612
「圧力は冗談として。――どうにかならないか? スズ・・・」
「どうにかしたいですけど・・・とりあえず、担任に相談してみます」
というわけで私達学生組は、一番近くに発見された転送陣から、衛星基地に帰還。そこから地球に戻って次の日の始業式の準備をした。
そうして次の日、始業式が終わってすぐに担任に相談。今はアリスも私も同じ担任なので、二人で担任を囲んで相談する。
「圧が」
担任が私達の圧に、若干冷や汗を流しながら苦笑い。
「鶴巻先生、何とかなりませんか?」
アリスが担任に詰め寄ると、担任が両手で壁を作りながら答える。
「それなんだがな、鈴咲、八街。――実はすでに職員会議で話が着いていてな」
「え―――っ」
「まじですか」
二人でちょっとビックリ。
「この間から学校の資料請求が沢山来ていてな――近所やお前たちの通学路の沿線に住む中学生などが、我が校を志望しているんだ」
「そ、そうなんですか!? てか、一部に私が爽波なのバレてるんですね」
アリスが当然と頷く。
「まあそりゃ通学中に顔を見られていたら、バレますよね」
「デスヨネー」
「鈴咲が配信で散々化学を応用したんで、爽波の評価が爆上がり中なんだ。というわけで鈴咲達にはまだ攻略を続けてもらおうという話で決着が着いた」
私は、担任に訊ね返す。
「――いいんですか!? でも、出席日数とか。とくにアリスが出席日数で困るかもなんですが」
そこで担任が、悪そうにな笑みを見せた。
「鈴咲、こういう時のために、特例と言う物があるんだ」
「と、特例・・・・」
なにそれ、凄い。
悪の組織の幹部のように笑う先生に、私は生唾を飲み込む。
アリスの顔が少し明るくなる。
担任が特例の内容を告げる。
「そう――今回は特別に、『二人は宿題を提出すれば、出席したことにする』と言う結論になった」
アリスが「うっ」となる。
ああ、サボれると思ってた顔だな、アレ。
「というわけで、こちらがお前たちへの宿題だ」
そこそこの厚みがあるプリントを、紐で纏めれた物が渡される。
「先生たちが丹精込めて、二人のために作った宿題だ。頑張ってくれ」
「は、はぁい」
まあ確かに、宿題を作るのも大変だもんね。それを私たち2人だけの為って、凄く有り難い。
アリスが項垂れて、プリントに目を通す。
そして、不安げに手を挙げた。
「あの、先生――」
「どうした八街」
「――これ、わたし達が習ってない範囲じゃないですか?」
「そりゃあ、これから習う部分の宿題でないと意味がないだろう。――しかし鈴咲がいれば大丈夫だろう?」
「えっ」
なんか私に飛び火した。
「先生知ってるぞ、鈴咲が既に高校の勉強をすべて終わらせていることを! なんたって先生はスウ推しだからな! 配信は全部チェックしてる! というわけで八街、わからない所は鈴咲に訊ねなさい」
『鈴咲 涼姫の驚愕』。
「まさかの、私に丸投げ!?」
私が若干の抗議を挙げると、先生が笑う。
「先生たち忙しいから、授業内容までプリントに書く余裕が無かったんだ。――鈴咲、頑張ってくれ」
「先生たちが忙しいのは知ってますが――私に丸投げは酷くないですか!? あとどうせこのプリント、後で他の生徒の宿題に再利用するんでしょ!?」
「・・・・勘の良い生徒は嫌いだよ。まあ、恐らく1年の立花と笹倉からも教えてくれとせがまれると思うから。鈴咲、頑張ってくれ」
「1年生の先生たちも丸投げ!?」
ちなみに1年の立花ってみずきじゃないよ。立花 楓ちゃんの方だよ。
という訳で、まあ、最悪の事態は回避できて銀河の果ての惑星に帰還。
持ち込めそうな物も、いっぱい買ってきた。
特に防寒関連を大量に。
USSFと自衛隊員さんに買ってきた分厚いコートとブーツを配りながら、ヴィックに結果を話す。
「というわけで、なんとかなりました。リッカも同じ感じで何とかしたらしいです――私の負担がちょっとでっかいんですけども」
なんか爽波から、リッカの学校、百合ヶ浜女子に連絡が行っていたようである。
綾麻兄妹の小学校にも連絡が行っており「スウさんが勉強を教えてくれるなら」という条件で許可が降りたんだとか。なんで知らないトコの小学校まで、私に投げるんだ。
「そうか、なんとかなったか・・・・助かった。あと素敵なコートをありがとう、大事にするよ」
「いえいえ」
「――しかし、どれも一着数万はしそうなんだが、大丈夫か?」
「私、小金持ちなんです」
「そうか――しかし、いずれお返しはさせて貰うよ」
「気にしなくて良いですよ」
他の隊員さん達にも、お礼を言われた。
ちなみに柏木一佐には七色のド派手なコートをプレゼントした。隊員に笑われてた。
マイルズにはメルヘン入ったピンクのと、マリさんには黒くてカッコイイの。あとなんか最近影の薄いアレックスさんにはアメリカ国旗色な奴。エレノアさんには淑女っぽい白くて可憐なヤツ。
マイルズには呆れられた。
「スウ、お前なあ・・・・。なあ、マリ曹長、ボクのと交換しないか?」
「ぷ・・・ぷぷぷ・・・ぶふっ――いや、マイルズ似合って、ぶふぉっ」
「・・・・貴様もか」
マリさんは笑うのを我慢しながら、居住まいを直して言い直す。
「スウちゃんがせっかく買ってきてくれたんだし、使――ぶほぉっ」
我慢出来なかったようである。
「――くっ」
というわけでマイルズ、メルヘン決定。




