617 温泉に入ります
筋肉の意味ってなんだよ。そんな名状しがたい言葉のような物を読むな!
んで、私も戦線に復帰して、しばらく激闘。
みんながだんだん試合に熱くなった。その時だった――みんなが熱くなりすぎたからだろうか。
足元から嫌な音がした「ピシッ」と。
「まさか」と、足元を見た瞬間、コートにしていた湖の氷が砕けて全員水の中へ。
「ぎゃーす」
氷が砕けて湖に落下したけど、全員只者ではないので、大した被害はなかった。でも、周りはマイナス20度とかの極寒の世界。
寒い、とにかく寒い。
「さ、さむ・・・い」
「や、やば・・・い」
みんなで体を抱いて、歯の根が合わずガチガチと震える。
軍人さんたちは腕立てとかスクワットで体を温めようとするけど――すごい、本当に全部、筋肉で解決しようとしている。
私はそうもいかないので〖温泉〗で、温泉を出した。
「みなさーん。温泉を出しました、入ってくださいー!」
言うと周りから歓声。
「女子はこっちですー!」
私は女子を引き連れ、男子用の温泉から離れ、岩の向こうに温泉を出した。
女の子達から、感謝の声。
というわけで焚き火で服を乾かしながら、みんなで温泉へ。
流石にこのクソ寒い状態で「私だけ後で入る」とか言ってらんないので(自分用の〖温泉〗は流石に印象が悪すぎるし)。
みんなと一緒に入った。
今回は、マリさんに揉まれました。
なんで私の胸を揉む人が、必ずポップするんだ。
私氏相変わらず「ギャーギャー」叫びまくり。
マリさん、エレノアさんにバックドロップされて沈黙。
温泉に、お尻丸出しで、どざえもんみたいにプカーって浮いてた。
自衛隊の衛生兵だって人が私の方へやってくる。
「スウさんスウさん、質問なんですが」
「はい」
「どうやって抗生物質を作ったんですか?」
「あー、憶えると案外簡単ですよ、ただまぁやっぱり注射の抗生物質は怖いですけど」
純度を上げるのが難しい。そのせいで、ペニシリンも実用がされる前に後発の石油から合成したプロトンジルが実用化されてしまった。
あっちは科学的に作られるから純度上げやすいし、そもそも飲み薬だし。
ちなみにプロトンジルの有効成分だけを取り出したのが、スニファニルアミド――サルファ剤だ。
某ドクター石で使われた薬。
「まず薬効検査をして――」
私が説明すると、流石現代の医療従事者、ルカよりずっと吸収が早い。
「培養の仕方は――」
工業の手順とほぼ同じのを説明する。ここは昔から変わらない。
「で、純化の作業ですが木炭が大活躍します。あと珪藻土それから――」
「ブ、ブンブン独楽で遠心分離ですか・・・」
「この環境だとそうなるかもです。もちろん普通のものより強靭に作りますが――ガチの遠心分離機はベアリングがネックですね」
「なるほど・・・・」
「でもガチの遠心分離機が作れたら、私、核爆弾作れちゃう」
周りの人が、ざわついた。
・・・そうだ、ここにいるの自衛隊さんと、アメリカの軍人さんだった。
核爆弾作れるヤツとか、警戒対象じゃん。
「ぜ、絶対に地球で作らないでくださいね!?」
「地球で作っちゃ駄目だよ、スウ君!」
「そ・・・・それだけは駄目ですよ!? Msスウ!!」
衛生兵さんも、マリさんも、エレノアさんも私に焦ったような声で言った。
地球じゃなきゃいいのか――まあ、いいか。
「だ、大丈夫ですよ、地球の秩序を乱すつもりはないですから」
そうしてマリさんがゆっくりと近寄ってくる。
「で、実のところ、どうやって作るんだい? お姉さんにだけコッソリ耳打ちしておくれ」
「いいのかな・・・・えっと、まず――」
私は仕組みと、やり方を説明する。
「――で、ぶつけてドカンです」
説明し終えたら。エレノアさんが温泉を掻きながら、マリさんに寄って来た。
「・・・どうですか、曹長」
「うん、理屈は合ってる。材料までは、ぼくにはイミフだった」
「・・・マジっぽいんですか――あの人、もしかしたら、世界一の危険人物かもしれませんね」
「・・・だ、だね」
なんか、2人に凄く疑いの目で見られてる。
2人とも、いまにも「コケェ」って言いそう!
「じゃ、じゃあ上がりましょうか!」
私は、急いでこの場を退散することに決めた。
すると、マリさんに肩をぐわしと掴まれた。
「80層のボスを、核爆弾で倒すのはどうだろう――」
いや、
「ウランは、どこですか・・・?」
「あっ・・・・」
というわけで、テントに戻る途中、男性の温泉がチラリと目に入った。素っ裸の筋肉達が温泉で水泳競争してたり、ダンスしてたりを目撃。
なんの儀式・・・。
あと綺怜くん、ガチめな製造工程を経た筋肉に興味津々。綺怜くんも筋肉を褒められてた。
ほんっと、いつも楽しそうだな、あの人ら。
さくらくん? さくらくんも男性と入ってたよ。男性隊員に、必死にバスタオルを巻かされてたよ。
「さくらくんが筋肉に襲われてたらどうしようと思ったけど、流石に紳士な筋肉達だった」
私が言うと、温泉の縁に凭れながら吹き出したマイルズに、
「いらぬ心配をするな」
と、ツッコミを入れられました。
温かさで頬を染めたイケ面は、色っぽかった。
その後、筋肉達が温泉で宴会してたよ。
一応任務中じゃないの・・・? まあ任務中にお酒飲む軍人なんて、そこら中にいると思うけど。
ちなみにこの〖温泉〗、温かいままじゃなくて、だんだん冷める。
――んだけど筋肉さんたちは、焼いた石を温泉に入れたり、溝を掘って金属の敷居を立ててその向こうで焚き火をして、温め直したりしてた。
敷居の向こうの焚き火は、ダコタ・ファイアーホールの応用でロケットストーブみたいになってる――煙突の下で火を焚いて、強い気流を起こすと、燃焼室が外気を勢いよく吸い込む。大量の酸素供給と高温によって、木材がほぼ完全燃焼するストーブ。
石を焼くのはこのロケットストーブの中。
効率の鬼。
さすがサバイバルのプロ達だぜ・・・。




