルでいつも核のみの魔石で大儲けしているが、簡単な構造は理解しても実際詳しくは分からない。なので魔石研究家と言うなら何か知ってるんじゃないかと聞いてみたいことがあった。
「じゃあさ聞いてみたいことがあるんだけどさ。魔石の中心に核みたいなのがあるじゃん?あれが魔石の本体?あと導石には核無い感じなんだけど、導石にはそう言う核って無いの?」
「よく知ってますね。そうですよ。僕達、研究家は中核って呼んでいます。魔導石は魔石の中核に圧力が加わると変質して魔導石になるんですよ。だから導石には中核はないんですよ。まあ導石自体が中核と言えなくもないんですけど」
「ほうほう・・・」
これ良いこと聞いた。中核に圧力・・。つまり圧縮。おっ、なんか魔導石作れそうじゃない?
そしてオガは熱が入ったのか話を続ける。
「この魔導石の発見はある学者が複数の魔石を一つの大きな魔石にする実験の過程で発見されたんです」
なんかオガさんエンジン掛かってきたな・・。
「魔石を溶かしたり、圧力をかけたりと様々な実験から高圧力を掛け続けると魔導石になるのが分かったんです。ただ高圧力を生み出すのに途方もない魔力を用意しないといけないみたいで今までの成功例がこの一回限りで・・・」
あ~どんどん早口になってきてる。
どんどんと色々と話してくれるオガ。しかし内容はどれも興味が尽きない話しであった。
「リーダーすいません。ちょっと!」
そこにオガが率いる調査隊がオガを呼んだ。
「あ、あはは。どうも喋るとついつい過熱しちゃいますね。クラリオンさんも引き続きお手伝いお願いしますね」
「はーい」
オガは仲間の元に駆け寄って何があったのか聞くと。
「リーダー。この辺りに反応が」
「この辺りですか・・。この岩盤を削るにしても硬そうですし・・・」
「反応から奥にありますね。どうしますか?総がかりで掘ってみますか?」
と言う話しを片耳で聞いていた彼もオガ達に寄る。
「ふっ。なら自分の出番だな」
「クラリオンさん?」
「詳しく分からんが、掘るなら任せなっ!魔力レーザーで岩盤ごとよく貫通させていたからっ!」
「・・え?え、待ってください。もしかして」
既に彼の拳には魔力が溜まり、何かする気満々だ。
オガもまたギルドから彼が色々とやらかすことは聞いている(フェリカ情報より)。故に彼が軽く落盤させることも知ってる。しかし。
「どこ掘ればいい?」
「あ。あそこの壁なんですけど・・」
他の調査隊が掘る場所を教えてしまう。オガが「落盤の危険が」と言おうするも・・・。
「ふんぬっ!!」
教えられた場所に拳を岩盤に突き刺し、拳が埋まったところから亀裂が走る。
「ここからシェールガス採取同様に・・亀裂に魔力を・・流す!!」
桁違いの魔力が放出されて、さらに亀裂が大きくなって・・・。
「はいこれで・・」
手を抜くと同時に亀裂から壁が崩れる。そして雪崩ように目の前に岩と土が覆われそうになるも魔力障壁を張って周りの人を防ぐ。
「ごほっ。ギルドの人が言っていたけど、本当に魔力の力技がひどい・・。皆、無事ですか」
「なんとか無事で~す」
「こっちも無事っす、リーダ」
オガの仲間も無事そうであった。
そんな大きな土煙に轟音と周辺を見回りしていたメルン達と与吉も急いで駆け寄って来る。
「なんですかクラ君!?敵襲!?モンスター!?ハルマゲドンですかっ!?」
チチチ・・・(そんな訳ないでしょ)。
「反応が・・・」
オガは近くにあった魔石を探る道具を使ってみるが彼の魔力放出で反応が鈍い。それでも崩れた壁の近くに行けば反応があるかもしれないと駆け寄って行った。
「オガさ~ん。まだ危ないかもですよ~!」
メルンが止めに入るが聞く耳を持たず。
「ここに・・。『ナック』」
微弱な反応のを頼りに彼同様に拳に魔力を集中して軽く殴る。
「ッ!間違いない!ここだ!」
