648 交戦を開始します
Godspeedってなんだろう。初めて聞いた。
私と綺雪ちゃんは大空に舞い上がり、マイルズ達と合流。
『いいマーシャラーだったな』
USSFと自衛隊の方が作った無線機から、マイルズの声がした。
「うんっ、勇気を貰ったよ!」
私は、さっきわからなかったヴィックの囁きを尋ねる。
「――ねえ、ところでマイルズ。Godspeedってどういう意味?」
流石にGodspeedとか学校で習ってない。
『最上級の〝幸運を祈る〟だ。Good Luckが「幸運が有るといいね。とか――まあ実力は足りてないけど、幸運が有るかもね」というニュアンスに対して。Godspeedは、本気だ。お前という、人事の完成を送り出したなら、後は幸運を祈るしか無い。だから神に幸運を祈ったんだ。ならば、お前は一人で戦うのではない――あの場のUSSF、自衛隊、そしてクレイジーギークスとその仲間たちの祈りと共にある。――当然ボク等もいる』
「・・・・そういう意味だったんだ。―――そっか・・・」
私は、コックピット越しにマイルズとマリさんの目を順に見て言う。
「・・・勝とうね!」
『ああ、勝つぞ!』
『勝つよ!』
「ラジャ!」
私たちは出発したけど、ヴィック達も地上部隊としてバギーやジープ(ジープはUSSFと自衛隊が作った)で急いで戦闘エリアへ移動。
なので私たちは、ゆっくりと飛ぶ。ジェット戦闘機だけど、ゆっくり飛べないメンバーじゃない。後ろからレシプロ機も付いてきてるし。
飛行を続ければ、やがて見えてくるタイラント・ケルベロス。
第2形態のままだ。
『全機、エンゲージ(戦闘開始)! 散開!』
マイルズの号令で、私たちは三手に分かれた
「タイラント・ケルベロスが、どんなにドッグファイトが強くても、集団戦法には勝てない――それが遮蔽物のない時の空中戦!」
❝ランチェスターの第ニ法則! やっちまえ!❞
『ミサイルを行くぞ、マリ、スウ!』
『了解!!』
「うん! ――まずは一発。頼むね、綺雪ちゃん!」
「はい!」
マイルズがタイラント・ケルベロス第2形態を、機関銃で撃ちまくってタゲを取る。
その間に私たちはミサイルのパルスジェットを起動、パルスジェットは飛べるようになるまで少し時間が掛かる。
❝M1スウニング機関銃いけぇぇぇ!!❞
❝スウニングで貫けー!❞
機関銃の名前が、勝手にスウニングになっとる。
『3』
『2』
『1――フォックス・ワン!!』
『「フォックス・ワン!!』」
フォックス・ワンは、電磁誘導ミサイルを発射する時の合図。
今回はもう電磁誘導っていうか、ミサイル型ドローンだけど。
思考誘導じゃないけど、手動誘導だぞ、ファ◯ネル・ミサイルみたいなもんだぞ! 最新アニメだぞ! ――ちなみに私がヴィックに速攻でラジコンを提案できたのは、あのアニメのお陰。
しかも誘導するのが、天才小学生・飛行機乗りだ。きっとラ◯ァにも匹敵するぞ(親バカ比)。
私の放ったミサイルは、綺雪ちゃんの誘導により、違わずタイラントケルベロスに刺さった。
幾ら慣性を無視できても、多方向からの一斉攻撃は躱せまい。
しかも綺雪ちゃんは、大人も舌を巻く天才だ。水素と酸素(リッカが作った)のロケット燃料で飛ぶミサイルを見事に操る綺雪ちゃん、さすが。
「綺雪ちゃん、さすがっ!」
「やりました!」
うん、プリティー。
だけど、タイラント・ケルベロスは、まだまだ元気。
私たちは、すぐさま上昇開始。
すると、後ろから綺雪ちゃんの声。
「スウさん、私、夢だったんです」
「えっ?」
「スウさんと一緒に戦うの」
「そ、そうなんだ・・・?」
「はい。本当は僚機が良かったんですけど、こうして後席でミサイルを風に乗せるだけでも夢が叶いました」
「ふふっ」
「今度は、僚機に乗りますね!」
「おうっ!」
ここからはGが掛かるので、綺雪ちゃんには〖質量操作〗を掛ける。
私自身も7G辺りが限界だ。〖超怪力〗を使っても、それ以上は耐えられない。
でも〖質量操作〗さえ掛ければ綺雪ちゃんに掛かるのは4Gも行かない。ちょっとキツ目のジェットコースターくらいのGだから、小学6年生の綺雪ちゃんでも心配はない。
タイラント・ケルベロスが、マイルズに付いてこようとする。
さらに、弾幕を放ってきたけど、私たちはタイラント・ケルベロスから離れていくから問題ない。弾幕の隙間は大きくなっていく。
マイルズがGに耐えながら、通信を入れてくる。
『タイラント・ケルベロスが随分硬い。ミサイルが足りるかわからない。――それに、この機体では上昇力が厳しい。――よし、全員、アフターバーナー点火!!』
確かにあのタイラント・ケルベロスは相当硬そうだ・・・・飛行機に積める弾丸やミサイルは限りが有る――武器がなくなったら・・・。




