86 大会が開催されます
最先端アースウノイド:スウのクランにコハクたちが入ったんだって?
最先端アースウノイド:マジかよ、コハク達にも遂に春が来たな
最先端アースウノイド:大変だったもんな、あの辺
最先端アースウノイド:登録者数が爆伸びしてるぞ。つかマッドオックスって元・アカキバ軍団のメンバーだったんか
最先端アースウノイド:マッドオックスはとっとと抜けたけどな。アカキバが殴りかかったら、マッドオックスが一本背負い。
最先端アースウノイド:流石オックスのアニキ。掘られたい
最先端アースウノイド:アカキバってヤツ、コハクたちが抜けた後もコハクたちにちょっかい掛けようとしてたけど、マッドオックスが常に側にいるようになって手出しできなくなったんだよなwww
最先端アースウノイド:マッドオックス優秀だな
最先端アースウノイド:もう一人の男、さくらきゅんは? あっちもアカキバがちょっかい掛けようとしてたけど。
最先端アースウノイド:かわいい
最先端アースウノイド:かわいい
最先端アースウノイド:性癖の破壊神
最先端アースウノイド:神だから信仰対象
最先端アースウノイド:てかあの子、大丈夫なんか? あの可愛さで、配信で本名明かしてるんだろ?
最先端アースウノイド:笹倉 路々な。まあ、本名そのまんまの芸能人もいるし大丈夫なんじゃね?
最先端アースウノイド:心配だわ。
最先端アースウノイド:お前みたいな保護者の会もいるしな。
最先端アースウノイド:なあ、スウってアレで学校では、体育ペアいないんやろ? なんなんや
最先端アースウノイド:私が側にいたら絶対友達になるのに、押し倒すのに
最先端アースウノイド:押し倒すな
最先端アースウノイド:戦うとめちゃくちゃ強いのに、押し倒されたら、絶対思いっきりキョドるよスウってwww 容易に想像できるwww 愛おしすぎwww 私も押し倒したい
最先端アースウノイド:目とかキョロキョロしながら、身体をビクビク震わせそうw で、赤くなるんじゃなくて青くなってんのwww
最先端アースウノイド:なんかスウのファンの層が変わってきてるぞ、最近。一式 アリスのファンが紛れ込んでんじゃねえのか
最先端アースウノイド:そんな事はないで爽
最先端アースウノイド:ないでアリんス
最先端アースウノイド:完全に紛れ込んでソーダなwww
最先端アースウノイド:スウ逃げろ、全力で逃げろ
最先端アースウノイド:ちな大会ルールとかこんな感じ。
FLで、バーサスフレームを使ってタイムアタック。(スウは、沖小路宇宙運輸がチューンした機体で出場)。
会場は、1層の惑星の海上。
惑星環境は地球比で、重力が1.5倍。大気圧1.5倍(客席や、放送席などは地球環境に調節されている)
レースのルール:
バーサスフレームを使い、惑星の海の上を、浮かんでいるリング通りに飛ぶ。
すべての機体は外付けブースターなどで加速度、最高速度を揃える。
アビリティキャンセラーを飲むこと。
賞品:1位 100万クレジット。金券100万円分
2位 50万クレジット。金券50万円分
3位 25万クレジット。金券25万円分
(クレジット提供・スウ)(金券提供・沖小路宇宙運輸)
協賛:沖小路宇宙運輸(撮影機材なども提供)
最先端アースウノイド:沖小路宇宙運輸しっかり宣伝してるしwww スウの機体を沖小路宇宙運輸がチューンって、完全に広告塔じゃんワロwww
最先端アースウノイド:沖小路宇宙運輸の社長って、スウチャンネルの専務で、しかも同じ学校なんだろ? ちゃっかりしてんな、スウチャンネルも安泰だわワロワロワロwww
最先端アースウノイド:そうそう。ゲート開通の時のテレビで見たわ。滅茶苦茶美人、滅茶苦茶お嬢様、なんかもう立ってるだけでお嬢様。
最先端アースウノイド:そうえば最近FLって略すやつ増えたよな。
最先端アースウノイド:言いにくいしダサいもんフェレジェ。
最先端アースウノイド:まて、これスウも出るのか? 主催者が出るのはズルくね、スウ強すぎるし。
最先端アースウノイド:いや、スウのチャンネル登録者数をあてに配信者たちがコラボするんだから、出ないとむしろ他の参加者が涙目だろ。あと、スポンサーの広告塔だしな。
最先端アースウノイド:ああ、そうか
最先端アースウノイド:とりあえず俺は眠る。お前ら、元・アカキバ軍団メンバーを登録してから寝ろよ。スウは、絶対喜ぶタイプだろうから。
最先端アースウノイド:スゥ・イエッスゥ!
