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フェイテルリンク・レジェンディア ~訓練場に籠もって出てきたら、最強になっていた。バトルでも日常でも無双します~  作者: 毘沙門 子子


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658 世界が見えます

 私は圧縮されながら、みんなの温もりを感じていた。


 でも、そうだ――これで堂々と短冊に書ける。


 やがてみんなが嬉しそうに笑い、短冊を書くのに戻る。


「やっと書ける――いや願い事、ちょっと変わっちゃったな」

「何を書くつもりだったんですか?」

「最初は、友達って書くつもりだったけど――」

「どれどれ」


 みんなが私の短冊を覗き込もうとする。

 だから私は、一生で、一番綺麗な字で書いたつもりの願い事を持ち上げて、みんなに見せる。


〝みんなと、ずっと親友でいられますように!〟


「ふふっ」

「へえ」

「いいなそれ、ずっとかぁ」

「ええやん」


 みんなが持っていた短冊を丸めた。


「書き直すわ!」

「書き直しー!」

「書き直しだなあ」

「短冊買ってくるわ、六枚やんね」

「残念五枚ですよ」


 アリスが微笑む。


「わたしは書き直し必要は、ありません」


 誇らしげに言って、みんなに、台の上の短冊を見せた。


「こうですもん」


〝親友が、わたしとずっと親友であってくれますように〟


 カレンが、私とアリスを見比べて大笑いする。


「だっはっは! お前ら夫婦かよ!」


 顔を見合わせる私とアリスの隣で、みずきが「うーん」と唸る。


「流石にこれを丸めたら、願い事を叶えてくれない気がするんだよな」

「あー」


 思った通り、みずきの願いは去年と同じ〝織姫と彦星が幸せになりますように〟。これ丸めちゃ駄目だよね。


「なんだその優しい願い」

「だって年に一度しか会えないなんて、そんなの可哀想だろう?」

「それはたしかに」


 私は、納得の声を出したチグに、みずきの信念を説明する。


「『神仏は尊し、されど頼まず』なんだって」

「カッケェな、このチビっ子」


 だよね。私なんか、ずっと「タシケテー」って頼んでるよ。


「チビっ子言うなし」


 みずきとチグが笑いながらつつき合う。さすがみずきとチグ、もう仲良くなってる。

 でも待って、みずきさん。


「でもさ。みずきって、さっきから――というかずっと、ガッツリ私に奢らせて、頼りまくってるよね」

「あー、そうだなあ。――じゃあ今年からは心機一転だな。『神仏は尊し、されど頼まず。でも、涼姫には頼む』これだな」

「――そんな方向へ心機一転するのありなの!? ―――てか、なんで私には頼ろうとするの!?」

「なんでだろうな」


 チビっ子は理由を教えてくれなくて、いつも通りはぐらかすだけだった。

 ただ、頼られるのもお母さんになったみたいで嬉しいし、こっちもお世話になってますから構わないんですけども。


 みかんが短冊を買ってきてくれたので、みんなが書き直して短冊を結んだら、メインストリートに戻る。

 チビっ子は結局、短冊を二枚結んだ。

「こういう願いなら両方共、叶えてくれるんじゃねー?」と、頭の後ろで腕を組んで言ってた。

 ほんと悠揚(ゆうよう)迫らない性格だなあ、このチビっ子。




 メインストリートを行くと、沢山のお祭りの飾りや、提灯の明かりが視える。

 あれ? ・・・・あの明かりって、あんなに温かい色をしてたんだ?


 私は、またちょっとこぼれそうになった涙を抑えながら周りを観た。


(そうだ・・・世界って、そういえばこんな色をしてた)


 まるで、曇った窓を開けてみるような、世界の色。


 私は親友達の顔を見る。

 やっと、ハッキリみんなの顔が視えた気がする。

 アリスの頬が、提灯の明かりに照らされている。


「アリスって、奇麗」

「なっ」

「アリスって、本当に奇麗だったんだね」

「ななな、急になんですか!? ――口説いてるんですか!?」

「いや、アリスって奇麗だったんだなって」


 チグが笑う。


「なに当たり前の事、今更確認してるんだよ」

「そ、だね、当たり前の事なんだよね」


 私が輝いた世界を見ながら、「ちょっと喉乾いたねー」と言うと、みんな頷いたんでコンビニの前に並べられたソフトドリンクを購入。

 みずきが、私の出した小銭を押し戻して「ここはわたしが払うよ。――自分の分は」といったので、


「なにいってんだコイツ」という視線を贈呈しておいた。


 セーイお茶を買ったフーリが、メインストリートから離れた、脇道を指差す。


「昔はあっちの方にもズラーっと屋台が並んでたのよねえ。今は広場かメインストリートだけになっちゃって、少し寂しいわ」


 フーリが昔を懐かしむような表情になった。

 そうしてフーリはスマホを取り出した。

 ――時間を確認したみたい。

 

「そろそろね、相模川の方へ向かいましょ」

「相模川? ――なんかあるの?」

「もうじきアナウンスが有るわ」


 私達は「なんだろ」と言いながらも、フーリに先導されるように東へ向かう。

 ここの道は、まっすぐ行けば相模川に着くらしい。


 七夕飾りもなくなって、そろそろ「相模川かなー」と思っていると、


『皆様、間もなく相模川にて花火大会が行われます』


 そんなアナウンスが流れた。

 カレンが首を傾げる。


「あれ? こんなの有ったっけ」

「ないない」


 チグが答えた。けど私はこんな人の多いお祭りとか今までに来るわけ無くて、全く知らない。

 フーリがビルを見上げる。


「ここじゃビルであんまり視えないわね――もっと川の方へ移動しましょう」

「う、うん」

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― 新着の感想 ―
神仏なんて実在しないものに頼らないよねって、空気読んで行事に参加くらいはしても形だけで祈ったりしないからちょっと共感 まぁそこで無難な願い事で出てくる物の綺麗さが違うし理由が宗教に対してふっるいフィク…
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