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空腹

パンを掴んで店から出た瞬間、左腕に激痛が走る。

尋常じゃない痛みに、俺はその場で悶絶して、動けなくなった。


「うっ、ぐっ、グアアアッ……」


 腕輪が小さくなって、俺の腕を圧迫してるみてーだ。

みるみる拳が青くなり、俺は冷や汗をかいた。


「急に、この腕輪っ、いでえっ……」


 俺は、どうにか腕輪を外そうと試みたが、全く外れねえ。

サイズがあってねー腕輪を無理やりはめられてるみてーだが、さっきまで腕輪は腕にはまってた。

っつーことは、やっぱり現在進行形でこの腕輪が小さくなってるってことになる。

だが、一体何の影響で?

まさか、このパンを盗んだからか?

何でもいい、この痛みから解放されるんなら、パンなんていらねえ!

俺は、どうにか扉を押して店内に入った。

そして、パンを棚に戻す。

すると、痛みが一気に引いた。


「はあっ、はあっ……」


 店員がいぶかし気な目で俺のことを見て来る。

それを無視して、俺は店から出た。








 最低だ。

この腕輪、どういう原理か分からないが、万引きとか、そういう悪いことをしようとすると反応するらしい。

まるで孫悟空の頭の輪っかだ。

何で俺がこんな目に合わなきゃならねーんだ……

もう、夜もだいぶ更けてる。

飯を確保できなかったら、このままのたれ死ぬ。

いや、誇張とかじゃなくて、マジでだ。

 ダウンジャケットを羽織った黒人が、街を徘徊している。

連中、ホームレスって奴か。

幸い、俺は金を持ってるように見えない為か、襲ってきそうな気配はない。

ただ、下を向いてできるだけ目を合わせねーようにする。

 暗がりの中で、やけに明るいネオンの看板。

ガラスの向こうでは、うまそうに飯を食う奴らが見える。

ギュルルル、と腹が鳴る。


「……くれ」


 助けてくれ。

だが、言葉が通じない。

誰も、助けてくれない。

身振り手振りで、腹が減ってるってことを伝えるか?

でも、その勇気が俺にはない。

俺は、小心者だ。

自分がこんな弱いとは、思わなかった。


「情けねえ……」

 

 抵抗する気力がわかない。

このまま地面に伏して、死んでしまおうか……

そんな弱気なことを思った時、目の前にあるものが飛び込んで来た。

黒い袋の山。

ゴミだ。

ゴミが、つまれて道端に置かれている。


「……あれだ!」


 俺は、その袋の一つを掴んで、路地裏に入った。

袋をほどいて、中身を物色する。

無我夢中だった。

やってることは、ホームレスのそれだが、なりふり構ってる場合じゃねえ。

人に話しかけられない以上、俺にはこれしかねえ。

すると、妙なもんが袋から現れた。


「う、ウワアアアアアアアアアアッ」


 人間の、生首!?

冗談じゃねえぞ……

いきなり俺の心を折りに来やがった。


「……あん?」


 ……生首は生首だが、血がついてねぇ。

って、マネキンじゃねーか!

俺は思いっきりマネキンを蹴飛ばした。

いきなりハズレをつかまされた気分だぜ……

だが、俺の名前は大月ゴロー。

こういうののクジ運は捨てたもんじゃねえ。

気を取り直して、ゴミ袋ガチャの再開だ。







「ガフッ、ガフッ……」


 今俺は、ゴミ袋から見つけたパンに、ビスケットを挟んだもんを食っている。

ここいらには、ベーカリーの店や、ピザハウスなんかが結構ある。

それに、スーパーにはさっき見かけた、やたら大量に入ってるビスケットが売られている。

必然的に、食いきれねーパンとビスケットがゴミとして捨てられるって訳だ。

人間、なりふり構わなきゃ、何とかなるもんだ。

衣食住の、食は満たされた。

あとは、住を確保しなきゃならねえ。

このまま外にいるのはしんどい。

地下鉄みてーな所がありゃ、いいんだがな。


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