607 航空支援します
後衛のマッチョメン達も、近寄ってくるラプトルにコンパウンドボウを放つ。
「40は多いぞ! 眼の前の奴を早く処理しないと押しつぶされかねない!」
リッカとアリス、メープルちゃん、オックスさん、そして何人もの隊員さんがラプトルを斬り倒していくが、次陣到着までに倒すのが間に合いそうにない。
「ぐっ――数が多い!」
銃の精度が頼りなかったんで誤射が怖くて味方の近くには、銃を撃たなかったんだけど、ちょっと不味いかもしれない。
私はリイムから飛び降りて――
クレイジーギークスとマッチョメンたちが一斉に私を見た。アリスとリッカだけ知ってるから苦笑い。
「スウ、何してる!」
「あの子、あんな高さから飛び降りたぞ!?」
「今はスキルが使えないのを忘れてたのでありますか!? 地面に激突しますよ!? ――五点着地でもするつもりでありますか!?」
私は長槍を作り出して、接地の瞬間に地面に突き立てる。羊飼いの跳躍だ。
「おいおいおい、生き残ってるよ・・・五点着地ですらないよ」
「某所の竜騎士か?」
私は、マッチョメン達に気を取られているラプトルの背後から、拳銃を接射。
三匹ほど倒したところで、こっちにタゲが来たので、
「リイム!」
「コケッ!」(うん、ママ!)
リイムは私の意図をとっくに理解していたのか、すでに急降下してきていた。
私は彼の足に掴まって上空へ。
「マジであれ、『竜騎士』みたいな、なんかだぞ」
私達に気を取られたラプトルを、刀組が斬り倒していく。
「よし片付きました!」
アリスが言って、「撤退です」と腕をふる。するとリッカもメープルちゃんも盾の後ろに下がった。
やって来た二陣を、またもマッチョメンたちの盾が受け止める。
突進に加速がついていたので、衝撃が凄い。
マッチョメンが顔を真赤にして衝撃に耐えて、ラプトルの突進を抑えている。
そして盾隊の隊長さんらしき人がカウントを始めた。
「2、1――」
「「「――うぉぉぉおおお!」」」
マッチョメン達が一斉に叫ぶと――すごい、恐竜の突進を押し返し始めた。なんだあれ、人間じゃない。
ラプトルの鋭い爪が盾と盾の隙間から出てきたりするけど、左右の隊員が息を合わせて盾で挟んで動きを止める。
そして、腰からナイフを取り出して、ラプトルの爪を切り落とす。
ぱないのよ。
「砦が出来たぞ、それが片付いたら一旦下がれ、爆弾を使う」
「「「ラジャー!」」」
「「「レンジャァァァ!」」」
私は再びリイムから棒一本で飛び降りて、一番うしろのラプトルに槍を突き刺しながら着地、ラプトル達を背後から急襲。
危なくなったら空へ逃げる。
「リイム、タイミング完璧!」
「コケーーー!(リイム、大活躍中!)」
アリスが私を見上げる。
「あれ、テレパシー無しで通じ合ってるんですよね? ――流石は生まれた時から、ずっと一緒に寝るほどベッタリの二人組。・・・完璧に息が合ってますね」
リッカがラプトルを背後から斬り捨てながら、頷いた。
「そうだな。やっぱり、あの2人ほどの人馬一体はない」
メープルちゃんが上をみて、手でひさしを作った。
「ほとんど親子同然のスウさんとリイムだからこそ出来る連携ですね。――互いが大好きですもんねぇ」
「コケッ(ママ、大好き!)」
なんか、いきなりリイムから告白された気がする。
「よせやい、照れるじゃないか」
私は照れ隠しに、鉛玉を降らした。
すると、真北に土煙。
私は望遠鏡で確認、
「第3陣、北から来ます! さらに数が多いです60! ――リイム!」
「コ!(りょ!)」
でも、その返事は多分行儀悪いから止めようね。
隊員さん達が砦の裏で、爆弾を準備し始める。
土嚢のすぐ後ろには盾を構えた隊員さんたち。
リイムが一旦着陸。私は前足を掴んで飛んでいた状態から、跨り直す。そして火口用の縄にファイアピストンで火を着けた。
私がそうしている間にリイムは再び飛翔――迫りくる第3陣の直上に移動。
私は火口から爆弾の導火線に火を着けて、上空から降らす。手持ちの3発を全部投げた。
「リイム、退避」
「コケ!(おk!)」
うん、大きな声で返事できて偉い。
砦に戻る私達の後ろで炸裂音。
私達の横を、爆弾の直撃を食らったらしいラプトルが、放物線を描いて飛んでった。
そんなラプトルを二本の矢が狙撃する。
マリさんとメープルちゃんだ。
なんか二人で互いの顔を見合っている。
「やるねぇ」、「そちらこそ」という顔をしている。
二人は、コンパウンドボウと和弓で近づいてくるラプトルを狙撃し始めた。
まだ大分距離もあるし、木も邪魔なのに・・・。
私達は砦に戻って爆弾を3つ受け取ると、再び迫るラプトルに戻る。