◆◇Sight:3人称◇◆
クレイジーギークスに新たなメンバーが加わってから数日後、スウ主催・沖小路宇宙運輸協賛のレース大会当日が来た。
スウと江東が海の前に設営された会場で、青く輝く海をバックに、客席の方を見ながら話していた。
「集まりましたね、スウさん」
「江東さん、お客さん1万人で満員ですよ――出場者も100人超えてます・・・。――配信の視聴者も、メインでレースを映す配信と、私の配信で視聴者数が合計50万人超えてますし――ケルベロスの時の6分の1ですけど、これはおかしいですよ・・・」
「沖小路宇宙運輸のいい宣伝になります」
「あの、前から思ってたんですが、どうして江東さんが沖小路宇宙運輸の宣伝まで考えてるんですか・・・?」
「知らないんですか、沖小路宇宙運輸はスウチャンネルの子会社になってるんですよ」
「規模的に、逆じゃないんですか!?」
「スウさんがタンカーをあげちゃうからですよ。株がいっぱい入ってきちゃったんです」
「確かに、江東さんがタンカーの税金で40%なんか払ったら商売自体できないから、法人の方の法律使わないといけないって言うんで、タンカーをスウチャンネル通して渡してもらいましたけど」
「という訳で私はスウチャンネルではヒラですが、沖小路社長の相談役なので、向こうでは専務です」
「や、ややこしいです」
「普段はヒラ社員、しかしてその正体は沖小路運輸専務・江東 桂利です! ――まあ、スウさんはお金のことは気にせず、好きにやって下さいという事です」
「それは、いつも本当にありがとうございます。江東さんとフーリがいなかったら、私じゃてんてこ舞いだったと思います」
「スウさんのその言葉が、私のなによりの栄養です――おっと、レースが始まりましたよ。解説はアリスさんですか」
スウは手を口に当てて、メガホンを作って小声で言う。
「アリス~、頑張れ~」
「選手の応援はしないんですか」
「私なら解説の方が辛いです」
配信画面に、解説席が映し出される。
机は、白地に青をナナメに走らせた縁どりで囲まれた模様で、爽やかさを全面に押したした物に「沖小路運輸協賛・スウカップ」とデカデカと書かれていた。
爽やかさを押し出す、フーリの抜け目ない宣伝であった。
そこの椅子に座る、コハクとアリスの姿。
彼女たちの後ろには、巨大モニターが設置され、彼女たちの前にいる沢山の観客がモニターを眺めている。
解説者コハクのトレードマークである、大きなリボンが揺れた。
『さあ始まりました! 沖小路宇宙運輸協賛、第一回スウカップ! 司会の配信者コハクです! 解説はプレイヤーとしてもモデルとしても大人気、一式 アリスさんでお送りします! さて、始まりましたね。アリスさんの予想する優勝候補は誰だと思いますか?』
ちなみに解説席の中央にリイムが配置されて今は水を飲みながら翼を パタパタ させている。
配置したのはフーリである。
「リイムの可愛さは使えるわ」だ、そうだ。
リイムの可愛さで、会社のクリーンイメージを広める作戦らしい。
アリスがカメラを見ながら、コハクの質問に返す。
『そうですね。まず第一優勝候補はスウさんです。主催者でも、容赦なく優勝を取りに行って貰いますよ』
『あはは。皆さんスウさんには期待しています――他には?』
『星の騎士団のスナークさんですね』
『アリスさんの元いたクランの、配信者さんですね』
『はい。あの人は戦闘機FPSのプロゲーマーでもあって、フェイレジェを始めてからも瞬く間に戦闘機の操縦が上手くなりました』
『配信で何度も見ました。凄いテクニックですよね』
『要注意ですよ、スウさん』
『スウさんに言わないで視聴者さんに言って下さいよ(笑)。アリスさんは本当にスウさんと仲が良いですね』
『仲良しです。あとはやはり音子さんのクラン、配信者だらけの〝ストリーマーズ〟の方々ですね。配信者として注目される方法は色々ありますが、やはり実力で注目されている方が沢山います。あのクランはクラン自体の人数はそこまで多い方ではありませんが、配信者に限った人数ならトップです。なので母数が違います。彼らのチームからは必ず上位に食い込む人物が出てくるでしょう。そもそもクランマスターである音子さんが「ウチは、逃げ足特化や」と言い切るくらい、素早い人ですからね』
『なるほどです。では、ここでリあンさんに出場者へのインタビューを行ってもらいましょう。――会場のリあンさん?』
カメラが切り替わり輝くターコイズブルーな海を背景に、青と白のビキニのトップスに、同じ色のショートパンツのリあンの姿が映し出された。
『はーい、こちらリあンです』
『なにその格好・・・?』
