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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第十三話:東京~品川のメイド紹介と甲斐の虎

 秋葉原の喧騒を後にした一行は、日本の中心、東京駅へと降り立った。赤レンガ造りの丸の内駅舎が、歴史の威厳を放っている。


「すっげー! ここが東京駅か! まるで城だな!」ユウマが感嘆の声を上げる。

「国の重要文化財ですからね。日本の玄関口として、多くの人々の想いを見守ってきた場所です」彩花が興奮気味に解説を加える。

 駅構内は、多くの路線が交差するプラットフォームと複雑に路線に繋がる乗換の連絡通路、そしてその合間を埋める商用施設が広がり、巨大な空間を構成している。

「知ってる?東京駅に接続している横須賀線のホームは24mの地下で一時最深部だったんだけど、今は京葉線ホームが29mで最深だし距離も400mも離れててもはや隣の駅なんだよね…」なんか彩花の謎うんちくが始まった。


 一行が探すのは、【忠】の宝玉の守護者、犬飼聖乃いぬかい・せいら

「彼女は東京駅近くの放送局で気象予報士として活躍しているそうです」玲奈が安倍星華からの受け売りを言う。

「俺しってるぜ!おはよう目覚ましのお天気お姉さんだよね!」健太が食いつく。

「前から気になってたんだけど…ケンタってガジェットオタクだけじゃなくてアイドルオタも兼任か?」

 と何気に聞くユウマに健太は「ドルオタじゃないけど…でも美形お姉さんは大好きだぜ。実はこの前の伊達星夜はエロくて最高だったよな!」

「うっわ…サイテー」玲奈ドン引き。

「とか何とか言っちゃって…でもケンタは私のこと助けてくれたんだよね?」彩花がフォロー

「いや…まあ、やっぱ身内は別だよ。俺らは同志だろ」目が泳ぐ…

「ケンタは通信関係の維持も頑張ってくれたしな!ただのオタクじゃないよな」とユウマ。

「まあ、ユウマはもっとサイテーだからね…」ちょっとだけ笑いながら玲奈が睨む。


「これ、初めて来たら絶対迷うよな…「銀の鈴」って言われてもな…これ隣の駅まで歩けるんじゃね?」とユウマは楽しそうだ。


  ■東京:【忠】の宝玉の守護者 犬飼聖乃いぬかい・せいら


 一行が丸の内駅前の広場に到着すると、ちょうど天気予報の撮影が行われていた。

 洗練されたスーツ姿で、カメラに向かって淀みなく解説している女性こそ、犬飼聖乃(いぬかい・せいら)だった。


「…以上、関東地方の天気予報をお伝えしました。週末にかけて天気の急変が予想されますので、最新の情報にご注意ください」

 誠実さが伝わる落ち着いた微笑みで番組を締める彼女は、視聴者からの絶大な信頼を得ている気象予報士だ。


 撮影が終わり、ユウマたちが声をかけると、聖乃(せいら)はプロフェッショナルな顔から少しだけ表情を和らげた。

「皆さんでしたか。話は安倍星華(あべ・せいか)様から伺っています」

聖乃(せいら)さん、テレビで見るより美人っすね!」ユウマがカメラを回しながら言うと、聖乃は「光栄です」とだけ返し、本題に入るよう促した。

「私の宝玉は【忠】。民衆に対して、常に正確な情報を伝え、偽りのない真実を届けること。それが私の忠義です」


 彼女が身につけている鎖鎌をイメージしたチェーンネックレスが、照明に反射してきらりと光る。

「私の武器は『星鎖鎌』。流派は『東京一神流(いっしんりゅう)鎖鎌術』 。

 一見、不規則に見える鎖の動きも、全ては計算され尽くした物理法則に基づいています。天気予報と同じ。データと経験則に基づき、最も確実な一手を導き出すのです」


聖乃(せいら)さん、お天気キャスターやっているなら自分の動画配信チャンネル持ってたりするんですか?今度コラボしましょうよ!」

「ちょっとユウマ失礼でしょ?!」

「ふふ…最近の動画配信者ってみんな元気ですよね…でも、ごめんなさい、私は一応プロとしてキャスターやっているので個人ではチャンネル持っていないし、動画配信系は戦乙女として今回は必要を感じて対応しますが、商用では勝手にできないの。ごめんなさいね」


