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出会い

 一晩を越す場所を探して、俺は街を徘徊した。

ここは、一日中ギラギラと眩しいが、俺みてーな文無しには居場所がなかった。

金さえありゃ、バーでもホテルでも、しのぐような場所はいくらでもある。

だが、金の無いやつはお断りだ。

しばらく徘徊すると、地下への入り口を発見した。

地下鉄だ。

階段を降りると、券売機とゲート。

中で凌げるスペースはないため、他を当たる。

その内、でかいメインのステーションらしき所についた。

ここはいくつかの路線の集まった駅らしく、そこそこ広いスペースがあって、バックパックを背負ったやつなんかが、しゃがんで休憩している。

始発を待っているのか?

とにかく、ここなら変に目立つこともなく、凌ぐことができそうだ。


「……」


 明日から、どうすりゃいいんだ?

街の外まで出てみるか?

……望み薄だ。

ここは、恐らく日本じゃねー。

スーパーで見かけたビスケットの箱、街にぶら下がってる看板、全部、謎の言語で書かれている。

駅のホームにある電光掲示板。

行き先が記されているが、全く読めねー。

この地下鉄を駆使して、空港まで行ければ、日本に帰れるだろうが……

やっぱり、ここから出るには金がいる。


「……」


 ……そうだ。

俺の見立てじゃ、ここは結構色んな国から人が集まってくる。

バックパックをしょった奴も多い。

てことはだ、日本人も紛れてる可能性がある。

日系の奴を見かけて、声をかけりゃいい。

日本語が通じれば、こっちのもんだ。

金を稼がなくても、金を借りることができりゃ、それが一番手っ取り早い。

帰ったら返すとか何とか言ってな。


「……っし、決まりだ!」


 意外と何とかなっちまうかもな。

安心したら、急に眠気に襲われて、俺は眠りについた。








 翌朝、目を覚ますと、ちらほらと人が集まって来ていた。


「良く寝たぜ」


 駅にあるデジタルの時計には、6;00と書かれている。


「5時間は寝れたか……」


 昨日駅に着いたのが深夜1;00。

すぐに眠りについたから、それくらいだ。

っし、早速、行動開始だ。







 1週間が経過した。

ここから日本人を見つける作戦は、まだ成功していない。

つか、いねえし。

日本人。

世界的にみたら、いかに日本人がレアかってのを思い知らされる。

 俺の心は日に日に荒んでいった。

まず、ここの奴らはスタイルがいい。

街を歩くのですら、嫌になって来た。

自意識過剰かも知れねーが。

すげえ惨めだ。

飯についても、限界がある。

相変わらず飯はゴミを漁ってるが、これが結構人目に着く。

警察に職質された時は、言葉が全然通じなくて呆れられたし、ゴミを食うってことは、賞味期限とかの保証がねえってことだ。

昨日はすげえ腹痛に襲われて、店のトイレで悶絶してた。

もういい加減、諦めようかって時だった。

ダメ元で、人のたくさん集まるバーに紛れていると、ある奴に話しかけられた。








 その時は、タダで飲める水をあおりながら、日本人はいねえかと目を走らせていた。

すると、やたら背の低いチンチクリンを見つけた。


「……あれって」


 森ん中で、俺が殴り殺した奴に似ていた。

俺がそいつを凝視していると、向こうから日系の男が現れた。

そんで、俺と目が合うと、こっちにやって来た。


「お前、転生者か?」


「……あ?」


 思わず、そんな返事になっちまったが、俺は目を疑った。


「え、日本人、ですか?」


「やっぱりだわ! 俺の名前はアヤベ。 お前は?」


 

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