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89 アカキバ破滅の序曲

 来ます・・・。


 ヘイトの高い人なので、ラストまで今日中にアップします。

 ◆◇Sight:アカキバ◇◆




「こんにちわー。アカキバでーす。今日はこのデパートに、FLのプレイヤー配信者のヒナさんがおられるという事で、ドッキリを仕掛けたいと思いまーす」


❝おいおい、FLをやれwww❞

❝最近、戦闘少なくて笑うw❞

❝お前は性格クズだけど、その飛行技術だけは買ってんだよwww❞

❝コラボかよw❞

❝登録者数20万のお前が、よく登録者数180万のHINA(ヒナ)さんとコラボできたなwww❞


 うっせぇなあ、以前は30層の下層でも戦えたのに、今は20層の中層にも行けねえんだよ。


 香坂がいなくなって、戦闘機タイプで戦うのはきつくなったから、人型に変えたけど、人型だと単機戦闘は難しいから、今クランを作ろうとしてる。――けど炎上騒ぎで、メンバーが集まらねえし。コラボ相手までいねえんだ。クソが。

 これも全部、ゴブリンにも勝てないコハクや、勝手に会社を辞めた香坂のせいだ。他の奴らも全員抜けたし。


 元・アカキバ軍団のメンバーにネタを仕掛けようとしても、元・アカキバ軍団のマッドオックスってオヤジがべったりで近づけねえし。

 あのオヤジ、やたら女受けが良いからコントロールしようと入れてやったのに、俺のやり方が気に入らねぇって、速攻チャンネル捨てて抜けやがって。


 香坂にも、許してやるから戻って来いって言ってるのに「俺はもう、スウにしか興味はない。スウの敵に回るお前に力を貸す気にはなれない」とか言って、もどって来ねぇ。スウの何が良いんだよ!?


 チャンネルも、香坂がいなくなった後はちょっと戦闘しただけで「なんで急にそんなに腕が落ちてるんだよ」とか言い出すやつがいて、戦闘するほどに登録者が減っていくし。


 仕方なく今まで複座だった事がバレないように戦闘しなくなっだけで、40万から20万まで落ちた。ふざけんなよ!!


 「スウに唯一対抗できる男だと思ってたのに」とか書き散らかしてるヤツまじでやめろ。

 つか戦闘しなくなっただけでなんでこんなに落ちるんだよ!! ネタ配信でも面白ければいいじゃねーか!!


 逆にスウのあの登録者数はなんだ、1100万とか。


 俺だって香坂となら要人たちを助けれたのに、どうして俺があの場に居なかったんだ!

 俺は湧き上がる怒りを抑えながらも、頑張って配信を続ける。


「えー、突発コラボなのでヒナさんがどこに居るかわかりませんが、作戦は考えてきました」


❝突発?❞

❝なんでヒナさんの居場所わからんの? 相手のスタッフに訊いたら?❞


「ヒナさんを、迷子センターで呼び出してもらいましょう!」


 俺は暗い気持ちを振り払うように、健気に右腕を挙げた。


❝ヒナさん24歳だぞw❞

❝きっつw❞

❝24歳で迷子のお呼び出しw❞


 よしよし、好感触だ。

 これこれ、これぞネタ配信だよ。


 迷子センターで、興信所に金を出して手に入れたヒナの情報を係員に話す。

 こういうのには真実味が必要だからな。


「はい、そういう感じで放送をお願いします」

「わかりました」


 係員がマイクに向かい、放送を開始する。


『迷子のお呼び出しを致します。

山梨県、甲府市からお越しのハヤカワ ミモリちゃん。

山梨県、甲府市からお越しのハヤカワ ミモリちゃん。

お父様が、2階おもちゃパークでお待ちです』


❝まって。ハヤカワ ミモリって、ヒナさんの本名?❞

❝おいおい、スタッフ。住んでる場所まで晒して大丈夫かよ❞

❝ミモリちゃんwww❞

❝カワイイ名前じゃん。俺ヒナのファンなんだけど、本名とか知らなかったわ。どっかで公開してんの?❞

❝おい、お前ら凸とかすんなよ❞

❝コメ減ったぞ、おい!❞

❝マジで頭おかしいことすんなよ!!❞


 よし、ウケてるウケてる(笑)

 視聴者も増えてきたぞ。

 ――つかまてスゲェよ、初めて視聴者数だ20000超えた! 流石登録者数180万のヒナ効果!


 マジで今回は神回になるわ!


