638 気づきます
「おーい、マイルズ~! マリ~!」
リッカが両手を振っている。
2人も着陸してきた。
そうして2人は駐機すると、機体からヒラリと飛び降りてくる。さすが軍人。身のこなしが私とは違う。
リッカが、2人とハイタッチ。
といっても、マイルズはちょっと低めに手を挙げているけれど――リッカとの身長差が・・・。
「よう、久しぶりだな、マイルズ!」
「ああ、リッカ。生きてていてくれて良かった――雪崩に飲まれたからな。心配していたんだ」
「久しぶりだねー、リッカちゃん。ほんと良かった」
まて。私、「心配だった」とか言われてないよな?
「ねえ、なんで私には『心配だった』の一言はなかったの・・・」
❝だって心配のしようも無いもん❞
❝どうやって、雪崩程度でスウの心配しろっての❞
「貴様ら・・・・」
リッカがマリさんともハイタッチする。
「スケベェロード、大活躍だな」
スケベェロード? ――ああ。
「ラッキースケベーズの作った滑走路、そんな名前になったんだ?」
「おう、空翔テイルと一緒に決めたぞ」
「若干、やめてくれんか?」
すると遠くでΩアムアさんが「ラッキースケベーズって呼ぶの止めて・・・」とか泣いてた。
ルーローちゃんが、Ωアムアさんをナデナデしてた。
アルティMateさんも、なんかさくらくんと談笑してる。
「・・・・いかん、このままでは私が『腐海』に沈む」
『腐ってやがる、遅すぎたんだ』
「マイル――」
私は案内のためにマイルズを呼ぼうとして気づく。
まてよ・・・・?
――えっ、あっ、じゃあルーローちゃんとΩアムアさんってそういうこと!?
確かにルーローちゃんは年上好きって言ってたけど!
そういえばルーローちゃんを檻から出したのって、Ωアムアさんだったっけ。
・・・まって、私はなんで男性同士の関係から、男女の関係を名探偵してるの?
・・・・しばし考えて、私は考えるのを止めた。――この謎は迷宮入りだな。そうだ。そうしよう。
捜査の中止を脳内で告げて、マイルズの方を見ると、マイルズはなんか戦闘機に戻って何かを確認して――あっ、六分儀でなんか調べてる。
「座標、調べてるの?」
私が近づいて尋ねると、
「ああ、この六分儀はバスウカを参考にさせてもらった――昼でも北極星が見える」
「あー。――時計も作ったの?」
「ああ、クリエイトパーチャーで作れた。それでもジュウゾウの時計と比べると性能が劣るがな」
マジか、本当にパないなジュウゾウさん。
マイルズが飛行機の座席の後ろから、懐中時計みたいなのを3つ取り出した。
「何でタイミングを刻んでるの?」
「水晶だ。北緯69スウ、西経244スウか」
度を略して、スウを残さないでくれんか?
にしても西経244って、256で真裏だから――クレイッジ・ギークスウ標準時間を決めてる島のほぼ裏側なのか、ここ・・・。
後ろでマリさんが「シックスナイン」とか言って笑ってる。
シックスナイン?
「自衛隊とUSSFがお前達の拠点近くに拠点を作るが、問題ないか?」
「オールオッケー。むしろ有り難いよ」
頼もしいし、筋肉眺められるし。
「助かる。――イエス、大佐。滑走路も有ります。戦闘機の移動も可能です。環境も問題なしです。座標からして、近くに乾いた地面が有るはずです」
周囲を見回して、環境を確認していたマイルズが、急に目を見開いた。
「か、火力発電施設もあるようです・・・・。――イエス、お待ちしております」
通信を終えたマイルズが、私に向き直る。
「クリエイトパーチャーはどこだ?」
「あっち」
私はマイルズを案内した。
「ここにも有ったのか。番兵のようなものは?」
「いなかったんだよねぇ」
「やはりか――ボクが怪我した時のゴーレムを倒した後、各地のクリエイトパーチャーの番兵が消えたようだ」
「ああ、そういう事かぁ」
「これがアレば、問題ないな」
その後、自衛隊&USSFと合流。マイルズとマリさんの機体以外もやって来た。
アレックスさん用と、柏木さん用らしい。
そうして早速マイルズが、USSFのメガネの研究者さんらしき人を、空翔テイルに案内してきた。――あ・・・・蒸気船で私の望遠鏡にビックリして、私を追いかけ回して来た人だ・・・。
空翔テイルを見たメガネを掛けた人が、すぐさまエンジンの後方に周り、中身を確認。ちなみに音速を出した後にも、タービンはとろけてなかった
彼はガンガンとタービンを叩いて、質感を確認した。
そうして2歩下がり、メガネを震える手で外しながら、同じく眼球も震わせながら目を見開き、しばし呆然としていたかと思うと、徐々に私の方を振り向いた。
・・・・うおっ、ゾンビみたいに歩いてくる。




