私は悪役令嬢ですけど魔女扱いされて婚約破棄の上に追放されたのでダンジョン配信しながらスローライフしていたら実は聖女であることがわかりざまぁします
「エレオノール・フォン・バスシドルク! 君との婚約は破棄する」
気がついたら悪役令嬢になってました。日本でちょっとSFオタクなOLだった私は転生ってものをしたみたいですね。おい本人の承諾も無しかよ……コホン、失礼。
まぁ上位存在たる神が、わざわざミジンコ、いえ細菌以下の存在である私たちに個別対応とも思えませんし。
『それな』
『神はそんな矮小なものではないのだ』
奇妙なことに私の視界には常に、このようなコメントが流れ続けています。
『なにこれ。リアル異世界から配信ってマジか』
『部屋の作りとかCGやセットに見えんな』
『いやいやいや……マジ?』
『これだけのセットを用意して外人の役者集めて配信するなんて、普通やらんやろ。コスパ悪すぎる』
『婚約破棄w』
『テンプレやな』
『これでいいんだよ』
『劇中の登場人物視点で配信か』
『エレオノールたんの顔が見えないから鏡を見て』
どうやら私が見ている光景がどこかに配信されてるようで、皆さんが好き勝手言っているコメントの奔流。
「君には魔女の嫌疑がかけられている!」
そうですか。ま、視界にコメントが流れ続けているから、そういう意味では魔女と言えなくもないですが。
「君が光魔法を行使する時に光が見えない! まるで魔女の闇魔法ではないか」
はぁ? アホですか。光って可視光線ばかりじゃないんですが……はぁ……仕方ないですね。あなたの隣で勝ち誇った顔を見せている男爵令嬢と同程度のオツムみたいです、王太子。文字通りバカップル。
「よってお前を国外追放とする! 極刑にしなかったことに感謝しろ」
「はいはい」
王族と公爵家の婚姻をダメにする……そんな国は遠からず滅びるでしょう。政治に詳しくない私だってわかりますよ。
『極刑にならなくてよかった』
『王子はバカなの?』
『そうでないと物語が始まらないから』
はいどうも。その後公爵家で私は貴族籍を抹消された挙句放り出されました。すごいですね。バカ王族が治める国と心中覚悟でしょうか? こんな人たちが支配階級なんですね。
幼い頃から私には無関心だった両親と姉妹。これはまぁ仕方のないことだと思います。貴族、ましてや支配階級の上位にいる公爵家ですから、日本の家庭みたいに家族揃って団欒とかありえませんし。
父は公爵として働き詰めで帰宅は深夜なんてしょっちゅう。国の運営は大変なんでしょう。
母もお茶会外交に忙殺されていました。貴族社会は足の引っ張り合いの世界。片時も油断できないそうですから。
姉妹も私同様、歴史、算術、政治学、経営学、化学に始まってダンス、護身術、芸術と習い事を一日中やります。王太子、余計なお世話ですが、あなたの隣の男爵令嬢はその辺りの教育をきちんと受けてるんですよね? 教育はコストです。男爵家にそこまでの財があるとは考えにくいのですが……。
まあそんな事情ですから、
「よーし、今度の休みは皆で外食しようか」
「やったー!」
なんてことは、貴族家ではありえないのです。
国境へ歩いて向かう私に容赦のない罵声や時には投石もありました。流石に石が当たったら痛いと思うので、阻止させてもらいます。石を投げようとしている男の人の手のひらへマイクロウェーブを照射。
「あっ! がっ!」
成功です。堪らず石を落としましたね。血液やら体液が沸騰したんです。熱いでしょ? 正当防衛ですから心は痛みません。
「まっ、魔女だ!」
「逃げろぉ」
皆さん蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。あらあら。
『すげぇな民衆は』
『エレノオールたん、かわいそすぎる』
『集団心理こわい』
