09話 …ぎゅっと…
カランッ…コンッー!…「はい身体流しますね…」シャ―――!
マロン様の背中の弾痕の跡は綺麗に無くなっている…なにか心境の変化でもあったのかな?勲章だっていっていたけど…。
「はい、次はシャンプーをしますね。」マロン様の髪は透き通った薄い金髪色だ。見た事もない綺麗な髪だ。思えばわたしも若い頃には憧れたこともあったが、当時はブリーチもなかったし髪を染めている女の人はだいたい…陰で揶揄されていたな…あの人達も生きるのに一生懸命だっただけなのに…今は若返って黒々とした髪がとても嬉しい。あの人達も本当は…。
「目が目がしみるー!」「ちゃんと目を閉じていてください、かゆいとこはありますか?」「鼻がかゆいな!」いやいや、頭のことですから!「はい、流しますよ」「よし湯船に入ろう!」「まだですよ!ちゃんとトリートメントもしますよ」「うっ!」
シャ―――!「はい、おわりました」「やったー!」どっぼん「ふーいい湯だな」ふふっ
「マロン様は神界ではお風呂をどうしていたのですか?」…?「あそこには何もないしな、風呂など入っておらんかったわい!」汚!「おぬし今、汚い!と思ったじゃろ!」…。「汚くないもんね!汚れんしな!」…。「汚くないんじゃー!」「はいはいそうですね」シャ―――!「じゃあわたしもおじゃまして…ふー気持ちいいですね」「わし、もうでるー!」「まだだめですよ!」「でるでる!出てゲームするー!」「じゃあ10秒数えたら出ていいですよ」うっ「1,2,345、10!だー!」ザブン!「はい、やり直し」うっ!「ずるはだめですよ」「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10!だー!」ふふっ
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「マロン様?」…あらあら、ゲームのコントローラもったまま座って寝てるよ!器用だな!おい!バスタオルのまま髪もまだ濡れているじゃない「マロン様パジャマを着て髪も乾かしますよ」「ううーん」ふふっ
ブォ―ン!「ほらちゃんと座ってください、乾かせないでしょ」「もう…寝る~」ふふっ
「はいはい、布団を引きますからね」「おやすみ」「はい、おやすみなさい」
…
…
…
…
…
「うっうーん 眩しい!」
気が付けば 其処は 見覚えのある場所だった…
「神界!えぇー!また死んだの…? 寿命短!」
… …
相変わらず 白銀の世界が永遠に広がっているな
そうだマロン様は? いない?…何処?…「マロン様ー!」
…。 …。
「あっ!マロン様! 聞こえてますかー!」其処には あの時の少女 マロンが立っていた…
そう 立っていたのだ 只々 立っていたのだ
「マロン様 小梅です…マロン様?」触れられない?なぜかマロン様には触れられなかった…
目を閉じたまま 立っている…わたしは傍に居ることしか出来なかった
信じがたいが 幾年も幾万年も 傍に居た気がする
『マロン…マロン…』誰かがマロン様を呼んでいる だが何処にも姿は無い…
マロン様がふと目を開いた
「マロン様 よかった小梅です!小梅ですよ…」
マロン様は 只々 一点を見つめていた…幾年も幾万年も 一点を見つめていた…
おもむろに マロンの腕が延ばされた…瞬間!
「「「ボっわん!ズドーン――― ―― ― 。」
「火炎だ!」物凄い熱量の火炎が放たれた!わたしの火炎なんて可愛いものだった!
「「「ズドーン!」」」「「「ズドーン!」」」「「「ズドーン!」」」
四方八方に打たれ 私に向かってきた!「きゃ――っ!」…通り過ぎた!
……静寂が戻った……
マロンは 相変わらず 一点を見つめていた…
おもむろに 腕を上げた…腕を上げたまま 一点を見ていた
マロンが上を向いた その先に 深い深い黒色が見えた…瞬間!
黒い渦が広がっていった!…ブラックホール?
見たことは無いが そう感じた!
「「「ゴ――ゴ――ゴ――」」」
「マロン様!マロン様!」辺りの景色がどんどん飲み込まれていく
「「「 すぽっん⁉ 」」」
あっ!マロン様が 頭から飲み込まれていった…瞬間!
……静寂が戻った……
其処に マロンが 立っていた
マロン様が上を向いて腕を上げた…ブラックホール! また!
「「「 すぽっん⁉ 」」」
…頭から飲み込まれていった…また!…また!
…!! マロン様 !?楽しくなってるんでわ?…おい!
今度はブラックホールに火炎を打ち込んでいる…
「「「ゴ――ズドーン!」」」
そんな光景が 幾年も続いていた気がする…
…突然!「「「ドッカーン!」」」爆発が起きた!
……わたしの視界は閉ざされた……。
「うっうーん 眩しい!」ここは神界…マロン様…白銀の世界が永遠に広がる其処に彼女は立っていた
只々 一点を見つめていた 但し 無表情だったその美しい顔には少しだけ笑みがあったように見えた…
彼女が見つめる先には… 宇宙が生まれていた…
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「ダダダダダッ!おのれー!」
…
…
…
「うっうーん」「ぴよぴよ…ぴよぴよ…ぴよぴよ…ぴよぴよ…ぴっ!」
「おっ起きたか おはよう!わしは腹が減ったのう 今日の朝飯は 目玉焼きがよいのう」
「……。」
「どうした」
……小梅は マロンを抱きしめた……ぎゅっと…
…マロンも腕と足を使って …ぎゅっと…した。