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ちなみに、基準になるクレイッジ・ギーグスウ標準時を刻む時計も、生石灰と石英の粉を用いた建物の一室――この箱と同じ素材で作られた部屋に、この箱と同じモノに入れられて厳重に保管されている。
建物は、元・共同体メンバーが建ててくれた。
まだ建築途中なんで、建設を手伝っているプリティ・ギルティさん、香ナイトさん、鳳ヘプバーンさんあとラッキースケベーズたちとは、しばしのお別れ。
ヒカルさん、ツクヨミさん、ルーローちゃん、ソチネコさんはガッチリガードで連れて行く。
あと一緒に行くのは、惑星に来たクレイジーギーグスのメンバー全員。そしてリイム。
さらにこのたび、ジュウゾウさんもクレイジーギーグスの仲間入り。というか、スウ事務所に所属しました。
私たちに足りなかった指先の器用な人が、仲間になってくれて大助かり。
あとね、社員になってもらわないと不味かったんだ。報酬3億とか渡すとね・・・・ほら、税金が。何の対策もしないと、半分近くが吹き飛ぶから。
「よし、固定完了。いつでも出発できますよ!」
「では自分が、柏木一佐に伝えてきます!」
「お願いします」
一人の筋肉さんが走っていった。
ジュウゾウさんはアメリカン筋肉さんたちと、つぎつぎ握手を交わし――なぜかリッカとも握手を交わし、見つめ合った。
こ―――これは!! ・・・まさか、数百年の時を超えて、立花家さんと十時家さんの運命の邂逅――
「あ、十造じゃん」
「これは、みずきちゃん」
「知り合いなんかーーーい!」
思わず出た私のツッコミに周りの人たちが、「?」を頭に生やした。
十造さんが、みずきの頭を撫でる。
ああこれもう、お爺ちゃんと孫だ。完全にそういう関係だ。
「みなさん、船が出ます! 見送りも来てますよ、甲板へ!」
甲板に上がり手すりに寄ると、本当だ、私たちの知り合いが一杯。
もちろん私の知らない顔もある。ただ、ここはクレイジーギーグス拠点近くだから、クレイジーギーグスの誰かが、私の知らない活動をしている内に知り合った人だろう。
アリスが、私の知らない女性たちに手を振ったりしている。
リッカも、まだ若い少年二人組に手を振っている。
私も、知り合いがいないか探す。
こういう時、私にだけ、誰も見送りに来てなかったら結構泣く。ぼっちを発揮していないかビクビクしながら探すと、
あっ、プリティ・ギルティちゃん、香ナイトさん、鳳ヘプバーンさんがいた。
プリティ・ギルティちゃん、ちょっと泣いてる。香ナイトさんにナデナデされてる。
少しの間だったのに、泣いてくれるなんて。
私は、「プリティ・ギルティちゃん! また会いましょ~!」と大きな声を出した。
するとプリティ・ギルティちゃんが笑顔になって、涙を拭いた手で、手を振ってくれた。
さらに、「鋼が作りたい」とやってきた男性3人組もいる。
おおっ、眼鏡さん手に刀を握ってる! 私に見えるように振ってくれた!
キャップ帽さんは剣! カチューシャさんはハルバート! 柄は、木だけど。
ちゃんと完成したんだね!
あっ・・・α秀もいる。
私と目が合うと、帽子を脱いで頭をさげた――禿たままだった。
彼の周りにはもう殆ど誰もいない。でも、一人じゃなかった。・・・・少ないけど、周りに仲間がいる。
見捨てなかった人たちがいたんだね。
頑張ってね。私、貴方のこと好きじゃないけど。
桟橋を修繕してた人たちもいる。
私の大ファンって言ってた人に、私が手を振ると、なんか急に自分を指さして、仲間になんか尋ねてる。
そうして背中を叩かれだした。
あれ、もしかして「今スウが、俺に手を振った!? 手を振ったよね!?」とか言ってたの?
え・・・・ガチファンじゃん・・・なんで、私のどこがいいの?
リッカにモモマンゴー貰ってた人もいる。あ、リッカが手を振り返した。
そしたらモモマンゴーさん、なんか急に自分を指さして、仲間に(ry
そして、Ωアムアさん、パトリ夫さん、アルティMateさん。
彼らとは随分長く一緒に行動した気がする。
だから、そろそろ記憶消去してねー?
「Ωアムアさーん! 必ずまた会いましょー!!」
ルーローちゃんが叫んだ。Ωアムアさんが両手で大手を振って、見送りだしてる。
みんなは、まだまだ見送りがいるみたいだけど。私の知り合いはこんなもんかな。
私は再びプリティ・ギルティちゃんに手を振って――あれ? なんかちゃん付けになってる?
とにかく、いよいよ大海原へ挑戦だ!!
岸が見えなくなって、アリスが微笑んでくる。
「スウさんの『ワンピース』、必ず見つけましょう!」
「違うね、探すのはそれじゃないね」
「あれぇ?」




