98話 バラ色の未来 12 カモ助よろしくね。
ロイゾンを出てから、10日…。海、海、海。もう、お腹いっぱいだよ、とうぶん、海は良いよ。
「あっカモメだ」
「ふふ、カモメがいるって事は、近くに島があるわね」
そうなんだ…、デカ!
「あれは、カモメじゃないよね、ないよね!」
「魔物だな」
私は弓で射ろうとした。
「俺に任せろ」
メイビが結界で、カモメ魔物を閉じ込めた。
…少し残酷な絵図だが…、仕方ない。
「丁度良い、夕飯に使おう」
みんなワイルドだな、流石は元冒険者。
「あそこに、何かあるね」
「うーん、岩だな」
「岩か…小舟がない?」
「うーん、小舟だな」
私達は警戒しながら、小舟に近づいた。
…少女?
「大変!まだ息はあるわ!」
サリーがヒールで、癒していく。
みるみる顔色が良くなった、サリーにどことなく似ている?15才位かな?…耳が尖っている?
「エルフの少女だな」
エルフか、初めて見たよ。
「此処に放置はできないはよね」
「彼女が、どの様な立場なのかはわからんが、俺らも追われの身、問題ないだろ」
そうなんだ、私追われの身なんだ…ハハ。
暫く岩の近くで、停泊する事にした。
急いでる訳でもないしね。
「う、良い匂い…ぎゅるぎゅるぎゅる!」
「はっだ、誰?」
「心配ないわ、通りすがりの冒険者よ」
「そうですか…通りすがりって、海の真ん中で?」
ハハ、なかなかの天然ぷりのようだ。
「こんにちは、私達はラビアンローズと言う冒険者よ」
「こんにちは、私はサーシャ、ぎゅるぎゅるぎゅる!」
「ハハ、先ずは飯にしよう」
「た、食べても?」
「はい、召し上がれ」
まるで、待てを食らっていた、犬のようだよ。
「サーシャ、少しは落ち着いたかな」
「はい、ありがとうございます」
サーシャはマロン教国のエルフの里を目指し、サテライト大陸からひとり舟に乗ったと言う。
サテライト大陸にある集落で、ひとり暮らしていたが、集落の者達からは、お前ら王族のせいで、俺たちまでこんなに苦労しているんだと…。
エルフの里に行けば、集落の人達を、助けて貰えるのではないかと。
うーん、大体、ダメな奴程、人の所為にする者だからな、なんとなくそう思ってしまう。良くは知らないのだが。
マロン教国を目指してる最中、大きな鳥に襲われたらしい。…おや?
魔物が近付いてるのは、だいぶ前からわかっていたのだが、海の上でどうしようも無かったと言う。
「サーシャは、探知能力があるのかな?」
「はい、私の唯一の取り柄で」
「私達も、マロン教国に向かっているの、良かったら一緒に行かない?」
「良いんですか」
「ええ、もちろん」
「貴女さえ良ければ、私達のパーティに入らない?」
「勿論、エルフの里へ行くのも、協力するわ」
「…よろしくお願いします」
新たに、ラビアンローズに、エルフのサーシャが加わった。
良く聞くと、エルフと人の血が混ざっていて、よりエルフの血が強く出ているそうだ。
岩の探索に行っていた、オヤジ共が大きな…卵を抱えて帰って来た。
「大きな卵焼きが出来るぞ」
「サーシャは雛の餌だったようだなハハ」
笑えないから、オヤジ共!
「ピシッ!…ピシピシ!」
「ピーッ!ピーッ!ピーッ!」
雛が孵ってしまった…どうするの?
雛はサーシャを親と認識したようだ。
元餌が親とは…、取り敢えず、魚でも捕まえなくては…頑張れオヤジ共!
「サーシャ、雛に名前を付けてあげたら」
「そうですね、でわ、カモ助で」
…妙に間抜けな感じがするが、雛も気に入っているようなので、良しとする。
パーティメンバーが、一匹…一羽か、ふえた…カモ助よろしくね。




