608 ヤバイのが来ます
私はラプトルにまた爆弾を落下させて戻ってきた。
「第三陣、大分減った感じがしますね」
樹の上に再び登った隊員さんが、数えている。
「40匹前後まで減っています」
「ナイスだ、スウたん!」
なんか自衛隊員さんに私を「たん」付けする人がいるみたいだ・・・。
「40ならさっきと変わらん、抑えるぞ」
「来たぞ!」
隊員さんが、一斉に爆弾を投げる。
炸裂する銅片や鉛玉。
「これなら余裕でありますね!」
「投擲やめ! 接近戦になるぞ!」
土嚢を飛び越えて、盾を持った隊員さんが前に出る。
そしてまた、ラプトルの突撃を受け止めた。
三度目のやり取りが始まる。
近接攻撃部隊が接近戦でラプトルに斬撃を加えたり、コンパウンドボウが狙撃したり。
私が背後から急襲を掛けて、逃げたり。
やがて第三陣も片付いて、ラプトルの襲撃が止んでいる内に、全員が移動を始める。前進開始だ。
そしてラプトルと遭遇するとまた砦を築きながら、ラプトルと戦うを繰り返す。
前進、拠点作り、前進、拠点作りを繰り返し、ついに島中央まで来た。
島の中央での360度を囲まれての戦いは熾烈を極めたけど、死者は出さないで勝てた。
ただ、ケガ人は流石にでてしまった。USSFの盾部隊の隊員さんが、自衛隊の衛生兵さんの治療を受けていた。
「美人に手当してもらって感激だ」とか軽口を叩いているので、大事はないんだろう。周りを心配させないように、強がりの可能性も高いけど。
私は拳銃のマガジンを取り出して、中を確認。
弾切れだ――他のマガジンにももう弾丸は残っていない。
全弾撃ち尽くしてしまった。
私が投石索を引っ張り出していると、隊員さん達の声が聞こえてくる。
「ラプトルも大分、減りましたね」
「しかし、いまのは流石に肝が冷えた」
「スウたんがタゲを取って逃げ回ってくれなかったら、危なかったかもしれん」
「ですね。しかし流石にそろそろ全滅できると・・・思いたい所ですが・・・」
すると、誰かが指を指した。
「まて、見ろ! なにかデカいのが来るぞ!」
辺りの樹木の頭を遥かに超えた位置にある頭。
樹に登った隊員さんが叫ぶ。
「全長40メートルはある!」
「Super Saurus!? (スーパーサウルス!?)」
でっかい、めちゃくちゃ大きい。
そんなのがラプトルを、太い足で蹴散らしながら迫ってくる。
猛然と迫ってくるその恐竜は、その巨体を生かして瞬く間にUSSFと自衛隊、そしてクレイジーギークスに迫る。
一斉に放たれる矢の雨。
だけど、コンパウンドボウの矢も和弓の矢も――鋼の矢じりも通用しない。
リッカ、アリス、メープルちゃんが連携しながら連続で足に斬りつけるけど、まさに鋼のような体表に弾き返されている。
辛うじてリッカの一撃が食い込んだくらいで、骨は断てない――断てるわけがない。どう見ても足の骨が人間より太い。
ラプトルもスーパーサウルスに襲いかかってるけど、スーパーサウルスは鬱陶しそうに息を吸い込むと、炎を吐いた。
火炎放射器のように伸びる炎がラプトルを追い払う。
火を恐れたラプトル達が、一斉に散り散りになる。
スーパーサウルスがUSSF、自衛隊、クレイジーギークスに向き直った。そうして大きく息を吸う。
私はリイムと、スーパーサウルスに向かいながら叫ぶ。
「不味い!」
自衛隊員さんとUSSFさんは上空からの炎を盾で受けきれる?
私は背中から筒を取りだして、導線をナイフで短く切る。
そして火を着けて構える。
「いけ!」
肩口で僅かな振動があって、弾頭が飛んでいく。
「なにを背負っているのかと思ってたら、ロケランだったんですか!!」
弾頭がスーパーサウルスの顔面に突き刺さって、僅かな静寂の後、弾頭から炎が吹き出した。
「でた、成形炸薬だ! 一点にメタルジェットが集中してやがる!」
炎がスーパーサウルスの顔の反対側に突き抜けて、最後には目から鼻から口からも炎が吹き出した。
炎を吹く生き物とはいえ、頭の中を炎に蹂躙されては生きていられなかったようで、白目を剥いて――砕けた、ジルコンのように。
「MoBだったのか・・・」
流石にこれだけの人数で攻撃したら、印石は出なかったけど。
でも、スキルが復活したかも知れない。
(リイム聞こえる?)
「コケーーー!(わーい、またママの声が聞こえた!)」
やっぱり、スキルが復活した。
私を跨がらせているリイムが、嬉しそうに翼をバタバタさせる。
ちょ、落ちるって。
(リイムごめん、もうちょっと静かに飛んで)
「コ(りょ)」
あ、やっぱ変な返事してた!
(そういう、ママの駄目なとこ真似しなくていいから)
「コケ(おk)」
うん・・・どうしよう、これ。
こうして私達は、残りのラプトルも狩って島の端まできた。そのまま北の大陸に進もうとしたけど――一縷浜が海の中に消えてたんで、一日島でキャンプして、次の日、北の大陸に踏み出したのだった。
夜のメニューはカレーでした。
どうやって香辛料集めたんだろう・・・? ――でも自衛隊のカレー、美味しかったです。




