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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第三十五話:渋谷会戦

 渋谷スクランブル交差点を中心に展開された結界の中、黄金の羅針盤メンバーと八犬士、そして伊賀服部九曜衆の新たな三つ巴は新たな火花を散らし、各々が激突する。


【猛勇と義、そして蝦蟇】

「おおお! わいの忠義の槍、こげなワケ分からん忍術に負けんばい!『虎退治・改』!」

 黄金のバフで霊力を増した加藤清子(かとう・きよこ)が、白虎の闘気を纏い、犬川星荘(いぬかわ・ほしな)へと突撃する。その猛進は、先ほどとは比較にならないほどの破壊力を秘めていた。

 槍対槍の相互の激突は互いの軸線上の取り合いだ。手幅と順手逆手の自在の手の内が変幻自在に相手の正中線を制する様に激しく突き、払う。


「あなたの忠義は、主のためだけ!私たちの【義】は、この街のみんなのためのものよ!」

 星荘(ほしな)は一歩も引かず、視聴者の応援を光に変えた星嵐槍で迎え撃つ。

(私だってユウマとプライベートで共鳴したんだから!みんなの応援を受けて負けない!…でも、強い!歴戦の武将の魂と相手もネットの支援…そして豊臣のバフまで…)


 清子の気迫は凄まじく、わずかに押し負けそうになる。その瞬間、星荘(ほしな)の横に、燃えるような赤髪のくノ一が並び立った。

「お嬢ちゃんたちの喧嘩、うちも混ぜてもらうで!『蝦蟇超重力拳がまちょうじゅうりょくけん』!」

 自来也妃花(じらいや・ひめか)が大地を踏みしめ、蝦蟇(がま)の力を宿した拳を叩きつける。虎の突進力と蝦蟇の重量感が激突し、凄まじい衝撃波が渋谷のビル街を揺るがした。

 その威力が加藤清子の勢いを押し返す。妃花は星荘(ほしな)を一瞥すると上方へふわりと舞い上がる。星荘(ほしな)はすぐさま槍を担いで八相構えで柄に妃花を乗せ、勢い任せで振り上げる。

「はは、分かっているやないか!」上空高くに舞い上がり、そこから地面に向かって「蝦蟇重力波!」と加藤清子を押しつぶすように衝撃波を喰らわせる。


「何のこれしき!」槍を一文字に構え衝撃波を受け止める清子。

「動きが止まりましたね!」星荘(ほしな)の星乱十字槍が防御に徹する清子に襲い掛かる。

(やれる!私だって八犬士の【義】の守護戦乙女なんだから!)

乱突(らんづき)芝搦(しばがらみ)!」



【軍略と知、そして幻惑】

「見えとるで、あんたらの動き。うちは二手三手先を読んでるんや!『水攻め戦術』!」

 軍師・黒田蘭(くろだ・らん)の陰陽輪が、犬山雷道(いぬやま・らいか)の思考そのものを読み、動きを封じようとする。


「未来が見えるですって?残念だけど、今この瞬間、未来を作っているのは私たちよ!」

 雷道(ライカ)が必死に応戦するが、蘭の予測は的確だ。その蘭の足元に、一本のクナイが寸前で突き刺さった。


「なっ!?」

「完璧な戦略も、前提が崩れればただの机上の空論ですわ。クールビューティー、百地三奈美(ももち・みなみ)助太刀致します!」

「ちぃ!!何しよるんや?!」

「あら、意外と未来予想って限定的の様ですね?!…ふふふ…概ね超人的視覚聴覚によるチャクラの動きを見ながらの行動予測に過ぎない!『幻影乱舞げんえいらんぶ!!』この分身全部の動きを予想しきって対処できるのかしら?!」

 無数の分身が蘭の知覚を飽和させる。

「なんや?!どこや!本物はどこにおるんや!」


「ここよ!」幻に惑わされた蘭の死角から、雷道の必中の雷矢が閃いた。


【奮闘と圧倒、そして撤退】

 他の戦場でも、八犬士と伊賀九曜衆の連携が、豊臣の武将メイドたちを圧倒していた。


 福島正乃の雷は藤林七海(ふじばやし・ななみ)の風に逸らされ、犬江桜親(いぬえ・さくら)の剣に斬り伏せられる。石川五愛萌(いしかわ・ごえも)の霧は犬塚華信(いぬづか・はな)の音波に晴らされ、伊賀崎美知佳(いがさき・みちか)の狙撃の的となった。


 最強の連携を誇った石田美咲(いしだ・みさき)真田幸(さなだ・みゆき)のコンビも、数の暴力と化した八犬士と九曜衆の波状攻撃の前に、ついに膝をついた。

「くっ…!ここまで、か…!」

 配下たちが次々と打ち破られていく光景を前に、豊臣華織(とよとみ・かおり)はギリ、と扇を握りしめた。彼女の顔には、もはや余裕の色はない。


「総員、撤退や!」

 悔しさを滲ませながらも、華織は即座に決断する。その声は、渋谷中に響き渡った。


「ええか、よう聞け!これは負けやない!『いてまえの撤退』や!今日のところは、このくらいにしといたる!」

 彼女は憎々しげにユウマの配信ドローンと、その向こうの視聴者たちを睨みつけた。


「この借りは、浪速商人の根性で、利子つけて倍にして返したるさかいな!覚えときや!」

 華織が扇を天に掲げると、金色の花びらが嵐のように舞い上がり、彼女と傷ついた配下たちの姿を包み込む。光が収まった時、あれほど渋谷を席巻した黄金の軍勢は、跡形もなく消え去っていた。


 後に残されたのは、静けさを取り戻した渋谷の街と、勝利を収めた八犬士、そして沈黙のまま佇む伊賀九曜衆。敵は去った。だが、誰もが理解していた。これは終わりではなく、さらなる混沌の始まりに過ぎないことを。

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