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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第九十五話:渋谷大激突・八犬士 vs 白頭精霊

 渋谷スクランブル交差点―――


「日本の結界なぞ、我らの前では、物の数にも入らないわ!」

 月影の(ウォルヨン)舞姫(・エ・ムヒ)の宣戦布告と共に、渋谷のスクランブル交差点は、神話と現代が激突する戦場と化した。


「全方位から来ます!」

 彩花の警告と同時に、最初に動いたのは敵の狙撃手だった。

「―――『風切り(バラム・エ・)の矢(ファサル)』!」

 翠玉(ビチュイ・)の弓手(エ・クンス)が背中の弓を構えると、数条の矢が、まるでK-POPの群舞のように美しい軌跡を描きながら、八犬士たちへと降り注ぐ。


「―――させない!」

 対するは、八犬士が誇る【智】の射手、犬山雷道(いぬやま・らいか)。彼女は、翠玉の矢の軌道を瞬時に解析し、カウンターの矢を放って、その全てを空中で撃ち落とした。


 弓兵同士が火花を散らす中、両軍の先鋒が激突する。

「―――『雷鳴の(チョンニョク・)蹴り(エ・バルギル)』!」

 最も激しく動いたのは、雷光の(レグァン・)武術家(エ・ムスルガ)だった。テコンドー道着風のメイド服を翻し、K-POPのパワフルなダンスブレイクを思わせる、雷鳴をまとった強烈な回し蹴りを放つ。


「―――その【武】、私の【義】が、受け止める!」

 その一撃を正面から迎え撃ったのは、犬川星荘(いぬかわ・ほしな)。彼女の十字槍が、雷光の蹴りと激突し、交差点のアスファルトを放射状に砕け散らせるほどの衝撃波を生み出した。


「邪魔よ!」

 その隙を突き、紅蓮の(ホンリョン・)剣舞士(エ・コムムサ)が、炎を纏った短剣を手に、舞うようにして犬江桜親さくらへと襲い掛かる。

「―――『炎の(プルコッ・)乱舞(エ・ナンプ)』!」

 K-POPダンスのように高速でアグレッシブな剣さばきが、さくらを襲う。だが、さくらはその炎の軌跡を、流麗な桜新陰流の剣技でいなし、受け流す。


 戦場全体を支配しようと動いたのは、やはり敵将、月影の舞姫だった。彼女は優雅に扇子を広げると、美しい舞を披露する。

「―――『月光(ウォルグァン・)の旋律(エ・ソルユル)』!」

 その舞から放たれる美しい音波は、しかし、触れるもの全てを破壊する暴力の嵐。周囲のビルの巨大なスクリーンが、次々と爆音と共に砕け散っていく。


 その音の攻撃に、八犬士の他のメンバーが即座に対応する。犬塚華信(いぬづか・かしん)が【孝】の音撃でその威力を相殺し、犬村凪角(いぬむら・なぎさ)が【信】の風壁で仲間たちを護る。


「…お見事。ですが、これも通用しますかどうか」

 月影の舞姫が、舞のステップで地面に魔法陣を描くと、八犬士の前に、光り輝く障壁が出現した。

「―――『文化(ムンファ・)の壁(エ・ビョク)』!」


「うわ、厄介だな!」

 ユウマが叫ぶ。個々の戦闘能力もさることながら、敵は八犬士に勝るとも劣らない、完璧な連携を見せていた。


 雷光の武術家が『心技(シンギ・)一体(イルチェ)』で身体能力を向上させれば、紅蓮の剣舞士が『魂の(ホン・エ・)叫び(ウェッチム)』で八犬士たちの士気を削ぐ。


 だが、八犬士たちも、もはや一方的にやられるだけではない。

「みんな、心を一つに!」

 ユウマの共鳴と、玲奈の増幅を受けた彼女たちの力は、今や最高潮に達している。


 星荘(ほしな)の槍が、雷光の武術家の蹴りをがっしりと受け止め、桜親(さくら)の刀が、紅蓮の剣舞士の短剣と鍔迫り合いを演じる。雷道の矢と翠玉の矢は、互いに牽制し合い、空中で激しく衝突を繰り返す。そして、戦場の中心では、月影の舞姫と、八犬士の支援部隊が、一進一退の攻防を繰り広げていた。


 渋谷のスクランブル交差点は、二つの国の誇りと、二つのグループの絆が激突する、壮絶な戦いの舞台と化し、その戦いは、どちらも決定打を欠いたまま、熾烈な硬直状態へと移行していった。

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