岩盤を少しづつ削り、オガは声を上げる。それに周りの隊員も驚いた。
「こ、これって!!」
「リーダーッ!これ当たりじゃないすっか!」
「久々の当たりだあ!!」
「うっお、すっげ」
彼もひょっこり覗くと。
「おーー」
彼らが見たのは煌めく魔石のアメジストドームだった。しかも何人も入れる程の巨大な大きさ。見る限りでもどれも質の高い魔石というのも分かる。今までの調査の中では、とんでもない発見である。それにオガは。
「・・ポケットだ」
「ポケット?」
「魔石とか水晶が固まって集まっているところをポケットって言うんだよ。しかも人が入れる程のポケットなんかそうないよっ!!」
お、おお~。さっきよりテンションが高い。
メルン達も来るとその光景にどんどん目が輝いていく。
「こ、この魔力たっぷりな魔石・・・。クラ君のお金と合わせると結構な額になるのでは!?これは金持ちの仲間入りでは!?」
「これ高く売れればあの剣買えるかな・・」
「杖、本、官能もっ!」
「新しい服に・・アクセに、ああ、ちょっとしたあの小物も!」
「しばらく仕送り多めに渡せそうね・・・」
順番にメルン、エントリア、スン、フェア、メアリーらは物欲も唱え始める。
なんだろう。手羽先とメアリーとの慈愛の差は・・・。
「これ、魔導石とか混じってないかな・・・」
チ?
そして彼も彼で魔石のアメジストドームを隈なく目で探し始める。
「では皆さん!発掘の作業をお願いします!」
オガは張り切って発掘の作業を指揮した。
それから一週間・・・。
あのアメジストドームの発見で皆大喜びであったが、それ以降の調査ヶ所では全く当たりは無かった。しかし調査としては充分成功とオガは語ってくれる。
ついでにあの魔石のアメジストドームには魔導石はなかった。ただオガから知った魔導石の話は非常にためになる話であった。これだけでも今回のクエストに参加したかいがあったものである。
「皆さん。お疲れ様です。もし何かあればまたお願いします」
「あいよーっ!じゃあ私達は換金してくるねっ!」
「結構有意義だった」
チィ~チ。
ギルドに発掘クエストを済まし、長ったような短かったようなクエストにお互い別れの挨拶を済まして、ここで皆と解散した。本当ならクエストが終わったら一発乾杯といきたいところだったのが・・・。
「魔石に高圧力をかけると魔導石になる・・か。ふっ。まさかそんなことで魔導石ができるとは・・」
勝ったな。
オガから聞いた魔導石の話をすぐに試したいとあっさり別れの挨拶をすましたのである。
「よし!与吉、今日から魔導石作りと研究だっ!」
チ?
そして次の日。事件を起こす・・・。
「あかん・・。めっさ草生えとる」
チィ~・・。
魔石から魔導石に変えようとあれこれした後の朝。目を覚ますと見えたのは、部屋が床一面に草やら木やら生えているファンタジー溢れた空間だった。
あ・・・ありのまま起こったことを・・と言いたいが、ダメだ。普通に心当たりがある。マジ草生える・・・。
頭を抱えながら思い出せば夜のこと。
「『万物追及』で・・圧縮ううううヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!」
腕に力を入れる必要無いのにスキルで魔石に圧力をかけていると。
「ん?お?光った!?あっ!でもこの光り方!なんか爆発落ちしそうなんだけどっ!!」
手の中で危ない光り方に目を背け、与吉はその光景にベッドの下に避難して彼の様子を見守っていると。
「ん~~、ん?んん・・」
そして光が治まると彼の手には元の魔石よりちょっと大きくなった魔導石が出来上がった。それに彼は・・・。
「よっっしゃゃゃぁぁぁぁあああああーーーーーーーっっっ!!!!」
この成功に彼は大喜び。調子に乗って他の魔石も魔導石に変えはじめる。
