631 作っていきます
ジェットエンジンの作成を宣言したところで、空から声が降ってきた。
「スウさーん、天翔テイル回収しましたー!」
さくらくんと、コハクさんと、綾麻兄妹が帰ってきた。
ていうか、綺雪ちゃん・・・エンジンも動いてない天翔テイルをグライダーみたいにして乗って帰ってきた・・・・さすが天才。
あれは、私にも真似できない。
バギーで引っ張って飛ばしたのかな。
天翔テイルもなにかの役には立つと思う。機銃がついてるし。ビジィみたいな奴はとにかく多人数で囲みたいし。――さくらくんに補助的に乗って貰ってもいいかもだし・・・・綺雪ちゃんでもいいかもしれない――流石に綺雪ちゃんに危ないことはさせられないけど。
だけど、――私は着陸する天翔テイルを見る。――綺雪ちゃんってば着陸も見事だ・・・・危なくなければ綺雪ちゃんに乗ってもらってもいい気がする。
そういえばさくらくんが、「そろそろ綺雪ちゃんに抜かされそうで怖い」って言ってた。あのさくらくんに危機感を憶えさせるとか、やっぱり綺雪ちゃんは凄い。
さくらくんは努力派だもんなぁ。天才でしかもスケさんの指導を受けて努力してる綺雪ちゃんの猛追を受けちゃってる。
でも綺雪ちゃん、スケさんのヘッドオンだけは真似しちゃ駄目だからね?
ちなみに悪いけど、人理樹ちぃとくんじゃもう、バトルしたなら綺雪ちゃんに勝てないと思う。
ダンくんでも難しいくらい。
かといって、スケさん、マイルズ、マリさんあの辺りは別格。綺雪ちゃんじゃまだまだ話にならない――けど未来はわからない。
私は、・・・・負けないように頑張ろう。
Ωアムアさんとなんか雑談してるルーローちゃんを見て「ケッ」と言ったアルティMateさんが、さくらくんに熱い視線を向けだした。
「あのアルティMateさん」
「んっ!? ――お、おう」
「さくらくんに変なことしたら殴りますよ? 結構強めに」
「こ、高校生には何もしないよ! せめて大学生になるまでは待つよ!」
・・・・それなら良い――のかな?
まあ、そういうのは本人達で同意するなら勝手にしたら良い。あてし、そういうの嫌いじゃないから。
さあ、みんな揃ったんで、私は拳を空に挙げる。
「じゃあ、ボーキサイト集めから開始しよう!」
で、
「エンジンの外側にする部分は、高温に耐えてもらわないとだから、融剤なしでアルミにするよ! アルミは熱伝導いいからね。アルミ――というか超々ジェラルミンで行く!」
なんてこともありつつ。
「熱を受けるタービンブレードはニッケル、コバルト、チタンの合金!」
「スウさん、全部魔術で出せるじゃないですか」
「せやねん」
で、
「タービンの温度を下げるのは、内部に冷媒を流して冷やす。冷媒はイギリスの傑作レシプロエンジンのマーリンエンジンの後期型にも使われたプロピレングリコール――材料はもうある!」
「プロピレ・・・なんですかそれ」
「石油からできる冷媒だよ――タービンブレードは超高温になるからね、普通の冷媒じゃ発火しちゃう」
「れいばい・・・?」
「PCの水冷クーラーの中を流れてるようなやつ。――流石にパソコンにプロピレングリコールは使われてないけど」
「あー・・・あの光るやつですか?」
「冷媒が光ってるわけじゃないけどね・・・」
ガソリンを温めて取り出したナフサを、プロピレンにして、塩素ガスと水を反応させる。その後、水酸化ナトリウムで塩素を奪う。で、出来た酸化プロピレンを加水分解(水を加えまくる)すれば、プロピレングリコール。
「わたし、まさかの水発生装置」
夕飯は腕によりをかけました。
「で、これを循環させれば良い――さらにタービンブレードにはセラミックでコーティングする」
「セラミックって陶器ですよね? 耐熱レンガですか?」
「そんな感じ。ただし今回はケイ素ではなく、ゲルマニウムだけどね」
「え、なぜそんなややこしい物質を? というかゲルマニウムもセラミックなんですか?」
「ケイ素とゲルマニウムは周期表の上下で、似た性質を持つんだよね。互いに熱に強い特徴を持つ――ただ、今回は靭性も欲しいんでゲルマニウム」
「ゲルマニウムはどうやって持って来た?」、「あんなモノ自然から見つけるのは大変だろう?」
アリスも疑問だったらしく、
「そのゲルマニウムは、どこから?」
「昔イルさんが言ってたじゃん。MoBはケイ素生物って、体の一部がゲルマニウムで出来てるって」
「え――、」
アリスが一瞬停止、のち、
「――MoBから取ってきたんですか!? ・・・・で、でも、MoBが死んだら消滅するんじゃ・・・!? タイラント・ケルベロスとの戦闘中に、突然材料にしているMoBが死んだらどうするんですか!!」
「死なないよ」
「へ?」
「いや、前に不死身の神話生物と戦った時に切った部分が、海に落ちてるじゃん」
「あ・・・、あー! ネプチューンですか!?」
「そう、奴の素材なら消えない」
「しゃ・・・しゃぶり尽くしてますねぇ――やっぱり彼、まだ生きてるんですね」
「丸くなったかなぁ」
「なったでしょうね。形も、心――は無いんでしたっけ」
「――らしいね。心がないのは、ホントかなぁ?」
「スウさんが今作ってるものは、電気にアルミ、冷媒に耐熱レンガ、エンジン――ここまでの集大成って感じですね」
「そうそう」
「色々、懐かしいですねぇ」
「決戦って感じだね!」




