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異世界デビュー

 大月ゴロー。

それが俺の名前だ。

ゴロツキじゃねーぞ。

年は35で、身長は170センチの体重85キロ。

いわゆる、メタボってやつだ。

 そんな俺だが、もともとやってた引っ越し屋をやめて、今はとある会社で事務をやってる。

体はラクチンだが、給料が安すぎて、やってらんねー。

そのやっすい給料をカバーするために、今日も仕事帰りパチ屋でパチンコをやっているが、全然当たらねー。

当たってもせいぜい1連チャン。

っざけやがって。

俺は、いかってパチンコの台をぶん殴った。


「っそが!」


 結局、サイフに入っていた3万を使い込んで、その日は帰った。

翌日、目を覚ますと、わけのわからないことが起きた。


「……は?」


 眼前に映るのは、空。

俺は、森の中みてーな所で目を覚ました。

背中が土埃で汚ねーし、超さみー。


「ふざけんなよ、誰がこんなとこに連れてきやがった……」


 真っ先に思いついたのは、引っ越し屋ん時の同僚、小島。

あの野郎、ムカつくから呼び出してボコボコにして以来、ちょいちょい嫌がらせをしてきやがる。

例えば、俺の車のタイヤをパンクさせたり、そんな感じだ。

もし小島がわざわざ俺を運んでこんな所に置き去りにしたのだとしたら、むしろ笑える。

まだ俺のことを根にもってやがるとか、器のちいせぇ野郎だ。


「つか、どこだよここ」

 

 俺の近所に、こんな森みてーな所あったか?

それとも、ガチで山ん中だとしたら、手が込み過ぎだ。

まず、睡眠薬みてーなもんで俺を熟睡させねーと、途中で目が覚めちまうだろう。

あの小島がそんな計画的犯行を実行するとは思えねー。

俺だって、めんどくせーし、やらねーわ。

小さく舌打ちした後、俺は歩き始めた。

マジで、クソめんどくせえ。

どこに行きゃいんだよ。

歩くのとか嫌いなんだよ、俺。

引っ越し屋は後輩をいじめんのが楽しいからやってたようなもんだ。

まあ、それが上司に勘づかれて、扱いが厳しくなったからやめた訳だが。

唐突に小島の野郎の顔を思い出したら、イライラしてきやがった。

俺が拳を振り上げて、木をぶん殴ろうとした時だった。


「……何だ」


 木から顔を出して、誰かがこっち見てやがる。

小島か!


「てめえ、小島っ!」


 俺は、怒鳴り声をあげて、ダッシュした。

小島の野郎、ぶっ殺す。

小島の野郎も、俺に気付いて逃げ出した。


「まてオラッ、俺から逃げられると思ってんかっ、てめえ、死ぬか、俺に殺されるか、選べっ」


「ギエエッ」


 小島は、きめえ声を上げながら、走る。

すると、小石に躓いて、その場に転倒した。

俺は、小島の上に馬乗りになって、顔面を殴打した。


「おらあっ!」


 ぐしゃり、と拳が顔面にめり込む。

俺は、びっくりした。

めり込んだ拳は、骨を砕き、脳天をぶち抜いたからだ。


「う、うわあっ」


 俺は、思わず飛びのいた。

どういうことだ。

いくら俺の力が強くても、人間の顔面を砕く程の力はない。

つか、そんなパワーがある人間が、そもそもいねーだろ。


「……やっべえ」


 人殺しは、マズい。

こいつをどっかに埋めねーと……

潰れた顔面を見ないように、相手に近づくが、思わず見ちまった。


「……あれ?」


 こいつ、小島じゃ、無くね?

頭はハゲてるし、顔は良くわからねーが、背がやたら低い。

俺の半分もねーんじゃねーか?

こいつ、ゴブリンか?

俺は、ゲームとか好きでよくやってっから、分かる。

コイツ、ゴブリンだわ。

てか、そんなもん、実在しねーだろーから、カッパか?

カッパだって実在しねーか。

とにかく、俺は安堵した。

こいつ、多分人間じゃねえ。

未確認生物的なやつだ。


「脅かしやがって……」


 こいつの死体を無視して、進もうとした時だった。

腕に、煌く腕輪がはめられてることに気が付いた。


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