魔導石自体にも圧縮をかけて小型かつ高出力高魔力の魔導石も精製するなど、これで魔導石には困らない!天下無敵!とハイテンションで自画自賛。そしてお店で買った魔導石のことを思い出し・・・。
「そうだ。前に買った魔導石・・あれも混ぜて一つの魔導石にしよう」
お店で買った色んな種類の小さい魔導石。火に水に風に土やらの魔導石も一緒に一つにまとめて大きな複合魔導石にしようと思ったのだ。それがいけなかった。
「この絶景・・・アスラお姉様が見たらどうなるんだろうか」
彼がスキルに使った過剰なまでの魔力に魔導石が反応してこうなってしまったらしい。しかも部屋の草や木以外にも水が流れ、火が噴き上げ、風が吹き上げ、鳥や虫のさえずりさえもなんか聞こえてくるリアル箱庭ファンタジーになっている。
「流石に出禁かな~」
朝からこんな事態に頭の回転が追いつかない彼は、これをどうしようかと考える。
「除草剤でこれどうにかなるかな~・・」
その後当然アスラに無茶苦茶怒られた。しかも・・・。
「はいクラ君。しばらく私と一緒に過ごしてもらいます。駄目です。ええ、罰です。大丈夫です。ちゃんとパジャマも用意してありますから。これで一緒に寝ることが・・フフ」
とのことである。部屋の草が無くなるまでアスラの一緒の部屋で過ごすことになった。そんな彼もプライベートは欲しいと「遺憾である」と苦言を申すが受け入れざなかったと言う。
因みに部屋があそこまでリアル箱庭ファンタジーになった主な要因は土導石にある。小さかった土導石が他の魔導石と混ぜたことにより、大きな土導石となったことで肥沃の土を生み、草や木を生やしたのだ。ついで水と火の魔導石でさらに草木に良い絶好の成長環境にもなってたのも付け加えておこう。
そして・・・。
「さて・・・」
嫌なことは忘れて部屋の椅子に座るも椅子も机も大草原。家具まで浸食しているんだから正直途方に暮れる。いちよ原因たる魔導石達は、持っている金属の素材で影響が出さないように分厚く完全密閉保存しておいた。
「本にも草が生えるか~」
他の与吉に至っては迷宮では見られない草に興味深々。すごくモグモグしてる。
「まあ買い替えればといいとして・・・」
今までの魔石に関しても自分が求める武器の為に始めたこと。残りは記号式について知るだけになった。しかしそれは彼が発行したクエストに依頼に来てくれる人を待つのみ。
「来てくれるまで暇だね~与吉」
チ?チッチチィ~?
「あ。そうだね。まだ溝とか端っこ草生えてるし、家具もどうにかしないといけないか」
やることはまだ色々とありそうだった。
それから一ヶ月半・・・。
「べラフじゃ」
「依頼人のクラリオンです。依頼は自分が記号式を学びたいので指導できる方の募集、
期間は特に設けてなく、報酬は要相談。ただ数ヶ月、7日に1ハクは払える金銭はある。と、依頼の紙に書いてあるのは知っているよね?」
「もちろんじゃ。細かなことを聞きに来たわけじゃからな」
箱庭ファンタジー事件から一カ月半。ようやく彼のクエスト依頼に遂に人が来た。
そしてその人はおじいさんで名をベラフ。魔導士を職業をしてると言う。今日は彼の部屋でクエストの詳細な打ち合わせをしようということになっているのである。
「自分は出来れば半年、または1年以内に記号式覚えたいんだけど、それってできる?」
「記号式は複雑じゃからの~。生涯掛けても全てを理解することは無理じゃな。まあ一年なら初歩的なことなら覚えられなくないが・・。まさか依頼人が子どもとは。儂はそっちが驚きじゃな」
「そこは気にしなくていいから。しかし、そうか・・。だとしたらベラフさんはこのクエストをいつまで受けられる?あとこっちは別に毎日付き添って欲しい訳でもないから、他のクエストの重複、場合によっては他を優先しても構わない。だけど5日、7日に顔は出してほしい。と言うのがお願いかな?」
