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無色の夜明け
夜明けの光が村を照らす。
空は赤みを帯び、鳥が鳴く。
それでも、私には届かない。
光も音も、心に触れず、ただ通り過ぎる。
歩く足元には影が伸びる。
だが、その影は誰の目にも映らない。
声を上げても、呼びかけても、返事はない。
存在を示そうとするほど、世界は私を避けた。
昨日と同じ朝、森で魔物はまた遠くを歩いていた。
助けた子どもたちも、功績は誰の記憶にも残らない。
偶然の産物として、私の関わりは消え去った。
夜明けは、美しいはずだ。
だが、私の胸に差し込む光は、冷たく、重い。
存在しても、意味はない。
生きているだけで、孤独は拡がる。
歩く先には誰もいない。
話す相手も、触れる手もない。
すべての世界は私を認めず、私の存在は無色として包まれる。
無色として生きること――
それは、何をしても、誰も気づかないこと。
世界の修正によって、関わったすべてが消えること。
胸の奥に残るのは、影だけ。
名前も、意味も、光も与えられない現実。
生きている。
ただ、それだけ。
――希望はない。
夜明けは来るが、私に光は差さない。




