表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/168

第十六話:逆転の焔

 ■第六天魔王、再臨


 蝦夷共和国エゾレガリアの氷のガレオン船が東京上空を覆い、武田軍が池袋を蹂躙する。二正面作戦という絶望的な状況に、戦乙女たちの顔から表情が消えた。特に、自らの守護地である東京駅が無防備だと知った犬飼聖乃いぬかい・せいらは、唇を噛みしめる。


「なんてこと…私が東京を離れている間に…!」


「どうするのよ、ユウマ! このままじゃ東京が…!」玲奈がパニックに陥り、ユウマの肩を揺する。


 だが、ユウマは驚くほど冷静だった。彼はスマホのカメラを池袋の戦場に向けたまま、イヤホンマイクに鋭く指示を飛ばす。


「ケンタ! 聞こえるか! 今すぐドローンと機材持って東京駅に向かってくれ! 現地の様子を別チャンネルで生配信だ!」


「え、先輩!? 池袋はどうするんですか!」


「いいから行け! 俺たちを信じろ!」


 ユウマは仲間たちに向き直り、ニヤリと笑った。「みんな、聞いたろ? とにかく、俺たちは目の前の武田をぶっ飛ばすのが先決だ!」


 武田嵐花たけだ・らんかが炎虎の上から嘲笑う。「ふははは、面白い小僧だ! いいのか? 東京の【忠】の宝玉が落ちれば、東京魔法陣は中核から崩壊し、結界の維持は不可能になるぞ!」


「うーん…どうかな…?」ユウマは小首を傾げる。


「何、冷静になってるのよ!」玲奈が叫ぶ。


「とにかく、大丈夫だから! 目の前の武田を討つことに集中してくれ!」ユウマは力強く言い放った。


「面白い! その根拠のない自信、どこから来るか知らんが…浮ついた貴様らに、我が風林火山が後れを取ると思うなよ!」嵐花が騎馬槍を掲げ、総攻撃の号令を下そうとした、その時だった。


 ■東京駅の番人


 同時刻、東京駅丸の内駅舎。北条氷華ほうじょう・ひょうか率いる蝦夷共和国の軍勢が、氷のオーラを纏いながら降下していた。


「これより東京駅を制圧。【忠】の宝玉を凍結させ、魔法陣に楔を打ち込む!」


 氷華の号令一下、新選組の戦乙女たちが突撃を開始しようとした、その瞬間。


 ダダダダダダダッ!!


 駅舎の屋上から、凄まじい火縄銃の一斉射撃が放たれ、新選組の足元を爆炎が包んだ。


「なっ!?」氷華が目を見開く。


 炎の中に、黒と金を基調とした甲冑メイド服の小柄な人影が浮かび上がる。燃えるような赤髪、不敵な笑み。


「くわっはっはっは! うぬら氷の小童どもに、ここから先へは一歩も進ませんぞ!」


 その姿に、土方美鈴(ひじかた・みすず)が目を見開く。「お前は…織田焔(おだ・ほむら)! 秋葉原で犬山雷道(いぬやま・らいか)達に撃退されたと聞いていたが!」


「わしが、そう易々と引き下がる天下人に見えるか?」焔は炎の刀を抜き放つ。「なに、ちょっとした『取引』じゃよ」


「取引だと? 本能寺の逆…貴様、我らを裏切るか!」氷華が冷たく言い放つ。


「勘違いするな、氷の姫。わしは、わしの信念で戦うだけじゃ! この東京は、いずれこの織田焔が天下布武の礎とする場所。貴様ら蝦夷の田舎者に好き勝手されては、わしのプライドが許さんのでな!」


 その熱い展開を、息を切らして到着した健太のドローンが完璧に捉えていた。


視聴者さん達(ウィッチャーズ)、ヤバい! 超ヤバい! かつての敵、織田焔(おだ・ほむら)が、今度は東京を守るために戦ってる! 機能の敵が今日の味方になる展開、これ、最高に燃えるだろ!」


