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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第八十話:八咫烏の策謀

 八咫烏(やたがらす)本拠地・太宰府(だざいふ)


 東京での一連の作戦が、ことごとく失敗に終わったという報告を受け、八咫烏の本拠地である太宰府の神殿には、重く、苛立ちに満ちた空気が垂れ込めていた。


 玉座に座す総裁・菅原天音(すがわら・あまね)の前で、諸外国の代理人たちが不満を露わにしている。紅蓮の龍女・朱麗は扇子で口元を隠しながらも、その瞳は怒りに燃え、月影の舞姫は冷たい表情で床を睨みつけていた。ロシア勢力の代理人もまた、腕を組んで沈黙している。


「…高梨幸太郎(たかなし・こうたろう)殿」

 沈黙を破ったのは、朱麗(しゅれい)だった。

「貴殿の計画は、どうなっているのです?日本国内の戦乙女を利用した東京魔法陣の陥落は遅々として進まず、切り札であったはずの真田忍軍による『伏姫』の誘拐も、この結果。これでは、我々が協力している意味がありませんわ」


 その言葉に、他の代理人たちも無言で頷く。

 だが、作戦を指揮していた高梨幸太郎は、巨大な日本の霊脈地図を静かに見つめたまま、表情一つ変えなかった。


「お言葉ですが、朱麗殿」

 幸太郎は、ゆっくりと振り返る。その声は、穏やかだったが、確かな棘を含んでいた。


「貴方がた諸外国勢は、この戦いで、ご自身のその手をどれほど汚されましたかな?我らが用意した駒の上で、ただ観戦しているだけで、それで文句を言うのは、あまりよろしくないのでは?」


「なんですって…!」

 色をなす朱麗を手で制し、幸太郎は続ける。


「短期的な目標ばかりを見てはいけません。東京魔法陣の陥落は、あくまで最終目的の一つに過ぎない。重要なのは、その過程です」


 彼は、地図の上に点在する、これまでの戦いの痕跡――渋谷、新宿、北海道――を指し示した。


「豊臣、武田、上杉、新選組…そして、江戸を守護する八犬士。彼女たちは、今の日本を支える最も強固な霊的支柱です。その支柱たちが、この数ヶ月、互いに何をしていたか?…そう、ただひたすらに、削り合っていたのです」


 幸太郎の瞳が、冷たい光を宿す。


「戦乙女が奥義を放つたび、その霊核をすり減らすたび、この国そのものの霊的な国力は、確実に落ちている。我が計画は、順調そのものですよ」


 そのあまりに冷徹で、あまりに長期的な戦略の全貌を聞かされ、諸外国の代理人たちは言葉を失う。彼らの焦燥とは裏腹に、八咫烏の計画は、静かに、そして着実に、日本の土台そのものを腐らせていたのだ。

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