『俺たちは味方だから!』
隣の国へ行きました。国境警備の人に金貨を適当に渡すと笑顔で通してくれました。
さてまずは職探しですね。どんな仕事があるのかしら。いえ、それ以前にどこで探せば……。私、ファンタジーには無縁なのであまりよく知らなかったのですが、コメントの人たちによると冒険者という日雇い稼業が定番なんだそうです。
ダンジョンに潜って、モンスターを倒してドロップ品とやらを換金すれば食いっぱぐれないとのこと。国による施策でしょうか? 不良労働層を救うセーフティネット。これは安定した社会に必要ですからね。
しかし困りました。冒険者はその日暮らしだから、憧れのスローライフには程遠い感じです。
あぁスローライフ! 適当に家を買って召使い雇ってグータラしたいんです。そのためには先立つものがないと! 資金が必要です。
『魔法使えるなら余裕やろ』
『元公爵令嬢の冒険者?』
『楽しみ』
コメントの人達の言う通りに冒険者ギルドに行きます。
おお! 西部劇に出てくる酒場みたいなとこですね。受付らしきカウンターにはむさくてマッチョなオジサマ達が腕組みして座っています。
『え? 美人で露出高めの受付お姉さんは?』
『リアルだとこんなもんだろ。荒くれ男達の相手するんだぞ』
「あの、冒険者になりたいんですけど」
「登録料銀貨二枚、これに書き込んで」
渡された書類に必要事項を書いて渡すと、クレジットカードみたいなものを渡されました。
「これが冒険者カードだ。身分証にもなるし、ここでの仕事は全てこれを使ってやり取りする。これにはあんたの仕事が自動で記録されるからな」
冒険者になりました。ふふふ。ギルドって言葉が『小説家になろう』で発明されたなんて言った人がいたそうですが、どこまで不勉強なんでしょう。無知は滅びますよ。
受付のおじ様にパーティを組めと言われ、メンバー募集をしましたが、私の容姿を見て冒険者の方々は変な顔していくばかり。理由を聞いたら
「あんた、明らかに貴族のご令嬢だろ? 面倒ごとの予感しかないな。関わるのはごめんだね」
と言われました。まあ庶民の感覚だとそうでしょうねぇ。万が一私に怪我させたら打首になるとか想像してるんでしょう。私は実家からも国からも追い出された身の上ですから、そんなことありえないんですけど。
粘り強く勧誘をした結果、やっとパーティ組めました。全身鎧の男性剣士、近接戦担当の猫娘、私の三人です。剣士はヘンテコな鎧を着ていて顔が見えません。寝る時も装着したままとか。怖い。
猫娘は彼女の自称で、どこにも猫要素がない美少女です。
『ガン◯ム?』
『ガ◯ダムにしか見えないデザインだよな』
『リアルロボット系デザインの鎧ってかっこいい!』
剣士の鎧はコメントの人たちに人気ですね。夏は暑くて死にそう。
『猫娘可愛い』
『猫耳がないんだが』
『鬼◯郎のと同じじゃね?』
『耳を伏せてるんじゃないか』
『語尾にニャはいらんなぁ』
『俺にケンカ売ってんのか?』
猫娘に関しては考察も始まりました。
早速ダンジョンに向かいます。
出るわ出るわスライム、ゴブリン、オーク、オーガ、何故か種族名になっているミノタウロス、これもなぜか種族名になっているフェンリル。ドラゴンなど。私は脱力します。ちょっとぐらい創意工夫してくださいよ。
ファンタジーに興味ない私でも、膨大な数のwebコミックが溢れているので目を通すことはありましたけど……あまりにも大同小異な設定ばかり目につくので、読むのをやめちゃったんですよね。
偉大なる古典作品の概念や設定、名称をそのまんま使ってるんです。SFで同じことやったら……古典として『スタートレック』があったとして、どの作品読んでも登場する宇宙戦艦は全てエンタープライズ、異星人はクリンゴン、バルカン、ロミュランに統一されて……それなんのギャグですか?
