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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第百十四話:ミッドナイト基地・父への電話

「八咫烏を見つけ出し、懲らしめる…」 安倍星華のその決意は、そこにいる全員の総意だった。だが、問題は、どうやって見つけ出すか、だ。


星詠司われわれは、全国津々浦々に存在する神社仏閣との連絡監視網を、太古の昔から築き上げてきました」 星華が、自らの組織の限界を、苦々しげに吐露する。 「日本のどんな秘境…それこそ、富士山麓から恐山に至るまで、我々が得られない情報は無い、はずでした。…ただ一つ、あの『八咫烏(やたがらす)』を除いては」


 その名と、三本足の烏という象徴のみが、歴史の裏で独り歩きしている。あまりにも情報が掴めないため、そのぞんざい自体が幻ではないかという憶測迄あった…と星華は語る。

 ユウマは、時折こう思うことさえあった。 (…もしかして、うちの親父が、ただの中二病を拗らせて、妄想で言ってるだけなんじゃないのか…?)


 高梨宗一郎。 八咫烏の一員を名乗り、この国の裏で暗躍している(らしい)自分の父。その存在は、ユウマにとって、あまりにも現実味がなかった。


「…」 ユウマは、藁にもすがる思いで、自らのスマートフォンを取り出した。電話帳に、ただ一言「親父」とだけ登録された、一度もかけたことのない番号。 (…どうせ、出やしない。ただの妄想なんだから) 冗談半分の、自棄っぱちの気持ちで、彼はその番号をタップした。


 コール音が、基地に響く。一回、二回、三回…。 やはり出ない、とユウマが諦めかけた、その時。


『―――そろそろ、電話してくるのではないかと、思っていた』


 スピーカーから聞こえてきたのは、忘れるはずもない、あの男の声だった。


「…嘘つけ!すぐに出なかったじゃないか!」 ユウマは、驚きと動揺を隠すために、反射的に軽口を叩いた。 「ていうか、マジで出るとは思ってなかったわ!」


 ユウマはスマホを皆の前においてスピーカーモードにする。


『……聞きたいことがあるから、連絡をしてきたのであろう?』 父の声は、電話越しでも、全てを見透かすように、冷ややかに、そして楽しそうに響く。


「もちろんだ!単刀直入に聞くぞ!八咫烏って、一体なんなんだ!」


『…ふむ。それを私が答えてしまったら、面白くなかろう?』 「面白いとか、そういう話じゃねーよ!」


『八咫烏とは…』 父は、焦らすように、ゆっくりと言葉を紡いだ。

『…日本の未来を、真に憂いる修験者(しゅげんじゃ)が、その果てに行き着く場所。高みの何たるかを知らぬお前には、まだ分からない』


「なぞなぞなんか、聞いてねぇよ!」 ユウマが怒鳴り返す。だが、父は、全く意に介さない。


『上手くまとまったではないか。国内の、あれだけバラバラだった戦乙女(バトル・メイデン)たちは』


「―――なんだと!?」 その言葉に、ユウマは凍りついた。新宿での戦い、織田や伊達との共闘。その全てを、この男は、知っている。いや、知ってコントロールをしてきたということなのか?


「高梨のおじさま!」

『その声は、玲奈ちゃんか…今は伏姫か…成長してくれて、それでもユウマを支えてくれて本当に嬉しいよ…ありがとう。まさか君が伏姫に選ばれるなんてね…やはり私の目に狂いはなかったということかな?』


「それはどういう意味か?何を知っていて、何を企む高梨宗一郎?!」

星華さんがすかさず入り込んで質問をする。


『ははは…』 父の、心の底からの嘲笑が、スピーカーから響き渡った。


『精進したまえ、我が息子よ』


 その言葉を最後に、通話は、一方的に切られた。 ユウマは、通話終了の画面を見つめたまま、愕然と立ち尽くす。 八咫烏は、妄想などではなかった。そして、その頂点に立つ父は、ユウマたちの行動の、全てを、掌の上で見ていたのだ。

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