 健太の実況に、コメント欄が爆発的に盛り上がる。「#織田復活!」「マジか!」「焔様カッコイイ!」「#本能寺の変リターンズ」「#昨日の敵は今日の友」のハッシュタグがトレンドを駆け上がった。


 ■密約


 なぜ、織田焔(おだ・ほむら)がここにいるのか。その答えは、数日前に遡る。

 山手線ツアーを終えた夜、ユウマは安倍星華に連れられ、とある神社にいた。そこに現れたのは、力を失い、悔しげな表情を浮かべる私服姿の織田焔だった。


高梨悠真(たかなし・ゆうま)…お主が【義】の共鳴者(レゾネーター)か」


織田焔(おだ・ほむら)さん、秋葉原ではどうも…中々可愛らしいお尻を拝見できて眼福様でした」

「この!!…ヘンタイ配信者めが…」

「おっと、ご安心ください…オレも垢BAN喰らいたくないので、これでも気を遣ってますから、ネットにその肢体を晒さない様にスタッフ共々留意してますって」

「だ・ま・れ!…わしのあられもない姿をお前はその目で見たんじゃろが!」

「それは、避けようがない事実だったし…」

「この女の敵が!」

「不可抗力ですよ…勘弁してください」

「ううう…一生の不覚じゃ」


 ユウマはまっすぐに彼女の目を見た。「あんた、このまま終わる気ないだろ? もう一度、戦う力が欲しいか?」


 焔は目を見開いた。


「星華さんの話じゃ、あんたは『第六天布武(ヘキサ・ドミニオン)』のリーダーだけど、東京魔法陣包囲網も一枚岩じゃないらしいな。今回の敗戦で、足元見られてるんだって?」


「……それがどうした」


「取引しようぜ」ユウマは手を差し出した。「俺の共鳴者(レゾネーター)としての力で、あんたの力を復活させる。その代わり、俺たちの味方になれ」


「わしが、貴様らの軍門に下ると申すか! 笑止!」


「勘違いすんな。仲間になれとは言わない。ただ、俺たちが戦ってる間は、東京魔法陣に手出ししないこと。そして、他の奴らが攻めてきた時は、ちょっとだけ力を貸してもらう。他の勢力に東京制圧を出し抜かれるのは本意じゃないだろ?貸しを作ると思えばいい。どうだ?」


 焔はユウマを睨みつけた。だが、その目には野望の炎が再び燃え上がっていた。

「…面白い。その取引、乗ってやろう。だが覚えておけ、共鳴者(レゾネーター)。わしの天下布武の夢は終わっておらん。借りは必ず返す。そして、いずれはお主の首も、この東京も、わしが貰い受ける!」


 ユウマと焔の手が固く握られ、共鳴の光が二人を包んだ。ユウマの力が焔に流れ込み、彼女の失われた炎が、再びその身に宿ったのだ。


 ■反撃の狼煙


 池袋ウエストゲートパーク。健太の配信映像が、ユウマのスマホに映し出される。


「…そういうわけだ」


 ユウマの言葉に、星荘(ほしな)たちが目を見開く。「ユウマ、あんたってやつは…!」


「言ったろ? 大丈夫だって」ユウマは不敵に笑い、武田嵐花(たけだ・らんか)を指さした。


「さあ、お喋りは終わりだ! 東京駅の心配はなくなった! 全力で、目の前の虎退治と行こうぜ!」


 戦乙女(バトル・メイデン)たちの瞳に、再び闘志の光が宿る。不安は消え、絶対的な信頼と決意が彼女たちを満たした。


「ユウマのミッドナイト・トーキョー、セカンドステージ開始だ! 視聴者さん、刮目して見よ! これが、東京を守る戦乙女たちの、本当の力だ!」


 ユウマの叫びを合図に、五色のオーラが天を衝く。

 池袋を舞台にした、東京魔法陣の反撃の狼煙が、今、上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