「ほら、すいません…ユウマもちゃんと謝っときなさいよ」と玲奈が先に頭を下げる。

「いや、だって…俺たちのチャンネルこれから伸びていくと思うんだよ…」

「いや、ユウマ相手はプロだ。経緯を持つことも大切じゃね?」健太も玲奈の肩を持つ。


 ユウマは反論しかけるが、頭をガリガリ掻いて「すいません、聖乃(せいら)さん調子乗りました」

「あら、意外と素直なのね…その辺りも共鳴者(レゾネーター)ってところなのかしら」

「まあ、俺一人で成立しているチャンネルじゃないんで…」

 ユウマが聖乃と手を握ると、力強い共鳴が起こった。ユウマの胸に、何者にも揺るがされない、まっすぐで純粋な「忠義」の心が流れ込んでくる。それは、己を律し、公に尽くす気高い精神だった。


  ■品川:【信】の宝玉の守護者 犬村凪角いぬむら・なぎさ


 次に一行が向かったのは、国際的な雰囲気が漂う品川。

 東京駅に匹敵するJR線の多数乗り入れと、京浜急行や都営地下鉄線のハブにもなって駅周辺の土地は車庫を引き払って巨大オフィスビルなどが再開発地区として林立し、オリンピックの時に出来た高輪ゲートウェイ駅と合わせて生まれ変わった場所と言える。

 目的の人物、犬村凪角(いぬむら・なぎさ)は、品川駅前の交番に勤務する婦警だという。


 交番の前で、凪角(なぎさ)は道に迷った外国人観光客に流暢な英語で対応していた。彼女の穏やかな笑顔と親身な態度は、人々に安心感を与えている。

「OK, you can take the Yamanote Line from platform 2. Have a nice trip!」

 観光客が笑顔で去っていくのを見送った後、凪角(なぎさ)はユウマたちに気づき、人懐っこい笑顔を向けた。


「はーい、みんな! お疲れ様! 私が犬村凪角(いぬむら・なぎさ)だよ。よろしくね!」

 警察官としての犬村凪角(いぬむら・なぎさ)は後ろにキリっとまとめた黒髪で快活で明るい容姿、スマートな体格で警察官制服のパンツルックが良く似合う女性だ。


凪角(なぎさ)さんの宝玉は【信】。信じる心、信頼関係を司る力なんですね」玲奈が尋ねる。

「その通り! この仕事は、地域の人たちとの信頼関係が第一だからね。信じてもらえなきゃ、何も始まらない。それは戦いでも同じ。仲間を信じる力が、私たちを強くするんだ!」

 彼女が腰に下げている警棒は、彼女の武器である鉄扇を模したものだ。

「私の武器は『凪波扇』、流派は『品川中和流(ちゅうわりゅう)鉄扇術』。扇が開くように、心を開いて相手と向き合う。それが私の信条かな。ちなみに、鉄扇と合わせて十手も扱う武術なので、まさに警察官こそが身に付けるべきかな!」


「よろしくお願いします!警察の方と話すと緊張しますね…」ユウマが珍しく敬語である。

「後ろめたいことでもあるんじゃない?」玲奈が揶揄う。

「やめて差し上げろ…誰でも叩けば埃が出る」とニヤつきながら健太。

「ふふ、仲が良いのね。叩いて出る埃の話は今は聞かないから、あまり無茶なことをしないようにね」

「オカルト現象を取り締まる権限は警察には無さそう…」と彩花。

「コホン、だから私がそのパイプ役として戦乙女に選ばれたのかもよ?」

凪角(なぎさ)さん、警察官としてだけでなく戦う女性ってことで尊敬します!」

 ユウマが手を差し出すと、凪角(なぎさ)は少しうれしそうにその手を握る。


 ユウマが凪角(なぎさ)と手を合わせると、温かく、優しい光が溢れ出した。それは、疑うことを知らない、純粋な「信頼」のエネルギー。仲間との繋がりがもたらす、無限の可能性を感じさせる力だった。


  ■武田風林火(イグニスモンテス)(モルド)の襲撃


 凪角(なぎさ)との共鳴が終わり、一行が安堵のため息をついた、その瞬間だった。

 周囲に人がいないことに気づくユウマ達。


 ゴオオオオオッ!


