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428 作戦会議をします

 相手は、速度を上げすぎて急カーブができない。

 対して私は速度を押さえ気味にしているので、急な横滑りをしても結構キツイGだけど耐えられない訳じゃない。


 私の体が思いっきり左に振られたかと思うと、続けざまに右に揺られる。

 私の視界の端で、左の上下二枚の〈臨界・励起翼〉にぶつかって、3つに分かれたロブが視えた。

 ちょっと、怖がってもらうためにコックピットに直撃させた。


 私が回転しようとするスワローテイルを制御してると、


『勝負有り! 勝者、クール!! ――いやーきらり相手だとクールでも流石にもうちょっと時間が掛かるかと思ったのに、とんでもなく早えなあ』


 アレックスさんの勝利宣言が掛かった。


 私の視界に『YOU WIN!』と表示される。


 VRヘッドギアを脱いで、ゲームセンターのレースゲームみたいなシートの上で大きく息を吐く。


「ふー」


 するとツカツカと近寄ってくる靴音。


「あんた、なんかズルしてたでしょ!! でないとバーサスフレームがあんな動き出来るわけ無いわ!! なにかプログラムに悪さしたんでしょう!!」


 きらりさんが、ワナワナと震える指をわたしに突きつけてきた。


 連合のセキュリティを破ってVRに悪さするなんて、私にできるわけないよ・・・・というか出来る人いるの・・・?


 私が弱ったなあ、どうしようと視界の端に表示している、きらりさんの配信に何かヒントはないかチラリと見ると、


❝あの顔! やっぱ、スウじゃん❞

❝だよな、あんな芸当するのスウしかいねーもん❞

❝おーい、きらり。ソイツはあかん奴だから手を出すな!❞

❝スウに喧嘩売るとか、草すぎんよきらりwww きらりのやらかしここに極まるwww❞


 なんてコメントが流れている。


 私の顔をみた視聴者が気づいたみたい。やっぱアレックスさん、私がスウだってそのうちバレるよ。バラしていい?

 まあバレるのは、きらりさんがどのくらいコメントを視ない人かにもよるんだろうけど。


 私なんか、配信だとコメントと会話しないと間がもたせられないから、コメント視ないで配信出来るのは本当に凄いと思うけれども。


「もう一度勝負よ!! 今度は本物のバーサスフレームを使って!! そうしたらプログラムに悪さ出来ないでしょう!!」


 なんでみんなVRで納得しないの。本物でやろうとするの。


「あの」


 私が若干低い声を出すと、きらりさんがちょっとたじろいだ。


「な、なによ」

「本物なんかでやったら、貴女死にますよ?」


 前にサニヤ少佐にも言ったけど、これが一番効くはず。


 きらりさんが、さらに後ずさった。

 そこへアレックスさんがやってきた。


「そこまでだ、きらり。クールの実力がわかっただろう」

「ア、アレックスさん!? 私、こんな奴に負けてません!! コイツ、なんかズルしてるんです!!」


❝まあ、スウは存在がズルだけど❞

❝・・・そろそろ負けを認めろって、きらり❞

❝きらりのプライドは、火星のオリンポス山より高いからなあ❞


『これより、68層の攻略が開始されます。参加のプレイヤー様は、ブリーフィング・ルームに集合してください』


 あ、時間切れだよねこれ。攻略始まるんだし。


「―――チッ」


 きらりさんが恐怖の舌打ちをして、踵を返した。


「覚えてろよ」


 ・・・・いえ、むしろ貴女が私のことを忘れてください。


 今回の連合の指揮はタタセさんじゃなかった。


 少佐じゃまだ下層の指揮はさせてもらえないっぽい。


 今回の指揮は、気品のある〝おじ様〟って感じのデータノイドさんだった。大佐らしい。

 眼鏡に、ラウンド髭に、勲章をいっぱいつけてるデータノイドさんが説明してくれる。


「というわけで、これが目標となる惑星だ」


 スクリーンに映されたのは、――なんというか、何の変哲もない岩石惑星だった。

 火星みたいにも見える。サイズは地球と同じくらいらしい。

 ただ、地殻活動が活発なのか、赤い筋が結構見える。

 近づいたら物凄く高くマグマが吹き出しているんだろうけど、遠目には赤い線にしか見えない。


「この惑星に、ワームホールを設置できるポイントがある。ただし問題があり、我々の接近を察知したMoBたちが姿を消してしまった。だがMoBは殲滅しておかねば、港の建設中に強襲される可能性がある。なので、確実にMoBを見つけ出し、殲滅せねばならない。ただ、MoBが姿を消したと言っても、ワープや亜光速航行の為の重力波も検知されていない。MoBはこの惑星のどこかに隠れているはずだ」


 おじ様が、私達を見回す。


「しかし夜側、昼側それぞれに隠れるのに適した地形があるのだが、どちらに奴らが隠れているのか、我が軍内部でも意見が二つに分かれていてな。プレイヤーの諸君らの意見も訊きたい。こちらが持ち得ている敵や地形の情報は、手渡した冊子かVRで確認してくれ」


 みんなここで意見を求められるとは思っていなかったのか、すぐに発言する人はいなかった。


 数人がスクリーンと冊子&VRを睨むようにして、考え始めている。


 私は元々意見を出すつもりがないので『ボーっとする』のコマンドを実行中。なにもしていないわけじゃないよ。ちゃんと『ボー』っとしている。


 しばらくして最初に発言したのは、アレックスさんだった。流石本職さん。

 ちなみに私の右隣にアレックスさん、左隣りにエレノアさん。

 エレノアさんの側にいるので、スウはご機嫌。

 スウのおギャリたいメーターは、絶賛有頂天。

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― 新着の感想 ―
おギャリたいメーターの追加設置で耐えるんだ!
更新お疲れ様です。 このきらりとかいうイキリバカ女、いわゆるざまぁ系作品で主人公等にざまぁされても頑なに己の非を認めない(改心しない)まま破滅する愚か者とほぼ同じムーヴしてますね。 リアルの戦闘で一…
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