表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイテルリンク・レジェンディア ~訓練場に籠もって出てきたら、最強になっていた。バトルでも日常でも無双します~  作者: 毘沙門 子子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

619/622

657 懇願します

◆◇Sight:鈴咲 涼姫◇◆




「・・・も・・・もう、嫌だ・・・」


 私の喉から震える声が出て――走り去ろうとした。

 すると――腕を掴まれた。


 止めて! ――離してよ、もう止めてよ!

 私をもう、苛めないでよ―――!!


 涙目で振り向くと、みずきが私の腕を握っていた。

 みずきの顔を見ると、優しい眼で―――辛そうな瞳で、私を観ながら、首を振った。


 すると少し慌てた様子のフーリが、私が自分の耳を塞いでいた手を、ゆっくり――やさしく(ほど)いた。


「ご、ごめんなさい、スズっちさん! ――ひ、否定しただけでスズっちさんが、そんな反応をするとは思ってなかったの!! ほ、本当にごめんなさい!!」


 私は、涙が止まらない眼で怯えるようにのけぞって、腕を掴んでいるフーリから距離を取ろうとしてしまう。

 もう止めて・・・・これ以上止めて・・・。


 私、もうこれ以上トラウマは要らないよ。トラウマはもう、入らないよ!!

 これ以上詰め込めないよ、もう無理だよ!!


「でも、スズっちさん、やっぱり違うわ! 私達、友達じゃないと思うのよ―――そこは訂正しないと!」

「わた、わた、わた・・・し。みんなを・・・友、友だち・・・だ、と」


 鼻が詰まって、唇が震えて、うまく声が出ない。

 フーリが目をつむって首をふる。そして――告げた。


「スズっちさん。違うわ――」


 やめて、やめて! やめて!!

 もう止めて、これ以上止めて!! 私の何もかも奪っていいから―――その先の言葉だけは、謂わないで―――聞かせないで!!


 心臓が引きつる、血の気が引く、血管が冷たい。

 世界が、肌を切り裂くように痛い。


 音が遠ざかっていく。

 お祭りの雑踏の声が―――ぼやけていく。

 地面に立っている感覚がなくなる。

 だけどフーリの続きの言葉は止まらない。

 視界がパズルのように崩れていくのを感じていると、フーリが継いだ言葉は、


「――〝親友〟だと思うのよ、私達って」

「え」


 一瞬、フーリが何を言っているのかわからなくて、私は停止した。


 5秒――多分、そのくらい、息をするのも忘れて、言葉を理解しようとした。

 そして、やっとフーリの言葉の断片を掴む。


 ――()()・・・()()


「・・・()()・・・??」

「そ。この関係に名前をつけるなら、そっちの方が相応しくない?」


 フーリが表情を溶かすようにして、眉尻も目尻も緩めた。


 親友―――。親友(しんゆう)!?


 その言葉は晴天の霹靂――いや曇天を吹き飛ばす一陣の突風。


(それって―――!)


 急激に、私の視界が輝いていく。

 曇りがちだった世界が、一気に輝きだした。


「親友!? わ、私に親友!? ――い、い、いいの!?」


 鈴咲 涼姫に、友達どころか親友だよ!?

 そんなの、そんなの、そ、そんなの、そんなの!


 フーリが微笑む。

 みんなも微笑む。


「私、一生あなたとは、友達でいたいわ。――あっ、フーリのことだからお金の為に言ってる・・・とだけは思わないで。貴女が無一文になっても――そしたら『私の家においで』というくらいには、あなたと一生友達でいたいの」

「あ・・・そ、そんなに?」

「そんなによ」


 するとチグが、私を抱きしめる。


「ビックリしたよな、スズっち。フーリもあんな勿体ぶった言い方して酷いよなあ――でも、私も変に笑ってごめんな」

「あーしも笑ってごめん。でもさ、スズも気づいてくれよ――ずっと前からスズの事、親友だと思ってたんだからな。気づいてなかったのかよぉ」


 カレンが、私の頭を撫でながら、ちょっとだけ頬を膨らませた。


「ウチもとっくに親友のつもりやったのに。ホンマえぐいって、スズっちは」


 みかんもちょっと口をとがらせた。


「そ、そうだったの―――? ――み・・・みんな・・・私がおかしかったの? 親友なんてあり得ないって思ってた私がおかしかったの!?」

「スズっちにとって友達って、それだけ重いことだったんだな・・・・本当にごめんな」

「あーしらには友達なんて、勝手になってるのが当たり前だと思ってたんだよ・・・・だけど、スズには違ったんだな・・・間違いなく親友だぞ、スズとあーしは」


 私は涙が抑えられず、溢れさせて、あえぐ。


「あ、ありがとう・・・ご、ごめんなさい」


 するとみんな苦笑い。


「スズっちだなぁ、そうかぁ」

「まあ、スズだし・・・・仕方ないもんなぁ」

「スズっちやもんなあ」


 みんな許してくれる。

 ・・・ごめんなさい。

 すると、アリスが微笑む。


「まってましたよ」


 言って、私のおでこを押す。


「親友だと気づいてくれる、時を。――こんな荒療治は予想してませんでしたけど」


 アリスはずっと・・・・待っててくれたんだ?

 ごめんなさい・・・。

 ・・・そして、ありがとう。


 みずきが、私に寄ってくる。


「涼姫、もちろん、わたしもだよな?」

「う、うん、親友!」


 私が言って、頬を熱くして頷くと、アリスとみずきの二人が私に抱きついてきた。

 まって、チグが抱きついて、そこにアリスが抱きついて、さらにみずきが抱きつくと、私が圧縮されてしまう。


「ぐぇぇ」


 私が潰されたカエルみたいな声をだすと、アリスとみずきが慌てて手を離した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あ〜うん、これは……笑った人たちの代表として言っただけだからフーリが悪いわけじゃないけど言う相手が……アリスとかから共有されて無かったのかな?このトラウマエピ初出どこだったっけ
更新お疲れ様です。 人間、昔受けた古傷やトラウマを抉られるとマジキツいですよね…自分も経験あるから今話は心がキュッとしました。 でもスウちゃんは自分と違って生涯の親友を得られたみたいで良かった良かっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