そうそう。カラシニコフ社がエアガンメーカーやゲーム会社相手に訴訟を起こしましたわね。あれと同じことが起きたら大半のファンタジーは消えそうです。
『いいんだよ、それで。知らないモンスターが出てきても困る』
『そうそう。オリジナルモンスターの説明は読みたくない』
『オタクが何かを極めるのなんて昔話だよな。色々調べたりせえへんよ』
『それな』
そうなんですね。これは仕方ないです。何かがヒットしたら類似品が雨後の筍の如く次から次へと作られますもの。
剣士は肩から剣を抜くと、さくさくモンスターを切り裂いていきます。光ってますね、あの剣。何なんでしょうか。荷電粒子を纏わせている?
兜からは何やら発射して、撃たれたモンスターは穴だらけになった挙句すぐに絶命しました。怖っ。
『やだ強い』
『ビームサーベルw』
『頭部のアレってバルカン?』
『ますますガンダ◯ww』
『抱かれたい』
猫娘は顔が猫っぽくなったかと思うと、華麗で俊敏な動きで敵を翻弄しつつ、長い爪でとどめを刺していきますね。強い。
彼らが通った後は死屍累々。このまま私の出番はなさそう。
『かっこ可愛い』
『猫耳は……ないの?』
『多分Bカップ』
『巨乳好きばかりだと思うな』
『見えてる』
『この子も強い』
『尻尾も出ない……だと』
一部不満が出ているようですが、頭蓋骨の形からして、頭頂部に耳があるのは変では? と私は思います。
などとどうでもいいことを考えていると、広い空間に出たところで、ワイバーンの群れに遭遇しました。ガンダ◯、いえ、剣士も猫娘も空中を飛ぶ敵には手こずってます。やれやれ。
「二人とも! 私に任せてください」
「すまない!」
「申し訳ないニャ」
「いえいえ」
さてあのおバカ王太子の前では見せたことのない可視光線の出番としますか。レーザーですね。何せ光速なので狙いは適当でかまいません。すぐに修正射できますから。それっ、と。
わっ眩しいっ!
あらあら。
オレンジの光が瞬くたびに汚い花火、ワイバーンが一瞬だけ燃え上がり、炭化して墜落していきます。脂肪分が燃えてるんでしょうか?
「す、すごい」
「ニャ!」
『レーザー!!』
『魔法便利! コストなしで撃ち放題』
『米軍はもう実用化してるんだっけ?』
『自衛隊も開発中だよ』
『光魔法で無双w』
「エレノオール嬢、凄まじい威力だね、光魔法」
「あたい、あんなの見たことないニャ……」
「飛行型のモンスターは任せてください」
ふざけたマンガやアニメで光線を回避する描写を見かけることありますが、秒速三十七万キロメートル、時速だと約十億七千九百万キロメートルで迫るものをどうやって避けるんですか。ありえないでしょう。
毎日ダンジョンに潜ってはモンスターを片付けての繰り返し。スローライフには程遠いですが、頭の中は昭和パワハラ営業部長に数字のことを言われないだけ、百万倍マシな生活です。
私が変だと思ったのはモンスターって死ぬと死骸が一瞬で消えて、しかも何かをドロップするんですよ。どんなカラクリなんでしょう? 誰も解明しようともせず、またそれを誰も変だと思わないのが何とも気持ち悪いです。
すると前方からゾンビの群れがやって来ました。臭い。鼻腔に遠慮なく突撃してくる死臭で鼻で曲がりそうです。特殊清掃の人が書いたマンガを読んだことありますけど、本当にキツイみたいですし。近寄りたくないです。
でも走ったりしないので、私的には高評価。ロメロ万歳。
『数で攻めてくるゾンビやばい』
『エレノオールたん逃げて!』
『さすがに厳しいんとちゃうか』
『エレノオールの推定Fカップの危機』
『まず服を脱ぎます』
コメントの皆さんも心配してくれてます。うーむ。ノロノロヨタヨタ歩くゾンビと言えどもあの数は面倒です。居合わせた他のパーティも大騒ぎしてますね。
「なんでこの階層に?」
「数が多過ぎる!」
「魔法使い何とかしろ!」
あのぅ何故魔法使いの女性ってあの変なトンガリ帽子被るんでしょう? まさかあれって生きてて喋るあのキャラとか? やたら露出の高い服と並んで謎です。足とか擦り傷できませんか?
