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541 訪問者がやって来ます

「誰だ」


 え、なにその漫画の達人みたいな台詞。

 誰か居るの?

 私が〖超暗視〗でリッカの視線の先の暗闇を見ると、本当に20人以上の団体がいた。

 プレイヤーだと思うけど。

 知らない人たちだ、大学生くらいの人が多い。


「なんだろう?」


 すると代表だろうか、なんか目つきの鋭い青年が前に進み出てくる。


「やあ、クレイジーギークスさんだね?」


 対応したのは、サメの皮を(なめ)していたオックスさん。


「いかにもだが。そちらは?」

「これは申し遅れた。このたび設立されたプレイヤー共同体〝イコール・フューチャー〟の代表をさせてもらっている。ヒューイ(しゅう)と言う」

「マッドオックスだ」

「もちろん知っている。――今回は貴方たちに、有益な提案を持ってきた」

「有益な? ――どんなだ」

「クレイジーギークスさんも我等の共同体、イコール・フューチャーに参加しないか? イコール・フューチャーには、既に100名以上賛同者が所属している。貴方達にも悪くない話のはずだ。一緒に協力すれば、簡単にこの層の攻略が終わるはず」


 オックスさんが私を見た。私の意見が聞きたいみたいな顔だ。

 うーん正直、私達だけで攻略できそうだし、入るメリットを感じないなあ。ああ言うのに入ったら、むしろ足を引っ張られそうなんだよね。それでも普段なら別に入って良いんだけど、今回は夏休みの間に終わらせないと駄目だし。足が出ると、学校休まないといけなくなっちゃう。と思って、そういう顔を向けると。

 オックスさんはヒューイ秀という人に向き直り、告げる。


「ウチはウチだけで十分だ。アンタ等はアンタ等で自由にやるといい。返事はノーだ」


 オックスさんの言葉を聞いたヒューイ秀という人は、肩を竦めて大仰にヤレヤレというポーズをした。アメリカ人でもあんなに露骨なヤレヤレはしないと思う。なに、ヤレヤレ系の方?


「我々は、貴方達の発見していない様々な物資を所持している。それらを提供しよう。イコール・フューチャーでは物資を持ち寄り、必要なところへ分配するんだ」

「だとすると、俺達にもなにかそちらに渡すわけだろう? そういうのが困るんだ」

「ああ、まあそこは共同体だからな――そして貴方がたには他のプレイヤーが持っていない、素晴らしい物資がある。例えば――」


 ヒューイ秀という人が、リッカに近寄る。

 彼の目は、現在解体して手入れされている刀に向いている。


「その刀、女性に持たせるのは惜しい。そんな小さな女の子が使うより、僕みたいな剣道経験者で腕力もある男がもっと、有効に使え――」


 ヒューイ秀という人が刀に手を伸ばした途端、リッカが側に座っていたメープルちゃんの腰から鞘と刀を抜いた。

 メープルちゃんがちょっとビックリしてる。メープルちゃんがビックリするとかどんな動きしたの、リッカ。

 リッカは、ヒューイ秀という人に柄を突きつけ剣呑な声を出す。


「早々に立ち去れ、このこそ泥」

「アッハッハ!」


 刀を持ったあのリッカを前にして、余裕を崩さないとか――この人の危機察知能力、大丈夫なんだろうか?

 ヒューイ秀が、リッカの握る刀の柄頭に手を当てる。


「知ってるよ。こうして柄を押さえれば、刀なんて抜けない――」

「バカかお前は」


 言ったリッカが、左足を大きく一歩下げて空間を作った。

 そうして鞘を後ろに向かって抜いて、勢いよく後方に投げた。

 白刃があっさり顕になった。


「えっ!?」

「武家の人間に、そんな単純な方法が通用するわけがないだろう。刀を抜けないなんて状況、とうの昔に克服している。何のための抜刀術だと思っている」

「もー。お姉ちゃん、私の作った鞘投げないでよ・・・・作るの大変だったのに」


 しかもメープルちゃんは飛んできた鞘を、見事にキャッチしている。予想していたかのような反応だった。立花家は、本当に刀を抜けない状態なんてのは、克服しきってるんだ?

 私ならリッカみたいなヤバイ人と戦うなんて、絶対嫌なんだけど。

 ヒューイ秀とか言う人は眼の前の戦力がどれほど恐ろしい物なのか、早く気づいたほうが良い。

 だけどヒューイ秀とか言う人は、状況が――何を前にしているのかまだ分からないのか、勝ったような顔のままだ。


「だけど、柄を掴まれていたら女の子の力じゃ振れ」

「――るに決まっているだろう」


 相手は握力に自信があるみたいだけど、リッカが刀の峰を左手で押すと、テコの原理になって――ヒューイ秀とか言う人の握力じゃ耐えられない――筈なんだけど、リッカはそれだけで赦さなかった。

 峰に手を当てたまま柄を回して反転させて、相手の手首を捻り上げる。そのまま刀全体を大きく回して、ヒューイ秀って人を一回転。地面に投げた。

 地面に叩きつけられたヒューイ秀は、目を白黒。


「な・・・・な・・・な・・・?」

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― 新着の感想 ―
ヒューイ秀なる人物の実力はそれほどではないでしょうね 武道家は一定のレベルに達すると、 相手の強さを推し測ることができるといいますから、 それができない時点で『お察し』です
なんか来たぁー…でももう株がストップ下げになってる
更新お疲れ様です。 はぁ~…やっぱり湧いて出たか、こういう自治厨みたいなクソボケ(呆れ) こういう自治厨モドキの何がうざいって、以前半殺しにした強○野郎達と違って表向きは普通→裏で色々やってるのが常…
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