「つまり家庭教師の真似事か。しかし儂はこの町にいつまで滞在するか未定でな。半年もいないかもしれん。長くはできないぞ?」
「ふむ・・。なら期間はベラフさんが滞在するまでの間まででいい?」
「ん。それで大丈夫じゃ。では次に報酬じゃが・・・」
報酬の話におじいさんは切り出すと、少し真面目な目になる。そこはシビアな問題だから、ぬかるわけにはいかないようだ。と言っても彼は金銭に余裕あるから気にしないところだが、侮られたくはないので彼も真面目になって報酬額の話をする。
そして結果は・・・。
「あい分かった。1日20バレルで手を打とう。これ以上の吊り上げ吊り下げはお互いに無し。これでいい?」
「決まりじゃな。しかし随分と簡単に引いたのう。もう少し粘ると思ったんじゃが」
あまり相場が分からないこともあって、長く議論はせずに手を引くことにした。
「まあ。無駄に長く議論してもあれだしね。けどさ、子どもが1日20バレル支払うって、普通子どもがそんな大金を持ってると思う?普通嘘だと思わない?」
彼は買い物する時は大金を見せてからでないと子どもだからと門前払いされてしまう。しかし今回そんなことはしていない。なので疑問を抱かないで交渉の話を続けるベラフにちょっと意外と思っていたりしていた。
「いやお前さんよ。儂は魔導士じゃぞ。流石に部屋に幾つも置いてる魔導石の存在には気づくわい。溢れる魔力からして儂らに見せびらかしているもんじゃ。しかしここの迷宮ではそんな良い魔導石が取れるのか?」
売ればそれなりの額になるとベラフは分かって、お金には余裕があると疑うことなく交渉をしたわけであった。
しかし魔導石から魔力が溢れてる指摘に「え?嘘やろ?」と再度箱庭ファンタジーが起こるんじゃないかとそっちに焦る。
兎にも角にもしばらくベラフおじいさんの元で記号式の勉強を教えてもらうことができた。これで彼の長い長い武器作りまでの過程が終わりそうである。
それまた数週間後・・・。
「まずは陣を描いてみよ」
「任せろ。この数日、無駄に円を描かされたあげく、コンパスを作り上げたら邪道と言われ、泣く泣く手描きになったこの技量を!」
ツーと描いてみるが綺麗とは言い難い少し楕円形の円。
「ギリギリ及第点じゃな」
「うん。知ってた。流石に数日で綺麗な円なんて描ける訳ないってことを」
因みに与吉にペンを持てる道具を作って持たせたら、彼以上に綺麗な円を描けた。
「円陣は基礎じゃ。そこから線を引き、魔力の流れ、分配、区切り、配線、色々と意味があると言ったじゃろうが。綺麗に描けなければ上手く魔法は発動せんぞ」
「は~~い」
「まあ。しかし記号式を学びたい理由が武器作りの為だというのを知った時は、何言ってるんじゃこいつは?と思ったんじゃが、本気のようだしのう。何か複雑に気分にさせられるもんじゃよ。まったく」
「ベラフ先生もヘルニア治療法求めてよくこんな辺境の最果てまで来たよな。新しく発見された迷宮にヘルニアに効くピンポイントな物があるわけないのに。治癒スキルで治せばいいのにさ」
「再発するから嫌なんじゃよ。歳になれば分かるぞ」
こんな感じで時に雑談しながらも記号式を学んでいく。そして記号式はやはり魔法陣の一種であるのが分かった。また魔法陣で言う文字の部分は、記号と言うのが使われており、その記号が難解であった。
「なんでこう記号は複雑なのかな~・・・」
言葉で当てはめればC言語。一つの記号で一つのプログラムと解釈できた。しかし記号一つで10~20近くの意味があり、陣や記号の配列によって意味が変化するのだという。しかも記号は数千もあり、新しい記号が出来たり、未だ解明不明のブラックボックスの記号もあったりと基本的に記号式自体が謎多いものであるのが分かった。