「あいつらの弱点は光魔法ニャ! エレノオール出番ニャ!」
「お任せを」
光=電磁波です。じゃゾンビどもにはガンマ線バーストを高出力で浴びせてやりましょう。
あらあら。
次々と吹っ飛んでいきますね。
それに皮膚が火傷ですごいことになってます。目も白濁してきて大変。まぁゾンビは元々死んでますけど。どんどん倒れていきます。こんなのを見ると、超新星爆発が近くで起きてほしくないと切に思います。
『グロいな』
『うわぁ……』
『ヒエ』
『瞬殺で草』
『ガンマ線て何?』
コメントの皆さんにもドン引きされてます。
「た、助かったぞ!」
「すごい威力だ」
「あなたは聖女か!」
「あたい見たことある! 聖女様がゾンビの群れを浄化した時もこんな感じだったニャ」
本当ですか? そもそも何ですか聖女って。
『聖女爆誕』
『そもそもなんでエレノオールが魔女?』
『言いがかりなんだよなぁ』
その後もドラゴンを倒したり、魔王軍を撃退したりして忙しかったです。さらにはモンスタースタンピードが発生して周辺各国を巻き込む大災害となりましたが、私がレーザーで片っ端から焼き払ってどうにか制圧しました。
「聖女だ!」との賞賛があちこちの国から巻き起こり、私達へ『王(教皇、皇帝、その他貴族)と謁見してほしい、褒賞を受け取ってほしい』という要請が殺到し、どうにも逃げられず、謁見の旅が始まりました。私、何もいらないんですけど。まぁ貰えるものは貰っておきましょうか。
あ、私を追放した王国は最後に回しました。本当は断りたかったんですが、あまりにもしつこいので渋々です。
王城へ向かう私たちの馬車は国民総出の『聖女』コールで迎えられ、私は『あなた方、国を出る私に罵声を飛ばして石を投げたの忘れたの? 頭大丈夫?』と落ち着きません。
あ、私を追放した王太子とその相手の男爵令嬢、真実の愛を育んだ二人は、私のことを憎々しげに隅の方で私を睨んでいましたけど。
『物足りないざまぁだなw』
『もっと酷い目にあってほしい』
『とことんやってしまえ』
『KO☆RO☆SE』
微妙な空気の中(そりゃ追放した私が聖女だってことになったら気まずいなんてものじゃないでしょう)で無事褒賞授与式が終わり、城の外へ出たところで、バカ王太子と男爵令嬢が馬車まで追いかけてきました。暇人ですね。
「エレノオール! どうせイカサマを使ったのだろう? それとも魔女の力か?』
私を指差して何か言ってきましたが、たちどころに衛兵達に取り押さえられ、第二王子や宰相が土下座で謝罪をしてきました。まともな神経を持った人もいらっしゃる様子。
ええ知ってますよ。なんの力もない男爵家を王妃に迎えたらどうなるか、やっと周囲の人も気づいたのですよね。既に第二王子を神輿に担いだ派閥が台頭して混乱の真っ最中。その皺寄せは全て国民に向かってますし、国境を接する国々が侵攻の準備をしているとか。
王太子殿下、あなたのやらかしは国を傾けたのです。
王国を出た時、剣士は初めて兜を私たちの前で外しました。あらぁ! 耽美派とでも言うのでしょうか、とても美しいお顔をしています。
「正体を隠す必要があったのでね。私は隣の大陸にあるレブセーナ帝国の皇子なんだよ。この国の魔法というテクノロジーを調査に来たんだ。用は済んだ。ぜひ君を妻として迎えたい」
いきなりのプロポーズ。そして抱きしめられてキスされました。まぁ強引。ええ。文明や文化が違うということは、こういうことなのでしょう。
イケメン遺伝子を欲しがる私の遺伝子には逆らえません。人間は結局のところ遺伝子の乗り物ですし。もう好きになりそう。
すると猫娘もカミングアウトしました。
「私は別次元から来たニャ。この銀河には異常な数の歪な文明があるので、殲滅に来たんだニャ」
