629 タイミングを合わせます
(アリス、青いケルベロスをお願い。リイム、アイツは速いから、急降下でアリスを運んであげて!)
(了解です)
(うん、ママ!)
「赤いのはオックスさんお願いします。黄色いのは私が、天翔テイルに備わった十個の機関銃で撃ちまくります!」
「任せろ!」
(同時に倒せと言っても、相手の復活までは少しラグがあるから、その間に仕留めれば大丈夫のはず!)
私達がタイラント・ケルベロスに向かって飛ぶと、オックスさんが撃つ前に、赤いタイラント・ケルベロスが爆散した。
「え!?」
「なんだこれ」
❝自爆!?❞
「あっ、タイミングをズラしてきた!? ――ここから六秒以内!? アリス!!」
(はい、青いのは、もう倒してしまいます!!)
アリスが青いタイラント・ケルベロスに切りかかっ――え!?
アリスが切りかかった青いタイラント・ケルベロスと、私の眼の前の黄色いタイラント・ケルベロスが入れ替わった!?
「くっ、立花放神捨刀流――」
「えっ」
アリスが、立花放神捨刀流!?
「――見様見真似の教え! 刃衣・改!!」
アリスは左手で持った奥凍星の峰に右手を添えながら、リイムの速度を生かして、黄色いタイラント・ケルベロスの下面辺りに体当たり。
さらに、
「〖怪力〗、〖超怪力〗、〖重力操作〗――Vの字断んんッ!!」
歯を食いしばりながら言って、アリスが自分の膂力で、無理やり奥凍星を右手で捻った。アリスが自分の重さを変えたのか、一瞬リイムが沈み込んだ。――だけどリイムも本気になって急上昇を始める。
火花を散らしながら、奥凍星がタイラント・ケルベロスを切り裂いていく―――そして、――黄色いタイラント・ケルベロスが、両断された!
あとは私だけだ!!
――けど、私の眼の前に来た青いタイラント・ケルベロスが 物凄い速さで逃げていく。
まずい、だめだ。引き離されて偏差がどんどん強くなる! 偏差サポートがないと当てにくい――それに機銃調和点より前に行かれて火力があんまり出ない。
青いタイラント・ケルベロスに、弾丸が微かに命中するだけで、これじゃ倒しきれない。
急がないと!
「入れ――ゾーン!!」
私は一気にスロットルレバーを前に倒して加速、エンジンに空気を送り込む。
エンジン内の爆発力が大きくなり、プロペラの回転数が一気に上る。
更に用意しておいたレバーを引いて、エンジンに投入される軽油の量を上昇させた。
天翔テイルの速度がぐんぐん上昇していく。
さらに翼の角度を、地面に対しマイナス5度――アンロード加速(最高高率の飛び方)を実施。
これでもまだ引き離される!
「なら――」
私は機首下げ。
「――ロー・ヨーヨー!」
❝おお、スウたんの得意なハイ・ヨーヨーの逆、ロー・ヨーヨーだ。初めてやるとこ見た❞
私は、降下で速度を上げながら飛ぶ。
すると、なんとか相手に近づき始めた。
「機銃調和点に入った!」
でも不味い、エンジンから黒い煙が・・・・! ――手製なのに無茶しすぎた! ――エンジンを限界を超えて、回転させすぎた・・・!
本当に急いで倒さないと機体がもう保たない――私は天翔テイルを機首上げ、ケルベロスを撃ちまくる。
「墜ちろぉぉぉ!!」
エンジンが一際大きな煙を吐いて、とうとうプロペラが止まった。
エンジンと繋がっていた機銃の弾も、出なくなった。
「だ、大丈夫か・・・スウ!?」
後席のオックスさんの心配そうな声。
「私達には〖飛行〗があります! それに天翔テイルがグライダーになったようなものです。――まだ飛べます!」
「そ、そうか――そうだ、少しでも飛行機を軽くするために、俺は降りるぞ! やることもないしな〖飛行〗!」
「すみません!」
オックスさんが〖飛行〗で天翔テイルから降りた。さらに――
「それから犬っころ、自爆したのはミスだったな。置き土産だ!」
ロケランを発射――青いタイラント・ケルベロスに命中した!
青いタイラント・ケルベロスを貫く、炎。
「ありがとうございます! ――これなら!」
私が機銃を青いタイラント・ケルベロスに当てまくる。
8個の機銃が全て命中していく――けど、あと1秒もない。
「もう墜ちろぉぉぉ!!」
(無理だ、間に合わない!)そう思った時だった。
「面ェェェェェェん―――ッ!!」
アリスとリイムが上から急降下。
青いタイラント・ケルベロスを斬りつけた。
青いタイラント・ケルベロスに斜めの傷。
私は、アリスが斬った場所に機銃を一点集中。
傷をこじ開けるようにして。
――青いタイラント・ケルベロスが砕けた!
ヤツがジルコンの様になって砕け散――らない?
「え」
やつが、青、赤、黄色の光を放ちだして――
「なに、何が起こってるの?」
黄金の光の奔流から出てきたそれは――黒いタイラント・ケルベロス!?
「ちょ・・・! だ、第2形態!?」
なんかケルベロスの背後に顔が出てきたかとおもうと、慣性とか無視して反転してきた。
「それ、ビジィのと同じ!?」
反暴機ビジィのの能力と同じ!?
「不味ッ――」
あんなの普通の戦闘機で、どうやって勝てって言うんだ!!
ビジィを倒した時みたいに雲の中!? ――相手、翼無しに浮いてるよ!!
そうして、放ってきた弾丸でこっちを乱れ打ち――天翔テイルを蜂の巣に!
「駄目だ、もたない!!」
私は、エンジンから煙を上げる天翔テイルから〖飛行〗で脱出。
「スウさん!」
「コケッ!(ママ!) コケ(〖アポート〗!!)」
「ありがとう、リイム!!」
アリスとリイムに拾ってもらって、全速力で逃げ出す。
私達は、命からがら、タイラント・ケルベロスから逃げた。




