621 作戦を考えます
敵の能力を確認した私は、全速力で逃げる。転移して追ってくるかもしれないので、リイムに〖アポート〗で引き寄せてもらって一気に逃げた。
タイラント・ケルベロスは追ってくること無く、輪舞を徐々に緩やかにして高度を下げて沈黙した。
お陰で私は、簡単に拠点に戻り、クレイジーギークスのみんなと情報を共有。作戦会議が始まった。
「敵はタイラントケルベロス。恐らく3匹を同時に撃破しないといけないといけません。しかも激しい弾幕を放ってきます」
オックスさんが唸る。
「ボスより、地形のせいで戦車が使えないな。それに、戦車では鈍重すぎて、あの弾幕は躱せない」
リッカが顎に手を当てる。
「しかもこちらの攻撃力が、バーサスフレームほどはない。普通の弾丸だ」
「飛行機になると思いますが、スウさん1人は、きついかも」
コハクさんの言葉に、アリスが頷く。
「じゃあ、私がリイムに乗って斬りかかります――銃とか当てられないので」
なるほど、アリスはリイムに乗ってもらおう。
「バイクや車のようなものはどうだ」
オックスさんの提案。
「走る地面は氷だぞ、地形も複雑で崖や裂け目が大量にある」
リッカが唸るけど、オックスさんが提案する。
「バギーなら、ギリギリ使えそうだ。バギーで下から援護射撃しよう」
こうして複葉機が1機、バギーが何台か作られることになった。
複葉機も沢山作れるなら、作ろうということになってる。
でも無理だよねぇ。
「とにかく、アルミを手に入れないと」
「じゃあ、アルミ集めから開始しよう!」
「「「お・・・おー!」」」
みんなの覇気がない。
リあンさんがため息を吐く。
「東の大陸かぁ――遠いんだよなぁ。船にも乗らないとだし、馬鹿みたいに時間掛からない?」
まぁ、そうだよね。
「アリス、ちょっと衛星写真の地図見せて」
「あっ、はい!」
アリスが拠点の建物から、衛星写真を持ってくる。
私は、地図を受け取り机に広げて見つめる。
「んー」
まず惑星の大地の形や、海溝の位置から、大体のマグマプレートを把握。
「なるほど、じゃあ――赤道付近でマグマプレートの端から遠い場所で植物が多い。――ここだな。西の大陸の東側――このジャングル辺りにボーキサイトが有ると思う」
「えっ!? 地上の様子を見ただけで分かるんですか!?」
「うん。アルミ自体はそこら中にあるんだ。――実は鉄の惑星と言われる地球でも、地表近くでは、鉄よりアルミの方が多い。――地球のコアとかまで含めると、鉄のほうが多いけれども」
「そ、そうなんですか・・・」
アルミは、地表に出て来やすいんだよね。
「だから地球に似た環境のこの惑星でも、アルミ自体は探す必要は恐らく無い。でも、ボーキサイトの形が加工しやすい。――で、このアルミに加工しやすいボーキサイトは雨による大地の風化中にできるんだ。だから雨がよく降る地域で、且つ大地に埋まっちゃうと駄目なんで、プレートの活動から遠い場所。ここ」
私は西の大陸の東側、ジャングルを指さした。
「な、なるほど――あれ? でも、最初の大陸のボーキサイトって、火山近くに・・・」
「まあ、大地の形は変わるから・・・・近くにカルデラ1個だったし、最近噴火したんじゃないかな?(最近といっても、あの様子からすると一万年以上前とかだろうけど) ――決して誰かがポカやらかした訳では無いと思うよ・・・」
多分。
「――とにかく、ボーキサイト探しだ!」
という訳で見つけたボーキサイト。
クリエイトパーチャーで、もっと大規模な発電施設を作ったし、ガソリン(油田は結構近かった)もあるんで超大電圧でボーキサイトをアルミに変えていく。
まあ、クリエイトパーチャーにそのまま放り込んでもアルミにできるんだけど、時間が掛かる。
機関銃に使う鉄は・・・磁石で砂鉄を集めていては足りない。チタンは鉱床も見つかっていない。私が作るしか無い。
こうして素材集めが始まった。
素材さえ有れば、あとはクリエイトパーチャーが加工してくれるので安心だ。
ただ、設計図は自分たちで描かないといけないのだけれど。
私も設計に参加。
プラモデルで作った知識だけど、まあ模型の知識でも役には立つかな?
私は、まずは雪の地面に仮の設計図を描く。
アリスに謎の紅茶を淹れられながら。この紅茶、何を発酵させたの・・・? イギリス人は、銀河の彼方でも紅茶をキメないと気がすまないの・・・?
私が謎の紅茶に「ほう」とため息をついていると、飛行機乗りの2人、さくらくんと綺雪ちゃんが目を輝かせていた。
「スウさんは、やっぱり戦闘機の設計にも詳しいんですね!」
「わーーー! 自分で戦闘機を設計とか、飛行機乗りの憧れです!」
私は二人の感動の声に、設計図を睨みながら、いつも通りつっかえながら返す。
「まあ・・・ね。――うーん。正直、追いかけ回したり一撃離脱もしないので。速度より運動性が欲しいなあ」
「なるほど、ならば複葉機のほうが良いんですね!」
さくらくんが見抜いていた。
「うん。旋回力重視で行きたい」
「翼の形はどうしますか?」
すると私ではなく、アリスがさくらくんに答えた――え? アリス?
「円盤にして、プロペラを左右に」
「フライングパンケーキは止めなさい!」
英国面が出てる!
「でもあの機体、実戦に出れなかっただけで、かなりの性能が」
「いや止めて、私、フライングパンケーキの特性とかわかんないから!」
「じゃあどうするって言うんですか?」
なんで、フライングパンケーキが攻略に絶対必要みたいな顔なんだよ。
アリスが謎の紅茶を綺雪ちゃんと、さくらくんに出しながら、口を尖らせた。
私は予定を答える。
「テーパー翼の楕円翼で」
「普通すぎじゃないですか?」
「普通でいいんだよ!」
「でも――」
「さてエンジンをどうするかなぁ」