『今日のために用意したレースクイーン衣装よ、目立ってなんぼだからね! さて、では先ずはアリスさんの言う要注意人物、スナークさんにインタビューしてみます。スナークさん、意気込みをどうぞ!』
『アリス、クランに帰ってこい。以上だ』
『・・・・えっと、意気込みは?』
『勝ってアリスを取り戻す』
『アリスさんは賞品ではないですよ・・・・?』
『アリス、勝負だ。俺が勝ったら、クランに戻ってこい』
『こ、こちらからは以上で~す!』
画面が切り替わり、再び解説席。
水を飲み終えたリイムがアリスの肩にのって耳たぶを はむはむ している。
コハクがアリスに尋ねた。
『ア、アリスさん。スナークさんがあんな事を仰っていましたが・・・・?』
アリスは、リイムを撫でながら答える。
『寝言は寝て云え、です。――というかそもそも、私は戦闘機で飛ぶのが苦手なんで出場してません』
『あはは・・・・アリスさんは、スナークさんの配信によく出演しておられたらしいですが・・・・仲が悪いんですか?』
『あっちはこっちをどう思っているか知りませんけど、こっちはあっちが嫌いですね。無理やり配信に出されていましたからね。スナークは神合機フラグメントのパイロットだったので、わたしも神合機を任されている都合上、どうしても出演せざるを得なく。出演料払えです――まああの頃は顔を隠してましたし、事務所にはプレイヤーである事は秘密でしたけど』
『な、なるほどです。そういう事情でしたか。――お、おっとタイムアタックレースが、まもなく開幕だー! ところでアリスさん』
『はい』
『この大会名が「スウカップ」という事で、ずっと気になってたんですが』
『はい』
『スウさんのあの大きなお胸のカップは?』
『Fですね』
「アリスゥゥゥ!? なんで分かるの!? なにバラしてんの!?」
『なんか遠くから誰かの悲鳴が聴こえましたが、なるほどFでしたか』
『持った感じメロン2個分くらいの重さでしたから、Fです。こんな大きな物をぶら下げてるから悪いんです』
「アリス!?」
アリスの若干憤った声に、絶望の悲鳴が返ってきたのでコハクが吹き出していると、レースが始まった。
『では、第一走はMalchiLeydプロダクション所属のVチューバー、甘凍 マイルさんからです!』
『甘凍 マイルです! 今日はスウさんとのコラボ招待ありがとうございます! 頑張って良い記録を残して、みせます!!』
こうして海の上を飛ぶバーサスフレームたち。
次から次へとタイムが出て行く。
するとアリスの予想通りの人物達が、好成績を残していった。
『おっと、ここで音子選手がとんでもない記録をだしたー! ここまでの暫定1位に10秒の大差を付けたぞ!! しかも今までの暫定1位は、自分のクランメンバーだったのに容赦ない! ダン選手が涙目だー! リあンさん、音子選手にインタビューしてください!』
パラソルをクルクル回しながら、ファンに囲まれ撮影されているリあンが映し出された。
『・・・・リあン』
『あ、今行くから。みんなごめんね行ってくるね♥』
『『『はーい♪』』』
一糸乱れぬファンの返事だった。
リアンが、音子に駆け寄る。音子の後ろには、ほぼ三角形に近いシルエットの機体がある。
デルタエースという機体だ。
スワローテイルの次に加速力と旋回力を持ち、前進翼であるスワローテイルより扱いやすいデルタ翼を持つためコントロールが容易。高速機の中では一般プレイヤーに最も人気な機体だった。
ちなみに前進翼とはV字型の翼、デルタ翼とは△型の翼のことである。
『音子選手! 一言頂けますか?』
『おうっ、ええで! ――まずは一言、スウ首洗ってまっときや! キスマーク付けたるから、綺麗にしておくんやで!』
『だそうです、スウさん!』
ところで「一言」と言われた音子の喋りは、止まらない。
『あと、ダンくん。ざまぁ! 戦闘ではともかく、速さでは負けへんで!』
『あっ――この人、容赦ないんじゃない。大人げないんだ!』
リあンが音子の素顔に気づくと、後ろから大声が聞こえた。
『音子さん酷いです!!』
涙目の男子高校生っぽい人物が映し出された。どうやらダンという配信者らしい。
音子はダンの涙声を見事にスルーして、自分を映すカメラに指を突きつけた。
『あとスナーク、お前だけには負けひんからなあ!! チャンネル登録者数が近い上に古参同士でいっっっつも比べられてて、白黒付けたかったんや!! 今日こそ、古参プレイヤー最強の座を掛けて勝負や!! ――スウは殿堂入りやから堪忍な』
シミュレーターに引きこもっていたとは言え、スウも古参ではある。最近まで若葉マークを付けていたが。
ちなみに音子の記録は、次の選手さくらのフライトで速攻抜かれることになる。
『こちらからは以上です』
このお話で、50万文字を超えたかもしれません!




