491 マイルズに助けてもらいます
見えてくる、沢山のブロックでできた壁。
「多分壊して進むタイプの通路だと思う!」
『壊して進む!?』
「2Dシューティングでは、よくあるの」
『なるほど!』
マイルズが壁を破壊し始める。
『確かに壊れる。が、壊れない場所もあるな』
「これ、迷路になってるタイプだ! ルートを間違うと袋小路になってるやつ」
『なんだと!? ――この速度でそんな事をされたら、危険すぎるぞ!』
「とにかく壊せる場所はできるだけ壊して、ルートを確定させよう!」
『なるほど!』
マイルズが下の方のルートを壊し始めたので、私は上を担当する。
私はどんどん岩を壊していくんだけど、
「このルートは袋小路。――また袋小路! ――これも!?」
これ、2Dシューティングの飛行機みたいに簡単にバックしたりできないから、通路の長い場所で、袋小路に入ったら終わるじゃん!
プロペラは逆に回せるけど、速度溜めてるのにバックしたら速度無くしちゃう。
『スウ、恐らくこっちだ!』
「りょ!」
私は急いでマイルズが掘った通路に入る。
『破片に気をつけろ!』
「うん!」
ゲームと違って、壊したブロックの破片に当たるだけで大惨事になる。音速で飛んでるんだから小石でもぶつかったら、それはもう弾丸と同じだ。
私達は当たりそうになる破片を躱しながら進む。
速度を落とせばこんな壁、なんてことはないんだけど。
二人分の火力で一気に壁を壊していく。
「トビラ・オブ・カナガワ!」
正解ルートか確認するために、ブロックを一気に壊した。
「マイルズ! ここが正解っぽい!」
『ナイス、抜けられそうだ!』
「よかった、正解ルートで!」
私とマイルズは狭い通路を一気に抜けた。
『今までの傾向からすると、そろそろ中ボスの筈だが』
マイルズの言う通りだと思い、私も警戒を高め、さらに下っていく。
だけど、なにも起こらない。
というかザコすら居ない。
時折、障害物の壁がでてくるくらい。
「なんか不気味な静けさだね」
『ああ・・・』
私が気味悪がっていると、サイレンが鳴り響いた。
そうして『隔壁を封鎖します』という声が聞こえてきた。
「隔壁?」
私が何のことだろうと思っていると、後ろでなにか気配がした。
振り返れば、二枚のスライドドアが閉じていっている。
「まって、やばい・・・・あれに通せんぼされたらどう見ても破壊できない」
『そうなると詰むな――急ぐぞ!』
私達は翼を縦にして、さらに加速。
後ろで隔壁がどんどん閉まっていく。
音速以上で飛んでいるので、音が聞こえない。だから目視で確認しないといけない。
私達は、何度も後ろを振り返って確認する。
「どんどん速くなっていってる!」
閉じる扉が迫ってくる。
「マイルズ大丈夫!? 〖伝説〗、〖前進〗! 〖質量操作〗!」
「〖ヘラルド〗、〖先駆者〗、〖前進〗!」
私とマイルズがスキルを使って加速する。
それでもだめだ、扉に抜かれた!
「不味――!」
前方で閉じていく扉。
間に合わない――!
『ちぃい!』
マイルズが舌打ちをした。
(どうしよう!)
素早く考える。
(そうだ!)
私は機体に備わっている、羅針盤を見る。
この星は地球と同じように東から日が上って、北がN極。
羅針盤の針は、ほぼ横倒し。進行方向はW――私達は地球で言えばほぼ西に進んでる!
(――行ける!?)
完全に閉じる扉。
『スウ、機体の姿勢を並行に戻せ――コブラだ! 空気の圧力で機体を止めろ!』
「そしたら速度が失われてクリアできなくなる! それよりマイルズ〖無敵〗を!」
『なに!? ・・・・〖無敵〗!? ――』
一瞬のマイルズの沈黙。
0.2秒もなく、応えが返ってくる。
『――なるほど、そうか!!』
❝スウ、なに言ってるの!? それ運動を反転させるスキルだよ!? 扉はもう完全に止まってるよ!? 運動はないよ!!❞
❝ぶつかる!❞
すると、マイルズが笑った。
『〖無敵〗!』
マイルズが、隔壁に突っ込む。
すると、隔壁が斜め前方に吹っ飛んだ。
コメントがざわつく。
❝え、なんで!? なんで動いてない扉が吹っ飛んだの!?❞
❝体当りしたから? いや、飛行機のほうが爆散するよね!?❞
するとマイルズが、私の視聴者に説明しはじめた。
『いや、あの扉は動いていたんだ。惑星の自転や公転、銀河の公転などの運動量があった。まあ銀河の動きなどが怖かったので、転送装置に手を掛けていたがな』
❝あ、そっか! さっきのマイルズの「なるほど」はそれを瞬時に理解したんだね❞
❝さすが合衆国宇宙軍の中尉!❞
❝それをとっさに思いつく、一般人のスウもおかしいけどな・・・・❞
❝まあ、あれは自称一般人だから❞
「なんで私、コメで殴られてんの?」
とりあえず今のが最後の隔壁だったみたい。もう扉が閉まったりしてない。
『スウ、気を引き締めろ。ボスだ』
「えっ!?」
私が前方を見ると、8本の触手を持った一つ目の球体が迫ってきていた。
ゴルゴンだ!
❝ついに来た、リアルタイムでゴルゴン大縄跳びの時間か❞
❝んだ❞
「ま、まあ、そうなんですけども」
ゴルゴンは私達と一定距離になると、落下を始めた。
こちらがあまり距離を詰められない程度の速度で落下していく。
そうして不規則に動く触手の先から、弾幕を吐き出す。
❝えぐうううう❞
❝何じゃあの量!❞
❝しかも外側の二本あれ、ランダムなんだろ!?❞
❝で、二人とも後ろ向きに飛んで避けてる・・・・と❞
「入れ――ゾーン。――ゴルゴン大縄跳び!」
❝きちゃ!❞
❝これを待ってた❞
ん、まって、真ん中の口――あんなの知らない〈発狂〉ゴルゴンにあんなのない・・・・まさか!
「水レーザー!」
真ん中の口から、水レーザーを放ってきた!
私は、なんとか水レーザーを躱す。
❝あの弾幕の中、レーザー撃ってくるのかよ!❞
ゴルゴンは真ん中の口を移動させながら、水レーザーを放ってくる。
若干キモイ。
『スウ、レーザーは面倒だ。あの真ん中の口を破壊するぞ!』
「うん!」
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今頃気づいたんですが、最初、二話に置いていたスワローテイルの挿絵が消えていました。
多分、分割した時に消してしまったんだと思います。そうなると殆どの人があの挿絵を見てないんだと思います。なのでもう一度ここで。すみません。
挿絵です。スウの愛機スワローテイルです。
初期設定を元にデザインをしたので、いまの設定とはズレがあるかもです。
今はもうフェアリーテイルに乗っているのに!
フェアリーテイルは、ほぼ色違いだと思って下さい。
 




