641 衝撃の事実が発覚します
「ん? ――ああ、スウか。80度?」
「うん、それサステンドGターンとか、ハイGターンのバンク角の計算だよね?」
さっきマリさんが言ってたターンたちのこと。
真下に、アフターバーナーの燃料の計算とかもあるし。
「そうだが」
「じゃあ80じゃん?」
するとマイルズが穴を確認した。
「・・・ああっ、そうか! 入力したのはフレデリックか。アイツはパイロット資格がないからな、間違ったか」
「アフターバーナーの燃料も計算するんだねぇ」
「ま、まあな」
「頑張って!」
私が右手を上げて、ペロペロを再開して立ち去ろうとしていると、
「まてい!」
「えっ」
なんか、私の肩が「ぐわし」と掴まれた。
「お前というヤツは・・・!」
「えっ、えっ」
なんかマイルズが怒ってる。
「綺怜がどんだけ悩んでいたと思っている!」
「そうだよ! 酷いよ、涼姫姉ちゃん!」
「えっ、えっ」
「お前、プログラムを理解しているではないか!!」
「いや、分からないよ!! voidってなに!? 宇宙空間の広大な、何もない場所!?」
「お前、まさか、高級言語が分からないから『プログラムがわからない』とか言っていたのか!?」
「えっ、高級言語ってなに?」
「人間の言葉に近い言語でプログラムが組めるプログラミング言語のことだ――おかしいと思ったんだ。ICはできているし、スイッチのオンオフも理解している。AND、NANDも理解している。なのに、なぜプログラムができない? と。・・・・やはり理解できているのではないか、お前!!」
「いや、オブジェクト指向とかわからないよ!?」
「こんな小さな組み込みのICチップに、オブジェクト指向なんて実装する余裕があるわけ無いだろう!」
「えっ・・・・? えー?」
「お前もしかして、面倒くさいから綺怜に丸投げしたな?」
エ、エスパーされた。
「じゃ、若干?」
「綺怜は泣いていたんだぞ! お前もコーディングを手伝え!!」
な、なんか逃げられそうにない。フレデリックさんにはマイルズから伝えてもらおう。
とりあえず謝ろう。
「手伝います。ごめんなさい、綺怜くん」
私、腰90度。
するとなんか綺怜くん、そっぽを向いた。
「し、仕方ないなぁ。涼姫姉ちゃんには、いつもお世話になってるから許すよ」
そしたらなんか後ろから、みずきの声がした。
「綺怜、」
振り向けば、塩の瓶を持ったみずき。
「一回くらい揉んでいいんだぞ?」
「いいわけ――いや、お詫びなら・・・・仕方ないのか? ――揉む? 綺怜くん」
てか、おっぱいとかに興味あるのかな?
私が言って綺怜くんに向き直ると、綺怜くんが真っ赤になっていた。
真っ赤な綺怜くんが、地面を見て目をつむって叫ぶ。
「お、俺! お、おっぱいを揉みたいなんて思ったこと無いし! す、涼姫姉ちゃんを可愛いとか、思ったことなんてないし!」
おうふ。
「や、やっぱ、かわいくないかぁ。――うん、知ってる。――でも、ちょっと・・・くすん」
事実が一番人を打ちのめすの。
するとみずきが、綺怜くんを指さした。
「あーあ、な~かしたぁ。そいつマジで自分を一欠片も可愛いと思ってないのに、事実を突きつけたー」
・・・事実、言うな。事実を言うな。
みずきの言葉に、綺怜くん、なんか慌てだした。
「あっ、ごめん涼姫姉ちゃん!! か、可愛いよ!! ――涼姫姉ちゃんは、めちゃくちゃ可愛いから!!」
「だ、大丈夫。ありがと」
私が、笑うと、みずきがゲスの顔になる。
「ところで、揉んで良いって言っただけで、胸とは一言も言ってないのになぁ? あれぇ?」
みずきがニヤニヤすると、綺怜くんが、さっきより真っ赤になった。
「お、俺!! ・・・・べ、別に!!」
「みずき、あんまり綺怜くんをからかうと・・・・」
私が言い切る前に、楓ちゃんがみずきを後ろからゲンコツした。
「小学生をからかわない!!」
「おごぉぉぉおっ!」
みずき、頭を抱えて雪の地面に蹲った。
綺怜くん、
「ざまー」って言いながら、笑い出した。
楓ちゃんが小さな釣り竿を見せてくれる。
「今日の食料確保に、みんなでワカサギ釣りに行くみたいなんですが、皆さんも行きますか?」
「いくぞー! スウが天ぷら作ってくれるらしい!」
ゲンコツの痛みから蘇生したみずきが、挙手した。
「本当ですか! スウさんの天ぷら久々ですね! じゃあみんなで行きましょう!」
「USSFの奴らも涼姫の天ぷらだと聞いたら絶対喜ぶぞ! みんな天ぷら好きな上に、涼姫のテンプ~ラだからな!」
みずきがなんかエセ外国人になってるけど、みんな、私が料理すると本当によろこんでくれるなぁ。
ちょっと嬉しいや。
というわけでみんなでワカサギ釣りに出かけた。
アリスとも合流。
「あっ、スウさんも釣りですねー」
「うんうん。うなぎも釣れないかなぁ」
「それは無理でしょう。場所的に」
「残念」
私が豚さんみたいな顔でショボーンとしていると、アリスがふと綺怜くんを見た。
「――スウさん? 綺怜くんと・・・・何か、ありました?」
「えっ? ――あー、さっき『私がプログラム丸投げして、ごめんちゃい』した」
「いえ、そういう方面ではなく――」
アリスは私と綺怜くんを見比べて「これは、気付きました?」とか言ってた。
アリス、どうしたんじゃろ?