ああ、そうでしたか。猫娘が色々と説明してくれました。転生者である私もそう思います。よくわからないチグハグな、まるで素人が適当に考えたようなガバガバな世界だと思ってました。
私も持っているギルドカード。様々な情報を自動で記録するのですが、動力は不明です。
建築や人々の生活を見る限りせいぜい近世程度の文明なのに、これだけオーバーテクノロジー。
ここまでハイテクなものを作ることができて、冒険者にばら撒くぐらいなら、情報伝達機器がもっと発達してるでしょうに。
学園もそうでした。何故か日本でお馴染みのブレザー制服や生徒会が当然のようにありました。
蛮族が跋扈する命の軽い世界に、現代日本の学園が突然変異みたいに生えてる。成人前の子どもに自治権を持たせるなら、もう少し世の中マシじゃないと釣り合い取れません。
ダンジョンなんて危険なものに国が対応せず、冒険者なんて民間のよくわからない日雇い労働者に任せる出鱈目なとことか。日本だったら警察や自衛隊でしょ。
それと王族と貴族しか見当たらず、日本で言えば、各省庁や役人に当たる存在が一切存在しないんです。どうやって国を運営してるんでしょうね。
食べ物も日本で見かけたものばかり。変ですよね。
あ、一番変だったのは、例えば日本が殺し殺されの戦国時代を何百年も続けて、その後民主主義を取り入れ、二度目の世界大戦で敗北後に経済復興をして教育されて、やっと手に入れた『現代日本の倫理観』を、盗み殺しは当たり前で命が軽くて社会保障なんて皆無で人権なんて存在しない、厳しい身分制度に支配されたこの王国の平民や農民が持ってること。ありえないでしょ。
猫娘に聞いた話ではまだまだあるんですって、歪な世界。ステータス画面が空中投影されて、数値化された各数値が見ることができる惑星とか。ゲームですか、それ。その数値どうやって決まるのでしょう?
私は皇子を迎えに来た船に乗ってこの国ともおさらばです。その後、猫娘がこの国の上空で小型のブラックホールを発生させるとか。ざまぁみろってとこですが、国ごと滅ぼすのはお願いしてやめてもらいました。無関係の人たちが気の毒すぎます。
猫娘も私の言うこと聞いてくれて、王城だけをマイクロブラックホールで消滅させました。バカップル、無事生き残れたならいいですね。無理でしょうけど。
私は皇子の妻として帝国で楽しく暮らしました。勉強することが沢山ありましたけど、連日徹夜して頭に叩き込みました。皇族って色々知ってないと何もできないんです。国の運営してますからね。
倒れそうになるほどの勉強漬けでしたが、知ってることが増えていき、それが活かされる場面もあると面白くなってきます。まだまだですけど。
息抜きに猫娘の手助け『トンチキ文明国の殲滅』を時々やりました。ブラックホールよりガンマ線バーストの方が後々の処理が楽でいいとか。
そして猫娘が教えてくれました。この惑星を含む銀河は上位存在が遊びで作ったもの。不慮の事故で死んだ魂をカスタマイズ(不相応な力を与えて)して、放り出された人間がどう生きていくのかを眺めて愉悦に浸る遊戯盤──そんな場所だと。
大抵は欲望をむき出しにして生きていくそうで、それはまぁ仕方ないかなと。男の人ってハーレム願望が強いですものね。
現実はなかなか辛いこともあります。努力が報われることは中々ありませんし、子どもの頃の夢なんて大半の人が諦めちゃいます。だからその反動ではじけちゃう。まぁ当然と言えば当然ですか。
かと言って努力もせずに、分不相応な結果を望むのなんて妄想だけにしておく──そんな当たり前のことを私は心得てるだけなんです。
私は皇子とラブラブでずっと暮らしました。
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