「ほれ。さっさと描く練習を続けんか。大人でも何年何十年掛けて覚えるのが普通じゃよ。数日で理解できたら苦労せんわ」
しかしこの難解な記号式をとても分かりやすくする方法がある。それがなんと記号式は別に記号を用いなくても通常の文字(日本語)でも成り立つと言うのだ。しかも何故そんなことができるか謎であるという。最初聞いた彼も「ん?え?何故に?」と不思議がるしかなかった。
「ベルフ先生。記号全部を普段の文字で描くのは駄目ですかね?」
「出来なくはないがのう。そんなの普通に使えば大賢者でも魔力は枯渇は間違いなかろうて」
また記号式は記号の数で魔力消費で決まる(記号一つ0.1の魔力消費。この異世界では小数の概念がない為、10個で1の魔力消費と考えている)。それが日本語の一文字で、一つの記号と解釈されてしまうらしい(一つの記号を日本語で表すと大体10~20字使う)。そして記号式に使われる標準記号数は、60~120個。つまり全てを通常の文字で現せば、魔力消費が100倍とかそんなレベルじゃないのだ。
「あくまで起動構成を知るぐらいじゃのぅ~」
通常の文字を用いるのは、記号式の制作過程で多様に意味が変化する記号を一部を通常の文字で区切り、配列の正常起動、間違いの発見に使うものらしい。
「まあ、でも全部日本語で書くと大変だよな。絶対に陣の中に納めないといけないし・・」
「ぼやいとないで、ほれ、次はこの陣を描いてみろ」
「は~~い。描きます描きます・・・」
こうして彼はべラフの元で記号式を理解していった。
しかし今更だけどフェリカ妹が使っていた記号式はかなり高等なものだったんだな。
あのアラクニードでフーとの戦い?を薄っすら思い出す彼である。
そして3ヶ月・・・。
「お世話になりっしたっ!!」
「よく2ヶ月で全ての本をスキル無しで写本したのう~。しかし・・」
彼のクエスト依頼は3ヶ月で終わった。無論それだけの期間で記号式を理解した訳ではない。と言うのもベラフから記号式を学んで一ヶ月後、ベラフの友人からヘルニアに効くらしいアイテムが手に入った趣旨の手紙を貰い、急遽ベラフがその友人のところに行くことにしたのだ。なので後は独学で頑張ることになった。しかしそれだと流石の彼も困り、何とか後2ヶ月残ってもらい、またベラフは何冊かの分厚い記号式を持ってるということで別料金(1オウカ)払って記号式の本を写本の許可を貰って、残り2か月全力で写本していたのだ。
「正直あの蜘蛛の方が一番の驚きじゃったがのう」
「もう陣を描かせるのは与吉に任せることにした・・・」
チチ?
彼の頭に乗ってる与吉をベラフは眺める。
写本した記号式の本にある記号式の陣は、全部与吉に模写してもらったのだ。彼が自分より上手で早く描けるからもう全部任せて描いてもらったのである。
こうして世の中変わった存在いるのう~とべラフはこの町から去って行った。
「あ~ベラフ先生が行ってもうた・・。はあ~~つらい」
こうして大して学べず上手くいかなかったとため息を吐くが、どこを探しても無かった記号式の本を写本して手に入れたのは、悪くはなかったと前向きに思うしかない。
「この頑張って写本した記号式の本で頑張っていこう・・・」
こうして次から一人で記号式の勉強していくことになった。
そして1ヶ月・・・。
「ふふ、フフフ・・・遂に・・ついに、ついにこの時が来たのだっっ!!我が真なる目的がっ!」
今の今まで彼が求める武器作りの為にパレス工房に行き、パンバリアの生き血を大量に集めることを強いられ、ギルドの手伝いもさせられ、目的も忘れかけ、さらに魔導石や記号式の存在も必要となり、大体ここまでくるのに8ヶ月。正直、大した目的でも目標でもないことをよくまあここまで彼は頑張ってきたと思う。
