492 上昇します
私とマイルズでレンズを攻撃しようとするけど、ゴルゴンが口を閉じた。
私達の攻撃が、唇に弾かれる。
「ちょ・・・!」
『おのれ・・・』
「なら! 〖念動力〗、〖透視〗〖超怪力〗〖怪力〗!!」
私は至近距離に寄って〖念動力〗を、ゴルゴンの口を貫通させて殴りつける。
念動力に、遮蔽物は関係ない!
❝近い近い近い❞
❝スキルの射程なんて幾らレベル上げてるって言っても100メートルも無いんだろ?❞
「口くらいなら、これでも破壊できる! あと、〖味変化〗も喰らえ!」
あ、駄目だかな、MoBは食事を取らないから味覚がないかも。
と思ったら、ゴルゴンが叫んだ。
味覚があったようだ。
叫んだ瞬間にマイルズの機銃掃射。
ゴルゴンはレーザーを放とうとしてくるけど、もう水は、ばらばらの方向に飛び散るだけ。
むしろ自分の触手に水が当たって、ちょっぴりダメージが入っている。
『ナイスだ、スウ! このまま攻撃を続けるぞ!』
「りょ!」
弾幕の一部がランダムな上に、速度をあんまり緩められないのがキツイ。
けど――それでも訓練場の頃と違い、今はスキルがある。
私は速度を緩めたら〖前進〗で補いながらゴルゴンを攻撃し続けた。
しばらくそうしていると、ゴルゴンが砕け散った。
❝速ッ、危なげねぇ❞
❝流石はFLの1位と2位。まるでRTAでもしてるみたいだ❞
❝しかも後ろ向きに飛びながら❞
「流石にランダム入ってくると、キツかったですけどね」
『さすがだスウ。アレックスと一緒だと、こうは行かない』
❝モデレイター(アレックス):おいこらマイルズ、どういう意味だ!❞
「あはは・・・」
こうして第4ステージも無事クリアできた。
◆◇◆◇◆
そしてついに第5ステージ。
今度は昇っていくステージだ。
ここのために速度を溜めて来た。
この先は揚力が必要なので、私とマイルズは速度を失わないよう、ハンマーヘッド・ターン――転げて落下する感じで、機体の前後を元に戻す。
そうしてU字になっている洞窟の底を飛んだ後登り始めると、なんだか人工的な景色に変わった。
「なんだろう、ここ」
『元はベクターの兵器生産工場だったらしい』
「ベクターの方なんだ?」
『ああ。ベクターの並行世界から物資を送り込むのは難しく、こちらにも拠点を築いていたらしい』
相変わらず壁からチンアナゴが弾幕を放ってくるけど、量も少ないし、動きも単純だから問題ない。
というか、壁が落ちてくるのが面倒くさい。
周りの縦の壁と違い、自然落下で――しかも平面でこっちに迫ってくる壁は、周りと速度が違って脳が混乱する。
あとザコも落ちてくる。
たとえばタマガシラっていう、なんかアメリカの創作物に宇宙人のモデルとしてでてきそうな顔をした魚とか。
点目にまん丸い口が可愛いで有名な、ホヤの赤ちゃんみたいなのとか。
'◯' こんな感じの顔をしてる。
チンアナゴもかわいいし、視界がかわいい。
けど殺意はすごい。
'◯'こんな顔で弾幕を口から弾丸を吐きながら、くるくる回って落下してくるんだ。
結構避けるのが大変。
それでもまあ大丈夫。とか思ってたら、巨大な剣が落ちてきた。
しかもプロペラみたいに横に回転しながら、結構速い――避けるのがしんどそう。
マイルズがこっちを見てる。
私は頷く。
私達は、剣の回転に戦闘機をあわせて旋回する。
相対速度を合わせるのは得意だ。
するとだんだん、止まったように見えてきた。
『抜けるぞ』
「りょ」
止まった剣を「スイー」とぬけると、今度は逆回転の剣。
反対向きに回ってるからすごい早く見える。ペダルを踏んで、左右舵で反転。急いで逆回転を始める。
あんまりこんな事してたら、速度が無駄になりそうで怖い。
この剣も相対速度を合わせれば問題ないので、一気に抜ける――と、また逆回りの剣。
「ええい、めんどくさい!」
私は近づいてきた剣を、〖念動力〗や〖超怪力〗で回転の中心を殴りつけた。
単に回転しながら落下してきていただけの刃物は、バランスを失って垂直落下していった。
『やはり、お前はマンチキンだと思うぞ』
「えー・・・」
『まあ助かる。その調子で頼む』
「う、うん!」
その後2回ほど剣を殴ると、通路幅が狭くなり螺旋状になった。
私達は通路に合わせて螺旋に駆け上っていく。
やがて、田の字みたいな入口らしきものが見える場所に来た。
『体感的にこの門自体が中ボスか?』
「どれかが正解みたいな感じ?」
『よし、では右上をいくぞ』
「おk」
私はマイルズの後に続いて田の字に入る。
そうして暫く進むと、また田の字の門が出てきた。
しかも、なんか。
「ここもしかして、さっきの場所じゃない? 眼の前の門がさっきの門だったりしない?」
『・・・・なに?』
「もしかしたら、無限ループって奴かも」
私は〈時空倉庫の鍵・大〉からペイント弾を撃って、壁に印をつけておく。
これはレールガンだから、爆発したりしない。
『よし、次は左上だ』
「うん」
左下を進むと、また田が出てきた。
そうしてさっきペイント弾をぶつけた場所をみると、しっかりとショッキングピンクのインクの印があった。
『間違いなくループしているな――このままでは速度がどんどん奪われてしまう。急がないとクリア不可能になるぞ』
「・・・まずいね」
『だが、後は二択。今度は右下に行くぞ』
「おk」
これも外れてまた田が出てきた。ペイント付き。
『よし、ラストだ。これで抜けられる』
「左下だね」
私達は田に入ってしばらく進んだ。
すると、また田が出てきた。ペイント弾の痕もある。
『なに!?』
「えっ、どうなってるの―――!?」
『まさか、毎回正解が変わるとでもいうのか!?』
「ちょ―――そんなの、正解する前に速度が無くなっちゃうよ!」
『これは、かなり不味いな』
❝詰み掛かってんじゃん・・・❞
❝ここまで来るのかなり大変だったのに、やり直しか!?❞
どうする・・・?
「・・・・〖第六感〗」
こういう時の為の勘だ。
「マイルズ、わかった――左上が、多分正解!」




