623 ふぁいあーします
アリスが「奥凍星は、寒くても大丈夫そうですね――金属部分さえ触らなければ・・・・」と言ってから、私に尋ねてくる。
「スウさん、飛行機とか作れるんですか?」
「クイエイトパーチャーがあれば、作れるよ」
「仕組み分かるんですか? ――まぁ・・・・『分かるんだろうな』としか、思えませんが」
「う、うん。――例えば一番重要なエンジンなんだけど」
私はファイアピストンを取り出す。
「エンジンって言うのは、謂わばこれなんだ」
「ファイアーピストンがエンジン・・・・ですか?」
私が説明を始めるとクレイジーギークスのみんなや、プリティ・ギルティさん達、ヒカルさん達、Ωアムアさん達が寄ってきた。
みんな興味があるみたいだ。
私はファイアーピストンに綿を入れて、ピストンを勢いよく押し込んだ。
筒の中の空気が圧縮され、綿に火がついた。
流石、古の着火装置。
「空気は圧縮すれば、火が着くほど高温になる。これが、人間の手ですら出来る」
みんなが頷く。
私は続ける。
「では、ここに綿ではなく石油を噴霧して、空気を圧縮すれば?」
プリティ・ギルティさんが暫く考えて、挙手した
「爆発が起きるの!?」
「そうです! つまりエンジンとは大型のファイアピストンを連結させた様なものなんです。――圧縮加熱した酸素とガソリン触れさせ、爆発を起こします」
するとΩアムアさんと、ルーローちゃんが頷いた。
「なるほどなぁ・・・」
「分かりやすいです! 私、機械とか全くわからないのに、一気にイメージできました! ――Ωちんでも理解できてるとか凄いです!」
「おまっ、ルーお前なぁ・・・」
え?
「まって!? ルーローちゃん機械が苦手!? ――エンジンの仕組みわかってないの!? エンジンの大ファンかと思ってたよ!?」
私の驚きに、ルーローちゃんが首を傾げた。
「え? エンジンの大ファンの女の子ってなんですかそれ、怖い」
「い、いや、いやいやいや!! ルーローと言えば、エンジンじゃん・・・・!!」
「はえぇ?」
周りも、私が何を言っているかわからないという顔だ。
「まってまってまって!! ルーローと言えば、ロータリーエンジンでしょ!? ルーローの三角形でしょ!?」
私の驚きに、ルーローちゃん「キョトン」として、
「ルーローと言えば、台湾の郷土料理、魯肉飯では・・・?」
「なにそのハン・・・」
しらなぁい・・・・涼姫、初耳ぃ。
アリスが頭痛がするかのように額を押さえた。
「スウさんと世間のズレはともかく・・・・ツッコミどころはそこじゃないでしょう――いや、ズレすぎて、もうどこにいるのか見えませんよ地平線の彼方ですよ、貴女」
あれ・・・・私みんなに見えないレベルでズレてるの・・・? あれ? 私、斜め下が視界外!? た、確かに地平線の彼方では、地面の下に隠れて姿が見えない!
「そ、そだねルーローと言えば魯肉飯だ!」
私が世間のレールに乗っていると、リあンさん。
「だから、そこじゃないんだよなぁ・・・・本当にわからないのかぁ、この女子高生」
遠い目をしてバルジの星だらけの空を見上げた。
昼でも、うっすら星だらけ。
ああ、マジかぁ。
「うぅ、なに・・・・私、なんか変なの!?」
やだやだ! 陰キャにとって「世間とズレてる」と思われるとか、そんなの過呼吸!
イルさんの幻聴が聞こえた。『マイマスター。扁桃体、視床下部に異常発生。心拍数が異常値を示しています。呼吸を整えることを推奨します』今はイルさんいないのに!
とりあえず深呼吸をしていると、リッカだ。
「『上でも下でも、世間の外には変わりなし』――か」
❝Geek speak girl lol(早口陰キャ女w)❞
これはひどい。
❝Hey hey. Don't you know? She's the 『Crazy Geek』 .She's a legendary icon.(おいおい。しらないのか? 彼女こそ、『狂陰』。彼女こそ、天才。彼女こそ、誰もが憧れる伝説だ)❞
なんか海外ニキがレスバ始めたけど、ケンカしないでよ?
❝If I offended you, I'm sorry. Respect her, me too.(気に触ったならすまない。私も彼女をリスペクトしているよ)❞
ああ、これでケンカも終わるかなと思ったら、また別の海外ニキだ。
❝Conflicts only happen between people on the same level.(争いは同レベルでなければ、起きない)❞
だから煽んな!
❝モデレイター(アリス):Game recognizes game.(本物のみが、本物を理解できる)❞
コメもなんか、私と世間がえらいズレてるみたいな空気だけど、アリスが仲裁を始めてくれた。後は英語の得意なアリスに任せて、私は説明を続けよう。ちなみにGame recognizes game.の意味は私にはわからん・・・・多分、知らない熟語。