「そして自分はやっと!や・・っっとの思いでっ!!自分は武器を作り上げたのであるっっ!!!」
今までの苦労があったからこそ彼は熱く語る。
「見よ!この短剣一号と二号をっっ!!!!」
シャキーンっと手に持ったネーミングがもっとあっただろう2本の短剣。彼は遂に自分が求める武器を作りを成し得たのだ。そしてその武器をある人達の前に見せつける。
「久しぶりに来たと思ったら、これ見せに来たんですか?」
「なあクラ。頭にいる蜘蛛飼ってるのか?」
「なんか迷宮で出会ったとか前言ってたね」
「モンスター・・」
「ミヤッ!触ったら危ないなのよっ!噛むかもしれないから!」
そんでもって見せつけている人達と言うのがシルル教会の皆、ミルティア、メルダー、クロエ、ミヤちゃん、マルリの5人である。ここ最近、写本と武器作りに専念して3ヶ月会っていなかったのだが、全て終わらせシルル教会に来たのである。
「お前らっ!自分がこれまで一体どんだけ苦労したか分かってないだろっ!!本当はさ、もっとカッコイイ武器が作りたかったのに!」
そんな彼も最初はビットやら浮遊する武器を作りたかったのだ。しかし純粋にそこまでの技量も知識も未熟。彼が求める武器とは遠い付け焼き刃の短剣に落ち着いた。しかも実際は剣ではなくトレンチナイフ。
なお、刀身やグリップの内部には記号式が彫られ、使ってる素材はミシャロ商会製の無駄にいい金属を使ってる商品から素材にした物と彼が無駄に高品質に仕上げた魔導石を使用しているので、魔法の火力だけは短剣の域を越えている。
「ん~~」
「もう!パクッっていかれるのがオチだからやめなさいってミヤ~ッ!」
そしてミヤちゃんは与吉に興味深々。
「それよりもいつも言っているでしょ!しばらく来なくなるなら一声掛けなさいって!どうして出来ないんですか?」
「なあクラ、その蜘蛛~」
「う~ん。迷宮からモンスターを連れて来ていいのかな?」
「皆、武器に興味なしかよ・・・」
もっと武器に注目してもらえると思っていたのに注目してもらえないことにちょっと悲しむ彼である。しかし悲しんだのは数秒だけ。すぐにモチベーションを直す。
まあいいさ。その内この武器の凄さに膝待つかせてやろう・・。
「ふっ!しかし皆、与吉に注目するのは無理もない。前々から与吉のことは話していたが、初めて今日連れて来たからな!よし与吉!自己紹介だ!」
そんでもって今日が与吉と皆の初顔合わせでもある。
チ?チチ・・。チィ~チチ。チッチ、チィ。チ、チ、チ。チーチィ。
と喋ってくれた。
「である!どうだ?凄いだろ!」
「分かるかっ!そもそもなんでモンスターなんか連れてくるのよ!?」
「クラリオン君。前から仲間したと聞いていましたが、本当に蜘蛛をテイマーしたんですか・・」
少しミルティアが引いている。と言うより頭にいる与吉を見てからずっと引いていたりしていた。
そんないつものやり取りみたいな感じを繰り広げていたら、やっと短剣の存在を気に掛けてくれたのかメルダーもクロエが思い出したかのように彼に聞く。
「そう言えばクラ、今日なんかナイフ持ってたよな」
「あ。そうだったね」
「ふっ。出来れば最初に目が行って欲しかったと言っておこう。あとこれはナイフじゃない短剣だ」
そして改めてシャキーンと短剣をまたメルダー達の前に見せる。
正直なところこのカッコ良さがちゃんと分かるのは、男同士ぐらいとメルダーとクロエには一番共感してしてほしかった相手である。
「んじゃ改めて教えてあげよう。この短剣には自分が組んだ記号式と魔導石を使っているのだ。ほれ、試しに持ってみ」
あんまり詳しい意味は分かっていない感じだが、とりあえずメルダーとクロエに一本ずつ持たせて重さや握り心地を堪能させる。
「おお、意外にずっしりしてる・・」
「かっこいいな~」
