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妖精と人間  作者: ひつじ
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妖精が愛したもの

やっと、少し長い話が出来ました。

楽しかったです。

1話完結、連載、不思議な話、恋愛、いろいろ書いていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

妖精と人間






誰も知らない森のなか



誰も知らない池の傍に



一軒の赤い家がありました。



そこには、とても大きなその家には似合わない、とても小さな妖精が暮らしていました。



妖精は毎日せっせと働いています。

そんなよこでふんぞり返っているのが人間。

とっても、とーっても大きな人間。妖精は毎日人間の分の家事もして、フラフラ。今にも倒れそうです。

でも、自分よりなん十倍も大きい人間には逆らえません。



そんなとき、森の木々が言いました。


“妖精…妖精!!あれを使いなさい。お前がかわいそうでならないが私たちにはどうしてやることもできない。…全ての責任は我らが負う”



そう、あれとは、決して口にしてはならない禁忌の術。


(おてんとさんにばれてしまったらどうしよう。

…でも、いいよね…。)



可哀想に、妖精は相手を気遣う気持ちを忘れてしまいました。





妖精はいつもいつもタイミングをはかっていました。


人間に復讐できるその日を。解放されて幸せになれるその日を。


ある時、妖精は人間が寝ている時に枕元に近づきました。

妖精が夜中までせっせと働いているのにぐーすか寝ている人間を見ていると、腹が立ってきました。


今しかない…!!!


妖精は禁忌の術をついに使ってしまいました。周りは赤紫に光り、妖精の復讐の心が目に見えるくらいに辺りはどんよりとした空気が漂い、メラメラと熱い熱気がその部屋いっぱいにこもりました。


「ЁωБОωψЙКБОВξΨθ………。」


妖精の目は周りと同じ赤紫に染まり、妖精は復讐心に燃えていました。



「……楽しかった……ありがとう。。。」



人間の最後の言葉も妖精には届きません。もう手遅れでした。


でも、妖精は全てが終わったとき何故か泣いていました。


妖精の頭のなかに妖精の過去の記憶が次々と浮かんできました。


それは、一番大切で絶対忘れたくなかった、忘れてはいけなかった記憶でした。



それは、ある暑い夏の日、木苺をとりにいこうと、外に出たときのこと。

妖精はあまりの暑さに倒れてしまいました。


そんなとき、何人かの人間が妖精の方に近づいてきました。


「こっちこっち~」

「ほんとか~?」

「ほんとだってー!」

「ほら…」


いつばれたんだろう…。もう駄目だ。残酷で傲慢で下劣な大人間に食べられてしまう…。


「あれー…、いなかったゎ。おれの見間違いっ!」

「おぃ~。せっかくきたのによー…」

「テヘペロww」

「じゃねーよ!!ww」


人間が笑いながら去ってく…。どうしてだろう。


次の日、妖精は木苺ジュースをつくろうと、木苺をとりにまた外に出ました。


すると、人間が1人こっちに来ます。隠れなきゃっと思ったけれど、もう妖精は見つかっていました。


この人間にたべられるのか…。

「おてんとさま、どうかこんどは人間にも負けない強い妖精にしてください。」


妖精は最後、そう願いました。


…ぃ…ぉい…おい!!!


だんだんとはっきりとなるその声で妖精は、目覚めました。


「勝手に最後みたいにいってんじゃねーよ」


あれ、私…生きてる…。


「お前、名前なんてゆーんだ?」


え……。


「大人間!!!」


大人間に話しかけられた…。たべられるっ!


「大人間ってゆーのか?ww面白いな、お前。」


は、、なにこいつ…。

え、私食べられるんじゃないの…?


「仲良くしよーぜ!!ちっこいの!」



それから、その人間は毎日来てくれた。


あるとき、初めて名前を教えてくれた。


そーたっていうんだって。


「ごめん…私には、ナマエないの…。」


すると、そーたは私に名前をつけてくれた。


ちっこいから、ありだって!!


嫌だって言ったけど、そーたは、


「おれ、あり好きなんだー!毎日せっせと働いてえらいと思う!」


「それ、はたらきありだけ…」


「あー、そっかあ!!」


ぷふっ


くくく


あはは


「じゃあ、私、はたらきありみたいに、毎日せっせとがんばるね」


「そうだな。おれも、勉強がんばるよw」


うん。そーた、大好きだよ。




それから、二人は仲良く一つの家で過ごしました。




何年も何年も月日が流れるにつれ、妖精の記憶からそーたは消えてゆきました。


実は妖精は異なる種族との記憶は記憶できる量がとても少なく、記憶していられる時間もとても少ないのです。



妖精はいつしか、そーたの名前も忘れ、自分が何故人間と暮らしているのかも分からなくなり、勝手に自分は人間にさらわれたんだと、思い込んでいました。



同種族との記憶は記憶していられる時間がながいので、親に教わった、

“大人間は残酷で傲慢で下劣なやつ”

この言葉をいつまでも覚え、理解していました。



実際自分がその大人間に捕まってると思うと悔しくて涙が出そうになりました。

(お母さん…。捕まっちゃったよ…)



そうして妖精はふつふつと人間に対しての復讐心が強くなって、優しい心を失ってしまいました。人を信じることが出来なくなってしまいました。









そして、妖精は生きることにも

誰かを信じることも、自分を信じることさえにも疲れてしまいました。

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