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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第四十一話:防衛圏守護魔法陣の秘密

 戦乙女(バトル・メイデン)をプロデュースして知名度を上げてユーザーサポートを得ようという計画自体は、推進が決まったが、具体的な内容はさらに詰める必要がある…健太のアイドル化提案はミッドナイト女性陣の抵抗があったものの、本人了承してもらえるなら…ということでの。


 今回北海道で絶望的だった状況として、結界がない中で直接の侵攻に対して戦乙女の防衛線が再襲来という切実な問題があったのは事実である。

「そもそも、北海道には東京魔法陣のような強力な結界はないのですか?」


 基地に持ち帰られた重い課題を前に、彩花の素朴な、しかし核心を突く質問が響いた。それに対する安倍星華(あべ・せいか)の返答は、どこまでも冷ややかだった。


「以前、お話ししたかと思いますが、全ての中心は『三種の神器』なのです」


 星華は静かに続ける。

「三種の神器こそが、この国を守る結界の心臓であり、力の源。八犬士の力が、史実における伏姫(ふせひめ)八房(やつふさ)の霊力による宝玉に由来するのと同じように、その大元である八房(やつふさ)に力を与えたのは、他ならぬ神器なのです。故に、これほど巨大な力を扱う魔法陣は、神器なくしては簡単に構築できない。そして、その唯一無二の力を欲して、各勢力が東京に攻め寄せてくる…これが現実です」

「え?里見八犬伝の物語って滝沢馬琴(たきざわ・ばきん)の創作ファンタジーじゃないんですか?」彩花が八犬伝が史実と語った星華に思わずツッコむ。

「史実です。だからこうして八犬士の名を継ぐ者が現実に存在しています。ただ、核心の部分での誤魔化しは入っていますが…例えば、八房という神名を持った犬ですが……物語の中では、その名を八つの体に記された紋をしめしたとされていますが…そもそも犬だったのでしょうか?これ以上は語れませんが…」

「ふおおお……そこ、それ大事なのに!教えてくれないんですか!」彩花が前のめりにツッコむが星華がピシャリと「これ以上は無理です」と口をつぐんでしまう。


「じゃあ、北海道に新しい魔法陣を造ってロシアから守るっていうのは、やっぱり難しいんですか…?」  

 玲奈が食い下がる。

 彩花も切り替えて聞く「函館の五稜郭は、星形の城郭自体が強力な魔法陣になっていると聞いていますが…」


「その通りです」星華は頷いた。「五稜郭は魔法陣そのもの。ですが、あの規模の結界ですら、神器という絶対的な力の裏付けなくして、長期的な維持は困難を極めたのです…そもそも函館は北海道の南端なので北海道を覆う結界を張るには地理的にも難しいです」


「だったら、その神器を一時的に北海道に貸し出すとかはできないんすか?」

 ユウマの安直とも思える質問に、これまで沈黙を保っていた服部夜刃(はっとり・やいば)が、斬りつけるように鋭い声で割り込んだ。


「うつけが。それこそが、最も危惧すべき問題だ」


 夜刃の瞳には、本気の怒りが宿っていた。

「神器の霊力を拡散させること…それは、この国の中枢たる東京の守りを無に帰し、日本全体の霊的均衡を崩壊させる行為に等しい。それこそ、日本が終わる時だ。この神秘の力を宿した三種の神器が一か所に集まっているからこそ、この国は島国として、神話の時代から二千六百年間もの長きにわたり、独立を維持できたのだ。その意味を理解しているのか?」


「に、二千六百年…スケールがどんどんデカくなっていく」

 ユウマと玲奈はちょっと想像つかないという顔をし、彩花は「皇歴に基づく年代ですね!」と興奮し、健太はそれを見てフーンという顔をする。


「東京を衛るということとは別に、北の脅威に対抗することに協力すること事態は是としましょう」星華が、議論を締めくくるように言った。「ですが、いかなる理由があろうと、神器を動かすことは許されない。そこに、例外はありません」安倍星華が補足する。星詠司と影刃の両組織が口を合わせるということは…どうやら日本国としての総意と言ってよさそうだ…


「そういえば、三種の神器の他に確か、平将門の首塚からも山手魔法陣は護っているって言ってたよな…そっちの力はどうなんだ?」

「平将門の首塚は、霊力の源ではなく、その霊力を封じているのだ…」夜刃が応じる。

「なんかややこしいな…じゃあ、三種の神器を護るために八宝玉の魔法陣を張っているけど、実は守ると同時に封じているってことか?…こんがらがるなぁ」ユウマは素朴な疑問を持ち、そのまま口にする。


「世の中そんなに単純ではないことは、今の情報化社会においてもよく分かっているだろう…我々とて、ユウマ、お前のような存在が登場しここ迄この問題が世間に知られるようになっていること自体受け入れがたい事実なのだ…だが、何時の時代もその社会の流れに即した変革が求められる。それこそが今なのだと考え我らも応じているのだ」星華は鋭い目つきをユウマに向けて語る。内心では納得していないという顔である。


「とりあえず、認知度挙げて行って支持拡大をしなければならないのは今の政治と同じだからなー演説とかしてもこっちは効果が薄いから、もう少し視聴者の意識を向けさせる企画を立てないとな…」

 ユウマも自分に課せられた課題と合わせた解決策を必死に頭を巡らせるが果たしてどういう形に落ち着くのかは未だこの時点では分からない。

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