「一号には火導石。これで炎が出せる。二号には水導石・・なんだが。記号式の組み方が悪かったのか何故か氷が出る。まあ有りだからいいけど」
「いいな~。俺も武器とか欲しいな~。これ買ったのか?作ったのか?」
「いやさっきから作った作ったって言ってたんだけど」
こんな様子でワイワイと男達は話し、一方ミヤちゃん達と言うと。
「だから危ないって言ってるでしょっ!ミヤ!」
「・・・・・」
「あ。クラリオン君、この蜘蛛・・よきちでしたか?ちゃんと躾けてありますか?ミヤちゃんが突いているんですけど」
チ~・・・。
彼の頭に乗っていた与吉を捕まえて、机に置いてミヤちゃんは観察する。
与吉よ。すまんがしばらく耐えてくれ。
その後、ひとしきりの自慢と与吉ヌード観察が終わるとシルル教会を後にして、今度は迷宮へと向かい出した。と言うのも二つの短剣の実戦を試し迷宮に行くのだ。と言うよりそれが今回の目的である。シルル教会に来たのは、ただ本当に自慢しに来ただけである。そしてこの後迷宮で軽く自滅しかける。
そんなわけで迷宮へ・・・。
「お。いたいた」
いつものボードで飛びながら迷宮の中を進み、目的であるモンスターの群れを見つけると嬉しそうにしてボードから降りと。
「与吉今回は危ないかもしれないから頭の上で待機な」
チチ。
実験で何が起こるか分からないから与吉には待機してもらい、そして彼は嬉々しながら短剣一号を抜き、握ると一号の刀身が真っ赤に高熱を発し、炎を纏わせる。
「お~出力上げても安定中!よし記号式の誤作動は今のところなし!」
部屋の中ではできない炎の火力に満足度。
ん~、にしても凄いな。記号式で炎の向きもある程度指定できるし、輻射熱の方向まで変えれるとは。あとはどこまで記号式が自分が思った通りに動くのが気になるところ。
短剣を振ったり色々と念入りに反応を確かめる。
「刀身の溶解もなし。ただこの状態での刀身の耐久性はあんまよくないだろうな~。打撃は避けるべきか・・。まあそれで壊れたら壊れたで仕方ないか。んじゃ!行くかっ!」
モンスターに狙いを定めて炎を放ち、燃焼の勢いを確かめるようとまずはひと振り。イメージ的には炎の範囲攻撃をしようと思った。思ったのだが、悲しいかな、この記念すべき最初の一回で先ほど言ったように自滅しかける要因になる。
ゴオォォォォ!!
「ん゛!?」
予想以上の広範囲に渡る炎の波。波と言うか津波。そんでもって炎の津波が壁に当たると、行き場を失った炎のが反射して彼がいる方向にも向かいはじめる。
「うっそーーーっっっ!!?」
急いでボードで退避。
「えっ!!?こんな物理法則あるのっ!?」
ボードに乗って距離を空けるも熱波が凄く、素肌の与吉は熱波が当たらない彼のお腹辺りに避難する。
ヂィ゛~・・・。
「これ迷宮で使っちゃ駄目なやつだぁぁあああーーーーっっ!!!」
記号式の調整待ったなしの大惨事を起こす。そんでもって短剣二号は何も試せず終わる。
なお、どんな広い迷宮でも迷宮の広範囲攻撃は厳禁である。理由は色々あったり、ご覧のあり様なのだが、炎の場合は鎮火後その周囲は一酸化炭素エリアに様変わりしてしまうからだ。
その後この問題を起こしたことをギルドにバレて彼は罰金を課せられる。
「だって迷宮上層で問題起こすのクラリオン君しかいないんだもの~」
「最近この町で問題起こすのはあいつしかいないじゃない」
「クラリオン君って周り気にしないしね。アラクニードでも派手にやった子だし」
とギルドにいる三姉妹が有無を言わずに彼が犯人だと断定していた。
実はこの10話結構書き直しと、どこまで話をまとめるか区切るか四苦八苦していました。おかげで予想より長くなって一カ月ぐらいまで・・。
今回は魔導石で辺りで区切るか記号式の話は次回に持ち越すべきか悩み、結果、詰めに詰めて納めて書きました。
2020.07.27 誤字一部修正




