表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

415/459

417 青いイントロフレームがやばいです。

「スウ、見つけたでー!」


 あっ、やばい!

 私は音子さんの手を、撃墜された誰かのロブのワンルーム内で、なんとか躱して宇宙に出る。


「アイビーさん! 私今、ケイドロ中なんで、また」


 負けたら終辛なんだ。負けるわけにはいかない。


『ケイドロ?』

「ちょっと複雑な鬼ごっこです!」

『そこ、アテナの戦場跡地ですよね? よくそんな場所での遊び思いつきますね・・・』

「誰が考えたか分からないですが、楽しいです!」

『あ、あとですね』

「はい」

『スウさんの使っている青いイントロフレームの素体を、貸していただけませんか?』

「えっ、アレをですか!? なぜ・・・」

『調査の結果、あの青いイントロフレームは、アイリスさんの持ち物だったようなのです』

「あ~~~っ」


 だよね。やっぱそうだよね?


 じゃあこのイントロフレームは、時間をループしまくってたりする?


 アイリスが残して → 私が手に入れて → その後何年も経って、またアイリスが手に入れて――を、ずっと繰り返し?


『あの青いイントロフレームにはアイリスさんの残した、様々なテクニックや作戦情報が保管されているのです。アイリスさんは凄まじい策士だったと伝わっています。それらを解析したいのです』


 いや、このイントロフレームに入ってるデータはそれどころじゃないかも。

 私とアイリスの間を、何度も何度も無限にループしてる可能性ががが。


「あとでハイレーンに届けてもらえるとありがたいです」

「了解です」

『ではケイドロっていうのを、じっくりと楽しんで下さい』

「はい!」



 

「ビスカムアルバム改造計画?」


 私達がアテナの戦場跡地で、ラクロス配信をしていると、眼の前にウィンドウが開いた。

 巨大なウィンドウを人差し指と親指で、抓むようにして小さくする。


『はい、4章プレゼントの第二弾です。あの装備もスウさんには大事だと思うのですよ』

「だ、第二弾があるんですか・・・」

『スウさん、パスです!』


 アリスが棒の先に網がついた道具――長いタモみたいなの(スティックと言うらしい)で、ボールを私に飛ばす。

 私はアリスのパスを受け――取ろうとして失敗する。


「『ギャーーー」』


 私とアリスが青くなって叫んだ。

 今回も負けたら終辛なんだよ!


 試合内容はラクロス。

 そして対戦するのはクレイジーギークス vs ストリーマーズ。


 今回もスキルの使用は禁止(スキル有りだと、スウが強すぎると言われた)。

 でも今回は流石に空気噴射で移動していい。デブリを蹴ってじゃ、難しすぎるので。


 にしても音子さん、私にスポーツを挑むとは、勝ち筋をよーく理解してるじゃないか。


 ラクロスは結構荒っぽいスポーツだけど、私たちの体はパイロットスーツが守ってくれているから大丈夫。


 ボールが音子さんに渡る。


『クックック、前回と前々回はよくもウチに終辛を食べさせてくれたな? ――やけど、今回はそうはいかんで? というかよくもまー、毎回毎回ウチを負かしてくれるわアンタ(じぶん)。そろそろウチのおしりが保たん。

 これはもうスウも終辛を食わなあかん。

 余りにも不公平や、あの口の中が爛れ、食道も爛れるような苦しみ、藻掻いて水を飲めば火傷した粘膜に滲みて転げ回るような痛み――スウも体験せなあかん。

 そしてウチは泣いちゃうスウに、ドS心をくすぐられるんや』


「変態がいます!」


 するとドSアリスだ。


『確かに、わざと負け――』

「冗談じゃない! 負けたら終辛ヤキソバを、アリスも食べるんだからね!」

『・・・・私はそれでも、スウさんの泣き顔が・・・』

「アンタどんだけ私の泣き顔見たいんだ!」

『顔を上気させて泣くような姿――まあ、しませんけども』


 なんて私達は会話のドッジボールをする。

 ――いや、今やるべきはラクロスなんだよ。

 ふと音子さんを振り返ると、リッカが音子さんの背後から迫っていた。

 そうしてリッカは、音子さんのサイドから、音子さんのスティックを叩く。


 網の中のボールが弾かれ飛び出した。


『アリス! ワザと負けるとかふざけた事を言うな! 勝負は真剣にやって常勝、それこそが、わたし達だろう!』

『確かに、スウさんの泣き顔に目が眩んでました』

「そんなもんに眩まないで・・・」

『スウさん、アイデアはないですか?』


 アリスの目がドSになり、リッカと音子さんがバチバチにボールを取り合い、アイビーさんに質問される。

 なにこれカオス。

 私は急いで考えて、アイビーさんに返す。


「じゃ、じゃあ火器管制を担当してくれる人とか、いたらいいなあと思います。――あと、味方の機体を内部で修理したり?」

『なるほど、あの量の武器を一人でコントロールするのは大変ですもんね。ドローンや、バリアなんかもコントロールする人がいてもいいですね。さらに修理ですか――修理空母化――合体空母ビスカムアルバム・・・! そのアイデアはいいですね! それで行きましょう! 沢山の人が乗ってスウさんがメインで戦う――凄まじく強いドッキングユニットになりそうです!』


 あ、適当に言ったらなんかアイビーさんが止まらない。


「じゃ、じゃあそんな感じでお願いします」

『了解しました! 楽しみにお待ち下さい!』


 という感じで、ビスカムアルバムが改造される事となった。


『あ、そうだ・・・・スウさん。スウさんから借りたイントロフレームを解析したところ。データが凄まじい圧縮をされており、解凍したところサーバーがダウンしてしまったらしいのです。1ヨタバイトまでは確認されたらしいのですが、それ以上は・・・・なにか心当たりはないですか?』


 え、データでサーバーダウンしちゃったの? というか未来のデータ圧縮技術とか凄そう。


 あのイントロフレーム、本当に無限に情報保持してたりしないよね?


 情報からエネルギーを取り出せるみたいな話を訊いたこと有るけど、無限にエネルギー取り出せたりしないよね?


 いや、アレはなんかエネルギーをコントロールして増幅みたいな話だっけ?


 心当たりは有るっちゃあるけど、教えて良いのかな?


「とりあえず、データが膨大だったのかも・・・?」

『なるほどです・・・。確かにアイリスさんとスウさんの二人分のデータにしては可怪しいと、解析班が青冷めながら言っていました。1ゼタバイト程度のはずなのに、ヨタはおかしいと』


 前ゼタが分からなかったんで調べておいたんだけど。ヨタは、ゼタの次の単位だ。

 ならあのイントロフレームがループ1周で1ゼタの情報を得たとして、1ヨタ・・・・少なくとも1024回はループしてるって事?


『とりあえずビスカムアルバムの改造計画承りました・・・・しかしイントロフレームの解析が一番難航するとは・・・』


 こうして通信が切れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