605 合流します
かくしてクレイジギークスが帰来の一縷浜を渡ろうとしたら、自衛隊とUSSFが追いついてきた。
私がラボから村に戻ってきたら、こちらをマイルズが見つけて寄って来た。
「聞いたぞ、お前、冷蔵庫を作ってプレイヤー全員帰来の一縷浜を渡れるようにしたそうじゃないか」
「え・・・・うん」
「助かった」
「お、おう」
「あと、星座も作って教えたそうだな」
「そ、それは・・・・アリスが!」
「社で、神の使いスウの素晴らしい行動と共に、北極星の見つけ方を教えられたぞ」
「は、ははは」
マイルズが北の空を振り返りながら続ける。
「だが、まだ誰も北の大陸に到達できてないようだ」
「さすが、情報戦が得意なUSSF情報得るの早いんだね。そっか、誰も北の大陸に到達できてないんだ?」
「ああ、途中の島に大量の恐竜がいるらしい。ここを弓や――ましてや近接武器で抜けるのはほぼ不可能だとか」
「弓じゃ貫通できないの?」
「先行したプレイヤーが言うには石や牙――どころか銅系は貫通しなかったそうだ、鉄や鋼ならなんとか通ったらしいが」
「なら銅の銃弾は通らないかもなあ」
マイルズが首をふる。
「いや、銃弾は潰れてもダメージが高まるがな」
「そうなの?」
「ああ、被害を大きくするために潰れるように銅系が使われているまである。あと銅は比重が重いからな、火薬で飛ばせば十分な威力が出るだろう――弓だって和弓や合成弓を使えば話が変わってくるかもしれん」
「なるほど・・・じゃあ良いかな? 最悪投石索を使おうかな」
「――あと、シードラゴンみたいなのも確認されて、スキルが封じられたそうだ」
「え、あれがまた居るのかあ――じゃあ投石索じゃああんまり威力が出ないかなあ。それに空からどういう状況か、確認したかったんだけど」
「まあスキルが使えないと、空からの確認は無理だろうな――ところでお前どうしたその格好は。本気で科学者みたいじゃないか」
あ、そっか。汚れが目立つように真っ白な白衣を作って着てるんだよね。
「あー、これ薬作ってたから」
さっきリファンピシンっぽいのができた。多分リファンピシン――9割くらいリファンピシン。
「薬? そう言えば、グリーンモンスター――葛を見かけたが――葛根湯とかか?」
「あー・・・違う。抗生物質、合成抗菌薬」
「・・・・は?」
なんかマイルズが停止した。
暫くパソコンがフリーズしたみたいに無反応になったマイルズが、再起動。
「き、聞き間違えか・・・? 抗生物質と合成抗菌薬を作ったと聞こえたんだが」
「うん。そう。スルファニルアミドと、多分クロラムフェニコールと、多分ストレプトマイシン。あと、今さっきできたのが多分リファンピシン」
「スルファニルアミドと、クロラムフェニコールとストレプトマイシンとリファンピシン!? 抗生物質じゃないか!!」
一個、合成――細かいか。
「だから抗生物質だって言ってるじゃん」
「可怪しい!! 可怪しいぞお前、向こうに見える小さな建物がラボか!? 見てもいいか!?」
「駄目! ペスト菌を培養してるから!! 立入禁止!!」
もうそろそろ全部破棄しようかなって思ってるけど、まだ残ってるから駄目。
「ペ、――おまっ」
「そうだ、USSFとか衛生兵の人とか来てるよね」
「あ、ああ」
「手伝って欲しいかも、さっきも多分って連発したけど、ここの環境じゃ私には確証が持てるまで調べられないんだよ」
「わ、分かった、衛生兵に声を掛けておく。ま、まあとにかく、帰来の一縷浜の攻略、頑張ろう」
なんかマイルズが顔を引きつらせたまま、自分たちのキャンプの方へ歩んでいった。
そうだ、待てよ――リイムがいるし、空からの攻略も無理ではないかも。
というわけでリイムと2人でやってみた。
「コケコ♪ コケコ♪(ママとお出かけ♪ うれしいな♪)」
ヤバイ場所へのお出かけだけどねー。
私はリイムの背中に乗って空から――あ、駄目だ。
上空に、すんごい突風が吹いてる。
「リイム一旦降りよう」
「コ、コケ・・・ココ(う、うん――これじゃリイム、飛べないかも。ごめん、ママ)」
私とリイムは、一旦岩礁に降りる。
「島近くまで行ったら、また飛んでみよう」
この辺りの低気圧は一体どうなってるんだ。ずっと停滞してるの?
私とリイムと「けんけんぱ」をしながら、岩礁を渡っていく。
「ケンケン、パ。ケンケン、パ」
「コケコッコ。コケコッコ(けんけん、ぱ。けんけん、ぱ)」
ま、岩礁の下では潮が豪雨の川みたいな早さで流れてるんですけどね。
渦とかもあるし。――これは確かに、船だと危ないわ。
しばらく行くと、飛び石みたいになってる岩礁に来た。
「リイム、ここからは岩礁が小さいから、けんけんぱ無しで」
「コ(りょ)」
なんかリイムが、私のよく使う駄目な返事を憶えてしまっている気がする。
今は〖テレパシー〗が使えないから詳しくわからないんだけど、駄目な気がする。




