404 無茶振りします
ただあのカービンのアタッチ、連射した後アタッチメントを外す時、高温になってて火傷したんだよね。
それからは、〖念動力〗で外してる。
私は音子さんに手のひらを振って挨拶する。
「音子さんお久しぶりです」
❝モデレイター(音子):スウ、ひさしぶりーって言ってもウチはアーカイブをいっぱい見てるから、久しぶりって気もせーへんねんけどな❞
アリスは軽く会釈して挨拶した。
「音子さんお久しぶりです」
❝モデレイター(音子):アリスもやっほー! ・・・・弾丸は銃ごとに相性あるから、相性いいのさがしーや❞
「相性とかあるんですか」
❝モデレイター(音子):せやで、自分の銃で色んな弾丸を撃って集弾率を試すのが良いかもやで。ウチの使ってる拳銃なんかバレルが低い位置にある、キアッパ・ライノみたいな奴やからな。反動は強くてええんや❞
ライノっぽい奴かあ。
「確かに反動は制御しやすいですが、銃口が低い位置にあると銃口と照準の距離が開くので、視差が強くなっちゃうんですよね」
見てる位置と、弾丸の発射される場所の距離が離れると、照準と銃弾の軌道が合わせづらくなっちゃう。
❝モデレイター(音子):ん・・・・? ぱららっくす?❞
一瞬、音子さんからの返信が途切れる。
やがて、
❝モデレイター(音子):――あ! ホンマや! ど、道理でウチ、距離がちょっと離れると途端に命中率落ちてた訳や!❞
「使ってる内に気づきましょうよ・・・」
私が言うと、音子さんが、慌てたみたいに話題を変えだした。
音子さんのとこの視聴者も音子さんイジるからねぇ・・・・まあ、音子さんは口が上手いからイジられても相手を手のひらで転がすけど。私じゃ、ああは行かない。
❝ちゅ、ちゅーか、視聴者は相性の良い弾丸を知らんのか? アリスの銃ってホームキーパーと、グロックみたいな、ジェネラルP16やったっけ?❞
❝ジェネラルP16なら、デイライト社のホットショットが良かった希ガス❞
銀河連合の銃弾を売ってる会社も色々あるんだよねぇ。
❝いや、ロイヤルハーミット社のゴールデンマスターの方が相性いいぞ❞
❝ゴルマスは高ぇよ。あれ、通常の3倍するじゃねぇか❞
❝身を守るモンなんだから、高くても良いものがいいだろう❞
❝アリスたんは上位勢だからクレジット余ってそう❞
❝モデレイター(音子):スウは何使こーとるん?❞
「私ですか・・・ロイヤルハーミットのマイティマスター.45口径です」
❝モデレイター(音子):・・・・一番高いの使こーとるやん❞
❝通常の10倍するやつだし❞
❝モデレイター(音子):というか、まって。え? この子、マイマスをフルオート化してバカスカ射ってたん? 一発1500円とかするから、秒で3万円とか溶けるんやけど❞
「私、弾薬補充タダなんですよね・・・・」
❝モデレイター(音子):なんでやねん❞
❝そうはならんやろ❞
「・・・・初心者クエストをクリアした時、他の機体いらなかったんで・・・」
❝出た❞
❝出たよ❞
❝モデレイター(音子):あーーーそんなん有ったなあ! でも、旧式スワローテイル乗りこなせるのスウだけなんやから。・・・・実質、無料補給選べるのスウだけやん❞
❝しかもスワローテイルプレゼントして貰えた人という、条件付き❞
❝いや、この間ブリガンダインとか配られたし❞
❝あー、アレ配られた時始めた人なら出来るのか、裏山――でもアレもスウのお陰なんだよなあ❞
❝また機体とか勲功ポイントとか配ってくんないかなあ❞
❝4章プレゼントなんだろう❞
❝運営、あくしろよ――すみません調子乗りました(平謝り)❞
❝スウさんありがとう! スウさんのお陰で僕も当時、無料補給を選べました!❞
「いえいえ、大して何もして無いですよ――」
❝あの頃の初心者はいいなあ、機体貰って無補給権選んだ方が絶対お得❞
❝機体貰わなくても、30万貰えるからそこそこの機体買えるしなあ。あの頃の初心者はスウの事どう思ってるんだろ。あのイベントのせいでスウ、えらい目に遭ってたし❞
❝ほんと感謝です。すみません❞
❝スウ、無料補給を俺等も購入できるように運営に頼んでくんない?❞
❝なんかスウさんって、色々連合から好印象受ける称号あるし、行けそう❞
「え!? ――いや・・・それは流石に無理じゃ」
❝お願い❞
❝頼むだけ頼んでみてよ!!❞
❝モデレイター(音子):スウさん、お願いします!!❞
❝音子、急に敬語www❞
「え・・・ええ・・・? じゃあダメ元で言ってみますけど・・・・」
私は連合に連絡を入れるために、通信を入れてみる。
「あの、すみません」
『スウさん!? ――今日はどうかしましたか!?』
「・・・・あの、プレイヤーの皆さんが無料補給権を手に入れる方法を追加して欲しいと言ってまして」
『と、言われましても・・・その様な事を決める権限は私には無いと言いますか』
「じゃあ、決める権限の有る人に繋いでもらえますか?」
❝うわっ、モンスタークレーマーみたいな事言い出した❞
❝スウたん、怖い❞
「あんたらが頼んでって言ったんでしょ!? ――まあ、ネットの人々を一纏めに考えるのは違うか」
❝いや、俺が頼んでと頼んで、俺がクレーマーと言った❞
「ブロックしますよ、貴方」
❝ほんとすみません、スウさんの配信にエロコメントをするのが生き甲斐なんで許してください(震え声)❞
❝ワロwww❞
もちろん冗談だから、ブロックとかしないよ。
「ブロックはしないので、他のまっとうな生き甲斐を探しなさい」
『ユタ中将が対応してくれるそうです』
「え、そんなに上の人が出てくるんですか!?」
『もちろんです。スウさんは准将程度の権限がありますし、さらに沢山の称号もあり・・・・〖銀河より親愛を込めて〗とか、〖ザ・ワン〗とか、それからアセン――とにかく連合は貴方の意見は無視できませんので』
マジデスカ。