「じゃあ、放送ありがとうございました。おもちゃパークで待ちます」

「はい、お嬢さん見つかると良いですね」


 俺は急いでおもちゃパークに向かう。


 高い金を払ったんだからちゃんと来いよ、ヒナ。


 しばらく待っていると、小柄で顔の小さな女が現れた。


 ヒナって、リアルで見るとマジでスタイルいいな。


 地味な格好をしているのは、周りにヒナとバレないようにしたいからだろうか。

 メガネにマスク。白トレーナーに黒のスウェットパンツ、セミロングをゴムでまとめている。

 まるで家でくつろぐ主婦みたいな、とことん飾り気のない格好だ。

 ただ、それでもダサく見せないのは素材が良いからだろう。


 ヒナが周囲を見回して、誰かを探す仕草をした。


「お、お父さん? なんで――」

「初めましてヒナさん!」


❝普段のヒナって、超地味な格好してんな❞

❝まあ、身バレ対策だろう❞

❝けど今、本名どころか住んでる場所までバレたわけだけど❞

❝マジで大丈夫かよ❞


「え――・・・・貴方、誰ですか?」

「初めまして、アカキバって言います。フェイレジェのプレイヤーで配信者やってます!」

「はあ・・・。え、貴方が私を呼び出したんですか? どうやって私の住所や本名を・・・・」

「ヒナさん、実は今日はプレゼントがありまして」

「いや――そういうのは事務所を通して・・・」

「じゃーん。こちら、爽やか炭酸飲料詰め合わせセットです! ヒナさんは一式 アリスさんの大ファンだと聞きまして」

「まあ、そうですけど」

「これ、限定品で沖縄にしかないんですよ!」

「そ、それは――ちょっと嬉しいかも」

「喜んでもらえて光栄です。どうですか一本飲んでみませんか」

「んー、じゃあ」


 彼女がペットボトルの蓋を捻った。すると、俺の施した罠が発動。

 あのペットボトルの中には、大量のメントスが入れてあったんだよ。


 噴水のように吹き出す炭酸を、顔面にマトモに食らうヒナ(笑)


「きゃあああああ!!」

「ブハハハハハハハハハ!! ドッキリ大成功ー!」


❝うわっ❞

❝マジか、ヒナびしょびしょじゃん❞

❝スタッフもえぐいなw❞

❝デパートの床もヤバイぞ❞


 俺はコメントをチェック。良いねウケてるウケてる(笑)。


 ヒナはペットボトルから距離を取るようにして、顔を歪める。


「まって、ドッキリってなに。まさかこれ動画にするつもり?」

「いや、配信ですよ。生ドッキリですからね」


❝にしてもスタッフ来ないな❞


「配信? 今、生でやってんの?」

「もちろんですよ(笑)」

「さっき、私の本名とか・・・」

「まあ、ウケたし、気にしない(笑)」


 ヒナの表情が急に青ざめた。

 そうして、俺にペットボトルを投げつけてくる。

 さらに奇声を挙げる。


「ザっけんな!!」


 俺はマトモにジュースを食らって、服を汚した。


「あ? 何すんだ、このアマ。テメェのダセェ服と違って、こっちはブランドもんなんだよ!」

「お前がフザケた事するからだろ!!」


❝うわ。ヒナ、マジギレしてるよ❞

❝ヒナって怒るとこんな感じなんだ、ドン引きだわ❞

❝いや、本名と住所晒されたら切れても仕方ないだろ❞

❝おい、スタッフ早く来い❞


 俺は、ヒナのつまらない行動に文句を言う。


「お前、ネタも分からねえのかよ!!」

「実害与えたらドッキリじゃねえよ! ネタで済まない事をやってるんだよアンタ!! 大体、お前。ウチのスタッフどこだよ、こんなの許すわけねーだろ、事務所通したのかよ!!」

「はあ? 事務所? コッチが企画したドッキリなんだから、知るかよ。ドッキリは通行人にいきなり仕掛けたりするだろ」

「お前、頭おかしいのか!? 実害出してんだよ、ドッキリで済んでねえだろうが!!」


❝え、マジでこれ事務所に話入れてないの?❞

❝ヤバくない?❞

❝ちょ、通報するわ❞


 なんだ、視聴者の奴らもネタってのが分からないのか?


 ヒナが拳を握った。

 こいつ、俺と喧嘩するつもりか!?


「クソアマが、お前が拳握ったからって――」

「お前みたいな弱小配信者と違って、こっちはステータス上げまくってんだよ!!」


 とんでもない鋭い踏み込みで、俺の懐に入り込んでヒナが腹に拳を突き刺してくる。

 ハンマーみたいなボディブローだった。


「お・・・おぶぁ・・・・うあああああ!!」


 痛え、なんだこれ、女の力じゃねえぞ!!

 あまりの鈍痛に、俺は叫びながら床を転がりまわって暴れる。


❝ダッセェ❞

❝イキリ散らして、あんな小さな女の子にボディ一発でやられてるw❞


 するとヒナが俺に覆いかぶさって、拳を顔面に――。


「や、やめ―――」

「住所晒すとか、家族にまで迷惑かけて――!!」


 鬼の形相のヒナが、俺の顔面に拳を叩き込む。

 そこで俺は意識を失った。



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― 新着の感想 ―
因果応報の4文字で全てを表せるとんでもない場面なんだけど、被害者側が大変な事に…
普通に犯罪
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