424 プレゼントします
ぜぃぜぃと息切れしながらつっこみを終えて、私は「とりあえず・・・」と今日の目的に話を戻す。
「ダーリンに乗って着いてきて」
「ん、理解」
私はフェアリーテイルに乗って、リッカと空母ティンクルスターに向かう。
そこには、でけぇピンクリボンを巻かれた盾が。
『おっ、プレゼントってもしかして』
「うんうん、あの盾」
『カッコイイじゃん!!』
リッカの操るルミナイト・ダーリン・インフィニティが、嬉しそうに盾を掲げる。
『凄い、これどうしたの? 勲功ポイント?』
「レプリケイターで作ったんだ」
『マジで!? 流石モデラー、デザインもカッコイイ! こんなでっかいイエロー・ダイヤモンドまで着けてるし、どうやったん』
「それはMoBからゲットした宝石。――イエロー・ダイヤモンドじゃなくて、ロンズデーライトっていう、ダイヤより硬い炭素同素体」
『えっ・・・たんそどうそたいってなに?』
百合ヶ浜女子高校さーん、炭素同素体がわからない女子高生がココにいますよー!
「ダイヤモンドは炭素原子が立方体の形で並んでいるんだけど、ロンズデーライトは六方晶で並んでるんだ。ダイヤより硬いダイヤみたいなもの。で、ロンズデーライトは本来衝撃に弱いんだけど。MoBドロップ品で、忍耐のロンズデーライトっていう、衝撃にも強いロンズデーライトなんだ」
「おおお! ――ん? まって、今忍耐のロンズデーライトって言った?」
「え、うん? 言ったけど」
「いやー、さっきの鎧さ」
「うん」
「忍耐のロンズデーライトがナックル部分に付いてるから、高かったらしいんだ」
「え゛」
リッカの鎧を思い出す。そういえばなんか拳部分がキラキラしてた。
リッカが通信ウィンドウを開いて、私に鎧の拳部分を見せてくる。
「ほら、これ。ここが盾として使えるんだ」
確かに手の甲辺りの部分がキラキラしてる。裏拳を当てる様な部分。
「これのせいで500万なんだけど、このスウの作ってくれた盾は人間の身長程も有るサイズの忍耐のロンズデーライトを使ってる。一体幾ら分の忍耐のロンズデーライトなんだろう?」
「わ、わかんない」
『凄いもの貰っちゃったぞー!! よし、早速配信で自慢しよう』
「あ、配信するんだ?」
『こんリッカー』
「早!」
リッカが配信を始めて、状況をリスナーに説明しだす。
どんな反応があるか気になるから、私もリッカの配信を見てみる。
『というわけで、忍耐のロンズデーライトをふんだんに使った盾をスウに貰ったんだー! レプリケイター製でのお手製だぞー!』
❝マジカヨ!!❞
❝裏山すぎ!!❞
❝つか忍耐のロンズデーライトって、一欠片でも1万勲功ポイントとかするのに・・・・1万勲功ポイントですら、ほぼ1億円だよ、1億円❞
❝あんなバカでかい忍耐のロンズデーライト、日本円だと一体いくらするんだよwww❞
❝値が付けられないって奴やん❞
❝しかも忍耐のロンズデーライトって、タリスマンとして使っても防御力上がるんだよな?❞
❝そんなのを俺達のリッカたんにポンとプレゼントするとか、流石スウさん。有難う、惚れそう❞
❝今度、スウさんにお礼の投げ銭しなきゃ(使命感)❞
いや知らなかっただけですけどね。知っててもあげたと思うけども。私が持ってても使い道ないし。
リッカがダーリンでバックラーを握って スチャッ スチャッ っとポーズを取りはじめる。
なんか若干ボディビル入ってる。
『この盾なら視界の邪魔にならない遠くまで見える! ロンズデーライトでぶっ叩くのもいいけど、さきっぽの角でシールドバッシュするのもいいな!』
❝まあ、レプリケイター製はお手製に入れていいのか? という疑問はともかく、デザイン良いな・・・スウさん、本当に素人か?。――黒に銀の縁取り、真ん中に燦然と輝くロンズデーライト❞
❝ふつくしい❞
「あっ、リッカ。その盾って、ルミライト・ダーリン・インフィニティの胸の部分にはめ込めるようにしてあるんだ」
『胸に?』
「うん。合体する時とか、使わない時とか、邪魔でしょ?」
『なるほど』
リッカが『ジャキーン』と言って、両手で持った盾を胸に嵌め込む。
ガコンと胸にくっつく盾。
『おおお! 似合う!! カッコイイ! デザインも最高!』
❝真ん中の黄色いダイヤが月みたい。ルミナイトって名前にピッタリ❞
❝流石JKプラモデラー❞
❝なるほど、プラモデルで慣れてるから、あんなにメカに似合うデザインを作れるのか❞
すると、急にルミナイト・ダーリン・インフィニティのAIが喋った。
『うむ、スウ殿。敬望する貴殿からの追加装備、有り難い。それにこれは、我が娘の乗っている場所の装甲も更に充足して、安全だ。しかもタリスマンとして防御力までアップしている。誠に感謝する』
そういえば丁度、盾がコックピット周りをガードする形になってる。たまたまだけど。
『そこまで考えてくれてたのか! ありがとうな、スウ!!』
「い、いや、まあ・・・」
否定するのもアレなんで、思わず頷いてしまった。
こうしてプレゼントは終了。
次の日、アリスに教室で、「リッカにだけプレゼントあげたらしいですねぇ?」とむくれられてしまった。
それで、アリスを釣り上げるために作ったヘウレカの竿の事を説明すると。
「つ、釣り上げる・・・・ですか」
と、若干引きぎみだけど機嫌は戻ったので、良かった。




