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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第四十三話:切磋琢磨

【ユウマのミッドナイト・トーキョー!特別配信】

『――こんにちは!池袋の【義】の宝玉を守護する戦乙女、犬川星荘(いぬかわ・ほしな)です!』

 画面の中で、いつもの武技礼装バトルコスに身を包んだ星荘が、少し照れくさそうに手を振る。その隣には、華やかな紅桜色のメイド服を纏った、新宿の守護者・犬江桜親いぬえ・さくらが満面の笑みで立っていた。


『そして!新宿の【仁】の宝玉を守護する、犬江桜親(いぬえ・さくら)だよっ! 今日はなんと、親友のほしなちゃんとコラボで、武闘対決しちゃいます!みんな、応援よろしくねー!』


『うおおお!始まったぜ、視聴者さん!八犬士の中でも屈指の実力を誇る二人の夢の対決だ!解説は俺、共鳴者(レゾネーター)の高梨ユウマがお送りするぜ!』


 舞台は、安倍星華が用意した霊的仮想訓練フィールド。広大な白木の道場が、二人の霊力に呼応して淡く輝いている。

 ユウマがカメラを構え、健太がドローンを複数操作し、彩花がスイッチングを行い、玲奈が実況に合わせてテロップをリアルタイムに重ねて行く。

「それじゃあ、いくよ、ほしなちゃん!」

「手加減はしないよ、さくらちゃん!」


 次の瞬間、二人の姿が掻き消えた。


 キィィィィンッ!


 道場の中央で、火花が激しく咲き乱れる。桜の花びらが舞うような優雅な軌道で振るわれたさくらの刀「桜嵐」の一閃を、星荘が十字槍「星嵐槍」の穂先で寸分違わず受け止めていた。

「速い…!」

(さくらちゃんの踏み込み、前よりずっと鋭くなってる…!これが【仁】桜新陰流の剣…!)


 星荘は感嘆の声を漏らしながら、槍を回転させてさくらの体勢を崩す。返す刀で繰り出されるのは、星の光を宿したかのような五連続の突き。一つ一つが必殺の威力を持つ、星嵐院流槍術の精髄だ。


「させないよっ!」

 さくらはその怒涛の突きを、まるで流れる水のように最小限の動きでいなしていく。刀の腹で槍の軌道を逸らし、時には後方宙返りで穂先を躱す。その動きは、もはや戦闘というよりは、一つの舞踊のようだった。


(ほしなちゃんの槍は、やっぱりすごいな…一本一本の突きが、すごい重圧。でも!)

 さくらの瞳が、カッと鋭い光を宿した。彼女は壁を蹴り、三角跳びで一気に星荘の頭上を取る。重力に逆らうアクロバティックな動きから放たれる、袈裟斬りの一閃!


「甘い!」

 星荘はそれを穂先で受け止めず、十字槍の特性を活かし、横に突き出た刃でさくらの刀を絡め取るように防御する。


 金属が擦れる甲高い音を響かせながら、二人は至近距離で睨み合った。


「やっぱり、ただの力押しじゃ、ほしなちゃんには届かないかぁ」

「あなたの速さこそ、捕らえるのが大変だよ」


 互いに笑みを交わすと、同時に大きく後方へ跳躍し、距離を取る。遊びは、終わり。ここからは、魂を賭した全力の応酬だ。


 大八相に構えるさくらの全身から、桜色のオーラが立ち上る。それは、全てを包み込むような【仁】の輝き。

 対する星荘の体からは、夜空のように澄んだ銀色のオーラが迸る。それは、悪を許さぬ【義】の閃光。


 ユウマが、ゴクリと息を飲んで絶叫する。

『来るぞ、視聴者さん!二人の必殺技が、今、ここで激突する!』

 さくらが、刀を八相から斜正眼に構える。その切っ先が、桜の花びらの嵐を纏った。

「我が一閃、桜と共に舞え。《桜嵐・零式》――刹那にして千の刃!」


 星荘が、十字槍を天に掲げる。その穂先に、無数の流星が収束していく。

「天より来たれ、断罪の閃光――《ミーティア・ジャッジメント》! 滅せよ、星の名のもとに!」


 桜新陰流奥義と、星嵐院流槍術奥義。

 ピンク色の斬撃の嵐と、銀色に輝く流星群が、仮想道場の中央で衝突した。


 ―――ゴオオオオオオオオッ!

 視界が、純白の光に塗りつぶされる。ユウマの配信画面も、あまりの霊力奔流に一瞬ホワイトアウトした。


 光が収まった時、そこに立っている者はいなかった。

 道場の両端で、互いの武器に体を預けるようにして、星荘とさくらが座り込んでいた。二人とも肩で息をしながらも、その表情は、達成感に満ちた最高の笑顔だった。


「「あーはははは!」」

 どちらからともなく、笑い声が上がる。


『す、すげえええええ!引き分けだ!歴史に残る名勝負だったぜ、みんな!』

 ユウマの興奮した実況に、配信コメント欄は祝福と賞賛の嵐で埋め尽くされていた。親友同士の真剣勝負は、二人の絆を、そして視聴者との共鳴を、さらに強く結びつけたのだった。


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