 品川駅のロータリーに、突如として灼熱の突風が吹き荒れた。風の中から、騎馬槍を構え、虎を思わせるオーラをまとった赤色メイド服の集団が現れる。

「来たか…! あれは武田信玄の軍勢、『風林火(イグニスモンテス)(モルド)』のバトルメイド…『透波鷹(すっぱ・だか)』だ!」

 星荘(ほしな)が叫ぶ。

「え?素っ裸?!」健太が速攻反応する。

「違うよ!武田軍のお抱えの忍者集団は『透波』って言われたんだよ…その精鋭が『鷹』っていわれてたんだって!」と彩花のフォロー。

「襲撃キタ!東京・ミッドナイト本領発揮!」カメラとスマホで撮影しながらライブ開始するユウマ。

「#バトルメイドサーヴァント」「#戦乙女開戦」

 まるでライブ配信想定して控えてた!と言わんばかりにライブに視聴者(ウォッチャー)が群がる。


「見つけたぞ、八犬士と共鳴者(レゾネーター)!」

 赤メイドの一人指揮官らしきメイドが、騎馬槍の穂先をユウマたちに向ける。

「我こそは山本 霞幸(やまもと・かすみ)。我が主、武田嵐花(たけだ・らんか)様の命により、貴様らの連携、その力を測りに来た! いざ尋常に、勝負!…武田騎馬軍攪乱の舞」

 槍の穂先から炎が


「させるか!」

 凪角(なぎさ)が叫び、警棒が瞬時に本来の姿である凪波扇に変わる。ロングパンツの警官姿から、ホットパンツにガーターストッキングのメイド姿に変化し、扇を一振りすると、突風がかき消され、赤メイドたちの炎の勢いが弱まる。


「ここは私の管轄エリア! 民衆の信頼を裏切るような真似はさせない!」

 そこへ、東京駅から聖乃(せいら)が駆けつける。彼女の手には既に星鎖鎌が握られていた。

凪角(なぎさ)!加勢する!災星(ステイラー・)追弾(ファング)

 聖乃(せいら)の鎖鎌が、変幻自在の軌道で赤メイドたちを襲う。

風刃無音(ソニック・エッジ)!!」凪角(なぎさ)の鉄扇が巻き起こす風が、聖乃の鎖の勢いを加速させ、敵の陣形を切り裂いていく。


 ユウマは配信しながら叫ぶ「みんな!視聴者さん達!東京・品川のメイドを応援だ!」

「お天気おねーさんのメイドコス萌」「現役警察官ホットパンツ!」「東京を護るのはメイド」「メイドを護るのはオレタチ」

 ユウマの胸の宝玉に力が収束していく「いっけえええええ!」

 ユウマの共鳴の光が、戦乙女たちを包み、その力を増幅させる。星荘(ほしな)の槍、聖乃(せいら)の鎖鎌、凪角(なぎさ)の鉄扇の技が次々と武田の赤メイドたちを捉える。


 山本 霞幸(やまもと・かすみ)が率いる武田の赤メイドたちは、数の上で劣勢になると、深追いはせず、統率された動きで距離を取った。

「ほう…これが八犬士の連携と共鳴の力か。確かに報告通りのようだな」そう呟くと、槍を掲げる。

「目的は達した。武田嵐花(たけだ・らんか)様への良い報告が出来る。だが覚えておけ、これは来るべき戦の序章に過ぎぬと!」

 捨て台詞を残し、武田赤メイドたちは再び風と共に跡形もなく去っていった。

「ふぅ~みんなありがとう!今回もメイド三昧だったな!武田…は赤がメインから―何だな。今回はあっさり退散してくれたけど、また視聴者さん達(ウォッチャーズ)みんな宜しく!」

 コメントが一気に並ぶ「せめて予告は1時間前」「取材乙」「武田の勢力結構ありそう」「今度はドコと連携だ?」


 戦いが終わった品川駅前に、どこからともなく安倍星華(あべ・せいか)が姿を現した。

「…油断大敵ですね」

 星華(せいか)の表情は、いつになく険しい。

「山本勘助の化身…策士だな…今回は『偵察』か…」

 彼女は一同を見回し、厳しい声で告げる。

「武田は、こちらの戦力を、特にユウマ君と戦乙女(バトル・メイデン)・八犬士の連携の力を測りに来たのでしょう…我々も」


 星華(せいか)の言葉に、ユウマ達は顔を合わせる。

 武田信玄の遺志を継ぐ「風林火(イグニスモンテス)(モルド)」という巨大な敵の影が、東京に、そして彼らの日常に、確かな輪郭をもって迫ってきていた。


 ツアーはまだ終わらない。残る渋谷と目黒の戦乙女と合流し、来るべき決戦に備えなければならない。

 

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