636 合流します
ワロスな滑走路で、私はジェット機のエンジンを、イグナイターで始動。
イグナイターは、エンジン点火装置で、言ってみたらカメラのストロボみたいなもの。
電気をコンデンサーに溜め込んで、一気に解放する。その火花でエンジンを点火する装置。
えっ、「電気はどうやって調達してる?」普段は発電所から貰ってくるけど、近くに発電所が無い時は、静電気。
静電気って、簡単に数千ボルトとか数万ボルトになる。
まあ電気量は雀の涙だけど、容量が大きなコンデンサーに溜めれば点火くらいはできる。
んで1回エンジンが回ってしまえば、あとはエンジンで発電ができる。エンジンは火力発電施設とそっくりの仕組みだから。
だんだん、エンジンの回転速度が上がり・・・・滑走路を走っていけば――!
浮遊感を感じて。
――空だ!
❝おー! 飛んだ!! この女子高生ジェット機作っちまいやがったwww❞
❝やばすぎワロんご❞
「低速で飛べて良かったです!」
❝大事なんけ?❞
「はい。ジェット機は、低速で飛ぶ方が難しいんですよ」
❝あー・・・そっか❞
❝三角形の翼は、低速だと揚力を得にくいんだっけか❞
「――今回は前進翼なんでマシですが」
❝前進翼。綺怜くんお手製の電子制御でフライ・バイ・ワイヤかぁ❞
「いえ、綺怜くんの電子制御はまだ完成してません」
❝・・・・電子制御なしかよ❞
❝アナログのフライ・バイ・ワイヤ?❞
「いえ、フライ・バイ・ワイヤ無しです」
❝なんであの子、フライ・バイ・ワイヤ無しで前進翼をコントロールしてんの?❞
❝スウだから❞
❝スウだからとしか言えんな・・・・❞
「じゃあ、軽く亜音速くらいまで速度を――ん?」
前方からになんか飛んで――単葉機のレシプロ機が2機。
双眼鏡を取り出し覗けば――マイルズとマリさん!
(やっほー! マイルズ、マリさん!)
私は〖テレパシー〗を送った。
(――は? い、え、いや、そんな、馬鹿な・・・。・・・・あ、ありえん、あれは一般のハイスクールガールだろう?)
(え、は? え、は?)
なんか、2人の脳内が混線してきた。
マイルズが恐る恐るという感じの〖テレパシー〗を送ってくる。
(スウ・・・だよな?)
(う、うん)
(そうか・・・・やはりお前か。・・・で、その飛行機のプロペラはどこだ)
(タービンなら内部)
(タービン・・・)
するとマリさんが悲鳴みたいな声を出した。
(――いやいやいや、もしかしたら、もしかしたら震電みたいな感じに後ろに付いてるのかなってさ! 思ってさ! ――いや、えええぇぇぇえええぇ―――ッ!?)
(・・・か、科学者と合流でもしたのか? それとも、ジェットはジェットでもパルスジェットか?)
(あ、私達で作りました。――いえ、ターボジェットです)
(私たちって、どうせ、ほぼお前が作ったんだろう?)
(ま、まあ)
しばらく二人から返信が無かった。
❝あの飛行機に乗ってるのって、マイルズ君とマリさん?❞
❝ビックリしただろうなぁ・・・・サバイバルでジェット戦闘機だもんなぁ❞
❝ああ、〖テレパシー〗で会話してるのか――会話内容を聞きたかった❞
(石油が採掘された跡が有ったから、恐らくクレイジギークスだろうとは思っていたし、飛行機を作っているんだろうとも思ったが。――まさか、ジェットとは思いもよらなかったぞ。速度はどのくらい出るんだ・・・?)
マイルズの声が硬い。〖テレパシー〗だけど。
(マッハ1.5位を予定してる・・・けど)
操縦席でため息を吐くマイルズが見えた。
(じゃあ、超音速を、少し見せてくれないか?)
(あー)
初フライトだけど大丈夫かな。
まあ、どうせ早めにテストしないとだし・・・・いいか。
(〖飛行〗もあるしなぁ――じゃあ)
私は戦闘機を横倒しにして、円を描くように加速していく。
すると、マリさんが目を丸くした。
(――はやっ!!)
(ボク達の機体では、全く追いつけないな)
(影が一瞬、見えたと思ったら、次の瞬間には見失うレベルだよ・・・・)
そろそろ通常出力だと、速度は限界かな・・・?
私はサイドのレバーを前に倒して、赤い目印を入れているラインに入れる。
これでエンジンに、さらに燃料が投下される。
ちなみに赤の向こうには更に青ラインがある。赤は灯油のアフターバーナー。青は水素のアフターバーナー。
怖いから今回は、水素ではなく、灯油の方にした。
私の体に掛かるGが、一気に大きくなる。
するとマリさんが、
(アフターバーナー付きかよっ! かよっ、かよ・・・)
と、なんか、セルフエコーしてた。
――って、ガタガタと振動が来た・・・そろそろ音速に移行する遷音速域だ。ここが一番機体に負荷がかかる。――崩壊しないでよ、機体。
(ちょちょちょちょ、出てる出てる! ベイパーコーン出ちゃってる!)
(お前・・・・マジか・・・)




