さらば故郷
一夜明けて翌朝
「う~ん、久しぶりにゆっくり寝れたなぁ‥‥‥。」
城にいた頃は毎日、ストレスでなかなか寝れなくて寝不足になっていた。
「まぁ、ゆっくりもしてられないんだよなぁ‥‥‥。」
着替えて宿を出る。
まずは商店に行き野菜の種を購入、それから必要最低限な生活必需品を購入していく。
町の話題はやはりルーチェルの事だ。
まぁ、そんな話を聞くのも今日で最後だから別に気にする事はない。
買い物を終えた後、その足で冒険者ギルドへ向かった。
冒険者を辞める為、ギルドカードを返却する為だ。
受付にギルドカードを返却して、退職金を貰う。
まぁ、殆ど薬草摘みや弱いモンスター退治ばっかりしていたから大した金額ではないが。
「とりあえず、街で出来る事はこれで終わりだな。」
俺は荷物を持って新しい住居となる森へ向かう事にした。
門番に軽く挨拶をして街を出ていく。
暫く歩いてふと後ろを振り向く。
すっかり町は遠くに見える。
俺はお辞儀をして再び歩き始めた。
もう町に足を踏みいる事は自分からは無いだろう。
一応生まれ育った町だから、風景を目に焼き付けておく。
良い思い出なんて一つも無いけどな!
振り返る事無く俺は森の中へ入っていった。