罠を仕掛けてみたら
次の日、畑の様子を見た後、森の中に入って罠を仕掛けた場所に行った。
「獲物はかかっているだろうか‥‥‥。」
期待と不安が混じりながら歩いていくと、仕掛けた場所に動物が倒れていた。
「おっ! 『ツノブタ』じゃないかっ!」
名前通り口に鋭い角があるのが特長の野生のブタだ。
大きさは普通で、多分オスだろう。
これは幸先の良いスタートを切れた。
その後はニワトリとか小物が多かった。
ニワトリは卵を産むから家畜として飼う事にした。
そして、最後に罠を仕掛けた場所に行ってみて‥‥‥。
目を疑った。
「きゅう‥‥‥。」
目を回した白い羽を背中につけた少女が倒れていた。
えっ? もしかして罠に引っ掛かったのか?
だとしたら相当間抜けではなかろうか?
放って置く事もいけないので少女を背負って家に帰る事にした。
家に戻って来た俺は少女をベッドに寝かせた。
「うぅん‥‥‥。」
それから数分後、漸く少女は目を覚ました。
「大丈夫か?」
「へっ!? あの、えと、大丈夫ですが‥‥‥。」
「あっ、俺はアルノイド、この村の住人だ。」
「人間‥‥‥、ですか‥‥‥。」
「あぁ、そうだよ。君は森の中で目を回して倒れていたんだよ。」
「あぁ~‥‥‥、思い出しました。私、この近くを飛んでいたらいきなり大きな音が聞こえて驚いてしまって‥‥‥。」
‥‥‥やっぱり俺が原因だった。
「すまない、俺が仕掛けた罠が原因みたいだ。」
こういう時は素直に謝るしかない。
「いいえ、私が注意しなかった野がいけなかったので!」
そう言って、少女は首を横に振った。
「それで、君の名前は?」
「あぁ、名乗っていませんでしたね。私は『フィリア』と言いまして、女神様の元で働いている『天使』なんです。」
えっ、天使?
「なんで天使が?」
「女神様の命令で定期的にこの世界の様子を見に回っているんですよ。女神様は直接手を出す事は出来ないので。」
そうだったのか‥‥‥。
女神様って実在していたんだな。