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バトル・メイド・サーヴァントII~大東京八宝玉魔法陣編  作者: 黒船雷光


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第十一話:ユウマの東京ミッドナイト・レポート:池袋の戦乙女・犬川星荘に迫る!

 新宿に次いではユウマ達の本拠地もある池袋にむかう。

 星荘(ほしな)は散々これまでもユウマ達と行動を共にしているので、今更という感じもしたが、山手線に沿って周順することに儀式的な意味も深いという安倍星華の要請もあって星荘(ほしな)の取材という事になった。

 …となると、二人目で慣れてきたことに合わせて、知り合いに近いという事でユウマも悪乗りし始める。


「視聴者さん、これヤバいよ! 今回はなんと、池袋を中心に【義】の宝玉の守護で東京魔法陣を守るバトルメイドサーヴァント、犬川星荘さんに突撃取材だ!」


 池袋のとあるカフェで、ユウマは派手目ののパーカーとサングラス姿でカメラを回す。どやら大物配信者気取りで「なんか外見に特徴付けてキャラ付けしないとな~」とか言いつつヘンテコな格好をし始めた。


 隣には冷静な玲奈と、ガジェットを操作する健太、そしてオカルトマニアの彩花が控えている。向かいには、どこか緊張した面持ちの犬川星荘(いぬかわ・ほしな)が座っていた。

 既に武技礼装(バトル・コス)であるメイド姿になっているが、そもそも戦闘でもないのにその恰好でしかもカメラの前で自己紹介などをさせられていることに対して何とも言えない気持ちを持っているようだ。


星荘(ほしな)さん、今日はありがとうございます! 早速なんだけど、星荘(ほしな)さんが、まさかあのバトルメイドサーヴァントだったなんて……玲奈も驚いてたよね?」


 ユウマが玲奈に話を振ると、玲奈は「なんで私に話を振るのよ!…もう!」と怖い顔をしている。

「いやいや、レイナも立派な東京ミッドナイトのメンバーなんだし!東京を、日本を救うためだよ!」

「なにそのノリ…星荘(ほしな)は…同じアニメサークルで仲間だけど、最近知って本当にびっくりした」と正直な感想を漏らした。

 ユウマは大げさに「それはそうですよねぇ~サークル仲間でいつも乙女ロードで書店はしごしている仲間が戦隊ヒーローみたいな活動してたら驚くの当然!」となんか変な進行をする。


「ええ、まさかこんな形で皆さんとお話することになるとは……」と、星荘(ほしな)は少しはにかみながら答えた。


「で、星荘(ほしな)さんって普段は何してるんですか? 学生さんって聞いてるけど……」と、ユウマが問いかけると、星荘(ほしな)は「はい、池袋の大学に通う2年生です。アニメサークルにも所属していて、サブカルチャー全般が好きですね」と答えた。


「へー! アニメサークルか! じゃあ、コスプレとかもするの?」と彩花が目を輝かせると、星荘(ほしな)は「ええ、サンシャインシティでのコスプレイベントにはよく参加しています。槍をイメージしたコスプレ小道具を愛用したりもしますね」と明かした。彼女のメイド服姿も、どこかコスプレ衣装を彷彿とさせる部分がある。


 健太が「なんか、バイトもしてるって聞いたんですけど?」と尋ねると、星荘(ほしな)は「はい、学生の傍ら、乙女ロードの執事喫茶でアルバイトもしています」と答えた。意外な日常の姿に、ユウマたちは思わず顔を見合わせた。


「なるほど! 普段は乙女ロードの執事喫茶でバイトしながら、裏では池袋の平和を守ってるってことか! そのギャップがたまらないね、視聴者さん!」とユウマは興奮気味にカメラに向かって語りかけた。


星荘(ほしな)さんが使う武器って十字槍でしたよね? あれって、何か流派とかあるんですか?」とユウマが核心に迫ると、星荘(ほしな)は表情を引き締め、「はい、私の十字槍は『星嵐槍せいらんそう』と言いまして、星嵐院流槍術せいらんいんりゅうそうじゅつを習得しています」と答えた。


「星嵐院流槍術……かっこいい響きだね! その槍術と、星荘(ほしな)さんの持つ【義】の宝玉がどう繋がってるのか、そして池袋の結界を守るためにどんな戦いをしてるのか、これからもユウマのミッドナイト・トーキョーで追いかけていくから、みんなチャンネル登録と高評価、よろしく!」


 ユウマの締めゼリフと共に、カメラはほしなの顔をアップで捉え、動画は終了した。


「いやぁ~なんかテンション上がるなぁ~リアタイ配信じゃないからこれから編集、音入れ字幕入れ…よろしくレイナ」ユウマはちょっとテンションが変である。

「ちょ、全部私に振るの?ユウマも手伝ってよ」玲奈はあきれ顔で怒っている。

「レイナさん、今回のデータはサーバの今日の日付にまとめて入れてあるんで…まあサムネと字幕は手伝うっすから」とは健太。

「星嵐院って院って言うからには仏教系の施設なのかな…星荘(ほしな)ちゃんの槍ってあの有名な蜻蛉切とかと並ぶ国宝級の業物っぽく見える…くふふぅ~刀剣女子の血が騒ぐわ~」と相変わらず危ない感じで一人メモを取りながら彩花は盛り上がっている。



「こんな茶番が本当に役に立つのか?」

 服部夜刃(はっとり・やいば)安倍星華(あべ・せいか)の隣で腕を組みながら鋭い眼光を送っている。


「まあ、政府の配下のお前たちならわかるだろうが、政治家だって人気商売だろうが…認知されて関心を集めて人の心の移ろいを魔法陣の力に変えることが必要であることの証左になっているのは事実だからな…あの高梨悠真(たかなし・ゆうま)共鳴者(レゾネーター)選ばれたことにも何も意味がないわけではあるまい。」

 星詠司(ほしよみつかさ)の陰陽師が間違わない…とも言うような言い方で安倍星華(あべ・せいか)は正統性を主張する。


「それこそが不思議だぞ星華!これまで決して表に出ることなく裏で動いて処理してきた裏日本の政府の秘密裏の処理を名も明かされることもなく散っていった仲間を思うと…理不尽が過ぎる」

「服部…気持ちは分からなくはないが…一旦方針として山手東京魔法陣の宝珠守護人の絆と力の発露に共鳴者としての高梨悠真(たかなし・ゆうま)をサポートするのが上の決定なら従うしかない」

「まあ、間違っても我らの組織・影刃(かげやいば)が全面的に表に出ることはない様にしてもらいたいものだな…」言うなり服部夜刃は姿を消した。


「まあ、山の手を一周すればいずれ結果も出よう…」安倍星華も姿が消える。

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