576 チケットをゲットします
言葉に、マイルズとマリさんが私を凝視し始めた。
「それどころ・・・? ――いつも通りだが?」
「女の子の変化を見つけるのは得意だけれど・・・・なにか違うかい? ――前髪切った?」
そんなマイルズとマリさんの言葉にエレノアさんが、ため息を吐く。
「――この二人、腕は良いけど、観察眼がダメダメだった。こっちに来て下さい、戦力差がdefinite and obvious(確定的、明らかに違う)ことが分かりますよ」
「は?」
「なんだい」
マイルズとマリさんが、私の後ろに回ってくる。
そうして二人が叫んだ。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
「いや、なんだこれぇぇぇ!?」
二人共、大絶叫。
マイルズが、私の腰裏に指を突きつけてくる。
「お前、アホか!? それ拳銃か!? ――ボクたちも作ろうとしたが、火薬はともかく、鋼を成形するのが難しすぎてクリエイトパーチャーが見つかるまで諦めているんだぞ!? ――こうして作れたライフルすら僅かだ」
いや、プレス機位USSFなら――ああ、そうか簡単に大量の鋼が作れる場所じゃなかった。
しかもプレス機なら強度が必要だから、鉄を完全に溶かして作るマンガン鋼とかになるもんね。マンガンも簡単に手に入る金属じゃない。
銅や鉄から微量に抽出しないといけない。
大規模に手に入れるなら、マンガンクラスト――波の影響のない深海で、海水の中のマンガンが岩にくっついてできたもの――とか、マンガン団塊――マンガンクラストがさらに海底で丸く集まったもの――がないと駄目。
元・海の塩湖にあるかもだけど、無いなら海の底を探すことに。しかも海面上昇で沈んだ世界のここの海の沿岸は元・陸地ばっかだしなぁ。メチャクチャ潜らないと。
マイルズは続ける。
「ボク達が一番苦労した部分――ライフリングも備えているのか!?」
「一応、簡易的に六角ポリゴナルライフリングを」
マリさんも大きな声で、私に尋ねてくる。
「嘘っそだろお前、撃てるの!?」
「もちろん撃てます・・・けど」
「撃って見せてよ!」
「でも、撃ったら周りの生き物がたまに寄って来ることありますよ?」
二人が勢い込んでくる。
「見せてくれ!」
「そんなの、ぼくらが倒すから!」
まあ、この二人に勝てる生き物なんて、そうはいないだろう。
「じゃあ」
私は近くの木に向かって、数発発砲する。
「ちょ・・・・おま・・・――コッキングはしないの? ・・・・まさかのセミオート・・・?」
「お前、本当に銃が規制されている国のハイスクールガールか・・・・!? 詳しいんだろうな、とは思っていたが、どれだけ銃に詳しいんだ」
「時間軸が、狂ってます・・・」
マイルズとマリさん――エレノアさんまで唖然だった。
まあ私には、魔術の第一遷移金属生成が有るから、プレス加工が簡単に出来ないこのサバイバルだと有利過ぎるんだよね。
その後、音に引き寄せられた恐竜を、三人がコンパウンドボウで狩った。ライフルは銃弾が貴重だから、めったに使わないんだとか。
コンパウンドボウは、現代でも軍隊が使用するくらい強いんだよねぇ。
❝この三人は、その娘がロケランまで所持しているのを、まだ知らない❞
「セミオートいいなぁ、セミオート。――いいなぁ、セミオート」
マリさんが口元に指を当てて、私の腰を滅茶苦茶ガン見してくる。
「それさえ有れば、ぼくはなぁ」
「あげませんよ!? これ、一丁を作るのだけでも本当に大変なんですから! これは量産が無理です!!」
つい最近、こんなやり取りをどっかで見た。
「ちぇー」
マリさんが、腰の後ろで手を組んで、石ころを蹴った。分かりやすい動作である。
「まあ精度はボルトアクションの方が上だから、ぼくにはこっちの方がいいかあ」
マリさんが諦めたので、私は本題を思い出して質問する。
「というか、みなさんも航海するんですか?」
私が本題に戻すと、マイルズが「そうだった」と、真面目な顔になった。
「ああ。蒸気船ができたんでな」
「まjd!? ――どんな船?」
「黒船を知っているか? あんな感じのフリゲート艦だ」
「おおおっ、黒船を見たことない日本人は少ないと思うよ!」
教科書に乗ってるんだから。
「帆船を作っていたが、蒸気船に変更した。外輪船だが、一応、船尾式だ。MoBとの戦闘が予想されるからな。――お前達も乗っていくだろう?」
「乗っていいの!?」
「もちろん。すでに時計まで作っているそうじゃないか――時計はな、流石に簡単にはいかないから。お前たちの協力を仰ぎたい」
ジュウゾウさんのお陰で、船に乗る権利が貰えたぞい!
まともに航海できる船を作るのって、大人数でも1年とか半年とか掛かるからどうしようって思っていたんだけど、こんな短期間で蒸気船を作っちゃうなんて、さすが自衛隊とUSSF。
全然噂流れてこないなぁ。活躍してないのかなぁ? って思ったら、船を大急ぎで作ってたんだ?
そりゃ、掛り切りになる。




