表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

VSディオン

 俺は今、ドンキ的な所で装備品を整えている。

それをかき集め、レジに進む。


「23メニーデイス」


 よくわからねえが、30メニーありゃ足りんだろ。

買い物を済ませると、路地裏で買ったもんを取り出す。

ヘルメットに、手袋、そして、膝パットだ。

建物のガラスで、自分の姿を確認する。


「……」


 ローラースケートの人みたいだが、まあいいか。

クソガキを探して街を徘徊していると、〇蘭っつーラーメン屋から、のれんをくぐって出てきやがった。


「ラーメンのクセに20メニーとか、ぼりすぎっしょ。 ……ん?」


 俺は、地面に片膝をつき、ターミネー〇2に出てくるT-800の出現シーンと同じポーズをとった。

自分で言うのもアレだが、かっけえ。


「何、お前」


「俺の名はゴロー。 表向きはただの浮浪者だが、その実態は……」


「あー、大月ゴローね。 転生者でしょ」

 

 知ってんのかよ。

目の前のガキは、スマホみてーな機械を取り出し、文面を読み上げている。


「前職は事務員で、友達は0。 年齢イコール彼女いない歴で、年は37か」


 なっ、俺の個人データを網羅してやがる。

しかも、年が実は37だってバレちまったじゃねーか。


「スキルは素手無双か。 だったら中距離からボコればいっしょ」


 気が付くと、クソガキは俺の手の届かない屋根の上に移動していた。

そして、建物の影から、見覚えのある奴が出て来た。


「……てめえ、小島!」


 あのヒョロヒョロのきめえシルエットは、小島だ。

小島は、手にバットを持って、こっちに近づいて来た。

暗がりから、明かりのある方に進んでくると、おかしなことに気が付いた。


「何だてめえ、その顔……」


「あんたに顔を殴られたせいだよ。 腫れがいつまでたっても引かなくて、そこから顔が腐っていったんだ」


 小島の顔が半分、腐り落ちていた。

頭蓋骨が見え、陥没した穴から虫が湧いてやがる。


「あんた、急に善人みたいなことを始めたけど、過去まで消せると思ったら大間違いなんだよ。 よく有名人がテレビとかで、昔はいじめられっ子でした、とか言って、そのいじめっ子と対面して、今は全然恨んでないから、みたいなこと言うシーンあるよね? あんなの、全部ウソ。 頭の中じゃ、怒りで煮えたぎってるから」


 小島の野郎、よくしゃべるじゃねえか。

つか、来るんじゃねえ……

確かに、俺は小島にひでえ仕打ちをした。

きめえ、っていう理由だけで、だ。

俺は、小島のことが直視できず、バットでひたすらぶん殴られても、何もできずにいた。


「がはっ」


 あばらにバットがめり込んだ。

骨、いったか。


「あはは、めっちゃ楽しい!」


 段々意識が遠のいていく。

小島は容赦なく俺の頭にバットを叩き込んで来る。

ぶっ倒れそうになった時、突然、小島の動きが止まった。

まるで、ビデオの停止ボタンを押してるみたく、微動だにしない。


「はい、そこまで。 大月ゴローさん、俺はあんたのことが好きだよ。 だから善人ぶってないで、俺とやりたい放題やろうよ? 賛成なら、世界の半分をあんたに上げたっていいと思ってる。 もしダメなら、また痛い思いするだけだよ?」


「……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