第六十四話:延長決戦:【誠】の終焉 vs 【絆】の痛み
それは、あまりにも悲しい戦いだった。
かつて共に背中を預け、北の大地で戦った仲間たちが、今や刃を交えている。
「土方さん、目を覚ましてください!」
星荘の槍が、土方美鈴の剛剣と激しく火花を散らす。
「なぜです!?私たちは、仲間だったはずだ!」
「…問答無用」
土方の瞳には光がなく、ただ目の前の敵を斬り捨てるという、冷たい任務の色だけが浮かんでいた。
他の戦場も同じだった。沖田雪菜の神速の突きを、桜親が涙を堪えながら弾き返し、斎藤葵の無形の剣を、碧毛と凪角が悲痛な表情で受け流す。
その光景を、ユウマはただ配信画面越しに見ていることしかできなかった。
「やめろ…もう、やめてくれ…!」
どちらも、彼にとっては大切な仲間だった。どちらの勝利も、敗北も、望んでいない。その激しい心の動揺は、共鳴の力を不安定にし、八犬士たちへの支援を鈍らせていた。
「しっかりしろ配信者」「ユウマお前が見るのは現実だ」「新選組は何故」「土方の顔が泣いている」
多くの視聴者たちからのコメントが流れる
その時、配信のコメント欄に、一つの言葉が流れた。
『ユウマ…本当に彼女たちを救いたいなら、全力で止めることも、愛なんじゃないか?』
「…!」
その言葉は、ユウマの心を撃ち抜いた。そうだ。このまま戦いを長引かせることこそ、彼女たちをさらに苦しめることになる。操られているのなら、尚更。
「玲奈…!」
ユウマは、隣に立つ玲奈を見た。彼女は、彼の意図を即座に汲み取り、強く頷いた。
「分かってる。私の全てで、みんなの想いを増幅させる!」
玲奈の【伏】の宝玉が、これまでにない眩い光を放つ。ユウマが集めた、「仲間を救いたい」という視聴者たちの純粋な願い。その清らかな力が、八犬士たちへと注ぎ込まれた。
その瞬間、戦況は動いた。
聖乃の鎖鎌が、ついに近藤花蓮の太刀を絡め取り、犬塚華信の音波が斎藤葵の動きを完全に封じる。そして、沖田雪菜の渾身の突きは、桜親の刀によって受け止められ、その刃が静かに砕け散った。
勝てないと分かっている戦いに、捨て身で挑んでいるかのように、新選組の隊士たちが次々と倒れていく。
「…そこまでだ」
残るは、総長の土方美鈴ただ一人。彼女は、刀を静かに下ろすと、犬江桜親へと向き直った。
「犬江桜親。最後に、貴様と一対一で決着をつけたい」
桜親は、静かに頷いた。
二人の剣士が、最後の間合いを詰める。言葉はない。ただ、互いの魂が、刃を通して会話する。
―――一閃。
二つの影が交錯し、静寂が訪れる。先に崩れ落ちたのは、土方美鈴だった。その胸からは、鮮血ではなく、黒い霊気が霧のように立ち上っている。武技礼装が解除され、彼女の肢体が晒される。
「土方さん!」
ユウマは配信を忘れ、彼女の元へと駆け寄った。シャツを彼女に被せる。
「言い訳はしない…」
土方は、薄れゆく意識の中で、最後の力を振り絞ってユウマに告げた。
「ただ一つ…お前の父親に、会った…。気をつけろ…あの男は…」
そこで、彼女の言葉は途切れ、その瞳から完全に光が失われた。
霊核が完全に破壊され、一人の戦乙女がその力を完全に亡くした。
ユウマは、その場に立ち尽くす。父。その言葉が、全ての点と線を繋いだ。
中華と、韓国と、そして操られた新選組。その全ての背後にいる、巨大な影。
「…八咫烏…!」
ユウマの口から、憎悪と共に、黒幕の名が絞り出された。
引き続き、バトル中の実況コメントを募集いたします。採用させていただいた方には…何もお返しできませんが、劇中内で名前を呼ばせるくらいは…出来るかなーとか思ってますので、過去の戦いでも構いません。冷やかしやツッコミ含めてよろしくお願いいたします。




