568 光を捕まえます
「スウー、許してー」
「ダメ、膠ができるまで、ちゃんと火の番して。焦がしたらだめだよ」
「うわーん」
「ひーん」
「えーん」
「砂鉄を剥がすため」と偽り、リッカ、香ナイトさん、鳳ヘプバーンさんに膠を作らせるというギルティをかましながら、私は乳鉢(洋風すり鉢)で、備長炭をとにかく細かくしていた。
作るは、昼間に北極星を見るための望遠鏡!
❝リッカ達、なにがあったんw❞
「大事な磁石を砂鉄まみれにした、ギルティです」
❝草www❞
❝このサバイバル環境で、超・貴重な磁石を砂鉄まみれにしたらあかんw❞
今日は配信もしてる。
プリティ・ギルティさんがお腹を抱えて大笑い。
「ぶははは、テメー等ざまぁ(笑) スウっちのお怒りは恐ろしいぞぉ!」
「うるせー! テメーも手伝え!!」
「ほぼ赤道で、この日差しの中の火の番がどんだけ辛いかテメーも思い知れ!!」
なんかまた喧嘩してる・・・・こわいこわい。
私は擦りに集中。
「よし、炭が十分細かくなった。さて、まずは漆黒のインクを作ろう」
炭の多孔質をさらに上げて、その穴に光を封じ込める作戦。余計な光――迷光には炭素の穴の中で、人間の目に見えないレベルまで減衰してもらう。
❝どうやんの?❞
「まず、炭素を穴だらけにします。というわけで用意しますは、たった今、超・細かく砕いた備長炭」
ここで、ちょっと風が吹いた。
「ぷっぷっ」
あまりにも軽くなりすぎた備長炭がちょっと舞い上がって口に入った。
人生のほろ苦さを、「ぺっぺ」して私は続ける。
「ここに、難破船の錆を砕いて焼いて作った、三酸化二鉄の粉を投入します――」
鉄は酸素多めで焼いてきた。(リッカに水素と酸素を分けて酸素を吹き込んでもらった)だからかなりガッツリ酸化してるはず。
で、これを空気をできるだけ抜いた(完全真空じゃなくていい、むしろちょっと空気や湿気が残ってたほうがいい)にした炉に入れて。加熱。
これで炭は木材から、インクの元に変化し、闇落ちする。
「『俺は木炭を止めるぞ、アリスー!』」
膠を煮ている焚き火で、夕食の魚を焼いていたアリスさん、「きょとん」。
「前、J◯J◯ネタ通じたじゃん~! 2部しか読んでないの~!?」
「2部主人公の知的さが好きなので・・・・1章主人公は若干脳筋じゃないですか、自分に無いものに憧れるんです」
アリス、知的キャラが好きなのか――よし、今後は私、知的さ爆発で行こう。
てかまって。あんた、あの忙しさの中で学年50位以内をキープしてて、何いってんの?
それはともかく・・・・インク作りの作業は待ってくれない。
「加熱し終わったら、希硫酸で洗います」
そうして乾かす。
乾くのに時間が掛かるので、今日はここからはお魚を焼く配信。
んで次の日。
「昨日の炭の続きです」
❝まだなんかやるの?❞
「はい! 洗う、煮る、焼くです!」
❝えっ、なに作るの・・・・❞
❝料理?❞
「まず海藻を焼いて採った濃い灰汁、つまりアルカリで洗います。そのまま煮ます」
もちろん、水酸化ナトリウムでもいい。
❝まさかのアルカリ❞
「そして、次にフライパンで軽く焼きます」
料理の達人の力を見よ。
「これをまた細かく砕けば――できました、穴だらけで光を捉える炭素の粉!」
❝888888!❞
さて、次は漆黒の内幕作り。
綿を、膠と細かく砕いた炭素の粉とリッカの水を混ぜたインクにドボン。
しばらく混ぜたら、インクを洗い流し、天日干し。
で、乾いたら繊維を細かく切る。
次に、この細かい繊維達を分離して、風のない場所――難破船の一室。に、ガラスの箱(下面がない)を置いて、その下に電力を流す装置を置く。
で、ガラスの箱の上面に接着剤(膠)を薄く塗った布を張り(プリティ・ギルティさんたちから貰った、黒の水着を作った端材)、下面に細かい繊維を振り撒く。
「こうして、下に直流で高電圧を流します。すると、細かい繊維が舞い上がり、布に植毛されます」
❝また髪の話してる❞
❝彡⌒ミ (´・ω・`)❞
❝ヒューイ禿くん・・・そんな姿になって❞
「で、乾かします」
膠はなかなか乾かないから、風のない場所でしばらく放置。
だけど膠は古代の強力糊――乾くのに時間は掛かるけど、乾けば凄まじく強靭。さらに膠は、墨にも使われる信頼の黒の原材料。
というわけでしばらく放置して、回収。
私が布を回収していると、リッカが寄って来た。
「うわー、ベルベットの様な手触り・・・・スウ、これほしい・・・」
「そういうと思って、ハンカチサイズのを別に何枚か用意してるから」
「ナイッスゥ!!」
プリティ・ギルティさんたちも欲しがったんで、何枚かあげたけど、足りないらしいんで植毛装置を貸してあげた。
キャッキャ言いながら植毛してた。




